今夏のボーナスは増えるのか減るのか?
先週までに、例年のシンクタンク4社から夏季ボーナスの予想が出そろいました。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、ネット上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると以下の表の通りです。ヘッドラインは私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しましたが、公務員のボーナスは制度的な要因ですので、景気に敏感な民間ボーナスに関するものが中心です。より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってあります。リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、あるいは、ダウンロード出来ると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちに Acrobat Reader がインストールしてあって、別タブでリポートが読めるかもしれません。なお、「公務員」区分について、みずほ総研の公務員ボーナスだけは地方と国家の両方の公務員の、しかも、全職員ベースなのに対して、日本総研と三菱リサーチ&コンサルティングでは国家公務員の組合員ベースの予想ですので、ベースがかなり違っています。注意が必要です。
機関名 | 民間企業 (伸び率) | 公務員 (伸び率) | ヘッドライン |
日本総研 | 36.6万円 (+0.4%) | 64.7万円 (+2.6%) | 今夏の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+0.4%と、夏季賞与としては2年連続のプラスとなる見込み。 背景には、2016年度下期の企業収益の底堅さ。製造業では、2016年11月以降の円安の進展、輸出の持ち直しにより、2016年度下期の収益が上振れ。非製造業でも、情報通信業などの増益を中心に、企業収益は高水準を維持する見込み。 |
第一生命経済研 | 36.7万円 (+0.5%) | n.a. | 増加が予想されるとはいえ、伸び率自体は小幅なものにとどまる見込みである。加えて、春闘でのベースアップが昨年をやや下回る上昇率にとどまったとみられることからみて、所定内給与も伸びが鈍化する可能性がある。このように17年度も賃金の伸びが緩やかなものにとどまるなか、物価上昇率が今後高まっていくことで、実質賃金は減少する可能性があるだろう。個人消費は先行きも力強さに欠ける展開が予想される。17年度の景気は好調に推移する可能性が高いが、それはあくまで輸出の増加を背景とした企業部門主導の回復になるだろう。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 36.8万円 (+0.9%) | 64.2万円 (+1.9%) | 2017年夏の民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)のボーナスは2年連続で増加すると予測する。労働需給が引き締まる中、ボーナスを算定する上で基準とされることの多い基本給(所定内給与)が前年比で増加を続けていることに加え、足元で企業業績が改善していることもあり、一人あたり平均支給額は36万8,272円(前年比+0.9%)と増加しよう。特に製造業では、円安や内外需要の回復を背景に業績が改善しており、堅調に増加するだろう。 |
みずほ総研 | 36.9万円 (+1.1%) | 71.1万円 (+2.5%) | 今夏の民間企業一人当たりボーナス支給額は前年比+1.1%と、前年から鈍化する見込みだ。他方で、人手不足対策としての正社員化や非正社員の待遇改善を背景に、ボーナスの支給対象者数は増加するだろう。正社員化の動きについては、2017年入り後にパートタイム比率が低下するなどの進展が見られる。非正社員についても、今春闘で処遇改善に取り組む企業が大幅に増加している。その結果、新たにボーナスが支給される対象者が増加し、民間の支給総額は前年比+4.5%と高めの伸びになると予想する。 |
ということで、今夏のボーナスは昨夏の伸び率は下回るものの緩やかに増加し、さらに、政府の働き方改革の後押しもあって、待遇改善が進んでボーナス支給体対象が拡大することなどから、1人当りの伸び以上にマクロの支給増額が増加すると見込まれています。国民生活の向上と安定のため、企業が内部留保をもっと上手に使うよう、私は願って止みません。
下のグラフは日本総研のリポートから、ボーナスの支給総額の推移を引用しています。
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