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2017年2月 7日 (火)

本日公表の景気動向指数に見る企業部門と家計部門の景気動向やいかに?

本日、内閣府から昨年2016年12月の景気動向指数が公表されています。CI一致指数は前月比+0.1ポイント上昇の115.2を示した一方で、CI先行指数は+2.6ポイント上昇の105.2を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

12月の景気一致指数、2年9カ月ぶり高水準
内閣府が7日発表した2016年12月の景気動向指数(CI、10年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.1ポイント上昇し115.2だった。4カ月連続で上昇し、14年3月の117.8以来2年9カ月ぶりの高水準になった。電子部品デバイスや化学などが上昇し、鉱工業用生産財出荷指数や鉱工業生産指数が伸びた。内閣府は「高水準で堅調に推移している」との見方を示した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。前月から比較可能な8指標のうち鉱工業用生産財出荷指数、有効求人倍率、鉱工業生産指数、中小企業出荷指数(製造業)の4つがプラスに寄与した。一方、投資財出荷指数(除く輸送機械)と、冬物の衣料販売が不振で商業販売額(小売業)はマイナスだった。
数カ月先の景気を示す先行指数は2.6ポイント上昇の105.2だった。上昇は3カ月連続。消費者態度指数や新規求人数(除学卒)などが寄与した。
内閣府は3月に開示する1月の景気一致指数から、中小企業出荷指数(製造業)を除くと発表した。同統計が昨年12月分を最後に公表を休止するため。景気一致指数は1つ少ない9指標で算出する。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だいう気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

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実は、このブログでは先月の景気動向指数についてはやや懐疑的で、商業販売統計が伸びている背景は、国際商品市況における石油価格の動向から名目値で伸びているだけではないか、との懸念を示しておいたんですが、懸念は懸念だったものの、今日の公表指数から見て、明らかに景気は改善を示していることが裏付けられた気がします。寄与度の絶対値で比較的大きな項目を見ると、一致指数へのプラス寄与については、鉱工業用生産財出荷指数と有効求人倍率(除学卒)が上げられ、マイナス寄与では、投資財出荷指数(除輸送機械)と商業販売額(小売業)(前年同月比)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)があります。また、先行指数へのプラス寄与では、消費者態度指数と新規求人数(除学卒)と日経商品指数(42種総合)などがあり、マイナス寄与では、最終需要財在庫率指数と新設住宅着工床面積といったところです。マインド指標の消費者態度指数だけが例外ですが、先月に続いて、ハードデータの範囲では弱い家計部門と強い企業部門がクッキリと分かれている気がします。あえてキツめの表現をすれば、内部留保を溜めまくっている企業部門と、そのあおりを受けて賃上げがかなわずに消費が伸び悩んでいる家計部門ということになろうかという気がします。家計部門も消費者態度指数や景気ウォッチャーなどのマインド指標は改善を示しているものの、賃上げに基づく所得の増加がなければ消費が回復してもサステイナビリティに疑問が生じます。米国新政権の通商政策の不透明性などはものともせずに、人手不足を背景にした賃金引上げを望みたいと思います。

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