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2017年5月16日 (火)

明後日公表予定の1-3月期GDP統計1次QEは高成長か?

4月中にほぼ必要な統計が出そろい、明後日の5月18日に1~3月期GDP速報1次QEが内閣府より公表される予定ですが、すでに、シンクタンクや金融機関などから1次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の4~6月期以降を重視して拾おうとしています。明示的に取り上げているシンクタンクは、下のテーブルの上から5機関、すなわち、日本総研、大和総研、みずほ総研、ニッセイ基礎研、第一生命経済研となっています。その下の4機関には先行きはありません。いずれにせよ、より詳細な情報にご興味ある向きは左側の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
日本総研+0.4%
(+1.8%)
4~6月期を展望すると、トランプ米大統領の政策運営や北朝鮮情勢など海外の政治・経済動向は不透明感が強く、マーケットの変動などが景気を下押しするリスクはあるものの、①輸出の増加や在庫調整の進展を受けた製造業の生産活動の持ち直しや、②2016年度第2次補正予算の執行に伴う公共投資の増加、などが引き続き景気を下支えすることで、景気回復基調が続く見込み。
大和総研+0.4%
(+1.7%)
先行きの日本経済は、基調として足下の緩やかな拡大が継続するとみている。個人消費を中心とした内需は一進一退ながら堅調な推移が続くと同時に、世界経済の回復を背景とした外需の拡大が日本経済の成長を支えるだろう。ただし、米国の通商政策や地政学的リスクの高まりなど、外需の下振れリスクには警戒が必要である。
みずほ総研+0.4%
(+1.5%)
2017年度の日本経済について展望すると、海外経済の回復が、引き続き輸出や設備投資の回復につながるだろう。五輪関連や都市再開発関連の案件が進捗すること、人手不足の深刻化を背景に省力化・効率化投資の積み増しが見込まれることも、設備投資の押し上げ要因になるとみられる。他方、個人消費については、耐久消費財が持ち直していること、株高などを背景に消費者マインドが改善していることがプラスに働くものの、年度半ばにかけて見込まれるエネルギー価格の上昇が下押し要因となるだろう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.4%)
日本経済は1年以上にわたって潜在成長率を上回る成長を続けている。内容的にも2016年後半は外需中心の成長だったが、2017年1-3月期は民間消費が高めの伸びとなったことから内需の伸びが高まり、内外需のバランスが取れた成長となった。先行きについても、海外経済の回復を背景に輸出の増加が続くことに加え、企業収益の改善に伴う設備投資の持ち直しが見込めることなどから、景気は堅調な推移が続くことが予想される。ただし、名目賃金が伸び悩んでいるため、物価上昇に伴う実質所得の低下が消費を下押しするリスクには注意が必要だろう。
第一生命経済研+0.4%
(+1.8%)
先行きについても、輸出の増加が続く可能性が高いことに加え、景気対策効果の顕在化によって公共投資も増加が予想される。1-3月期に足踏みとなった設備投資についても、企業収益の持ち直しや景況感の回復を受けて増加が期待できる。今後も着実な景気回復が続く可能性が高いだろう。
伊藤忠経済研+0.4%
(+1.6%)
10~12月期(前期比+0.3%、年率+1.2%)から成長ペースはやや加速したことになるが、国内民間需要は個人消費が横這い、設備投資は小幅増加にとどまる中で住宅投資の落ち込みにより前期比+0.1%の微増、純輸出(輸出-輸入)が成長率を+0.2%Pt押し上げており、輸出頼みの緩やかな成長という姿は変わらないことになる。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所+0.5%
(+2.1%)
1-3月期の実質GDP成長率を前期比年率2.1%と予想する。昨年4-6月期(同2.2%)以来3四半期ぶりに、年率で2%台の成長率に復帰する見通しである。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.1%)
2017年1~3月期の実質GDP成長率は、前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と5四半期連続でプラスとなったと見込まれる。景気が持ち直していることを確認する結果となるだろう。
三菱総研+0.4%
(+1.6%)
2017年1-3月期の実質GDPは、季節調整済前期比+0.4%(年率+1.6%)と5四半期連続のプラス成長を予測する。好調な輸出に加え、消費も底堅く推移しており、内外需バランスのとれた成長となろう。

ということで、季節調整済み系列の前期比年率で+1%台後半から2%くらいの成長率予想が主流となっています。潜在成長率に比較してかなり高めの成長であり、中でも、政策効果で大きな歪みを生じていた耐久消費財の買い替えサイクルが始まったと見なされている消費について、ようやく回復の兆しが見えているのが明るい材料と考えています。ただ、企業部門の設備投資は、上のテーブルの中では伊藤忠商事経済研を除いて、まだほぼすべての機関でマイナス予想となっており、6月1日公表予定の法人企業統計を見たい気もしますが、我が国企業部門の力量低下が著しく表れているような気もします。外需についてもプラス寄与は続いていますが、その幅はかなり縮小して、外需主導から消費主導の成長の姿が示されるとの予想が中心です。上のテーブルのヘッドラインで取り上げようと試みた先行きについても順調な景気の回復・拡大を予想する向きが多く、特に、企業収益の面から設備投資の拡大も見込んでいる機関が少なくありません。ただ、わけの判らない地政学的リスクの発生、北朝鮮のミサイル発射とか、あるいは、経済合理的でない米国の通商政策の方向性とか、そういったリスクがどこまで顕在化するかどうか、エコノミストには理解不能な部分もあったりします。
最後に、下のグラフはニッセイ基礎研のリポートから引用しています。

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