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2017年5月30日 (火)

好調な経済を裏付ける商業販売統計と雇用統計をどう見るか?

本日、経済産業省から商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、それぞれ公表されています。小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.2%増の11兆8110億円、季節調整済みの系列で前月比+1.4%増、また、失業率は2.8%と前月と同水準で、有効求人倍率は前月からさらに上昇して1.48のバブル超えを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4月の小売販売額、3.2%増 資源価格の強含みなど背景
経済産業省が30日発表した4月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比3.2%増の11兆8110億円だった。6カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では燃料小売業の寄与度が最も大きく、前年同月と比べ11.9%増えた。原油価格の強含みを背景に石油製品の価格が上昇した。新型車効果の続く自動車小売業も6.0%増と好調を維持している。軽自動車も4カ月ぶりにプラスに転じた。気温の上昇に伴い春物衣料の販売が伸びたことから、織物・衣服・身の回り品小売業も5カ月ぶりに増加した。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.8%増の1兆5583億円だった。既存店ベースでは1.1%増だった。百貨店は訪日外国人(インバウンド)需要を含めた化粧品などの販売が好調で、既存店ベースでは14カ月ぶりに前年同月を上回った。閉店や改装などの影響で売り場面積が減り、全店ベースでの販売額は減少した。コンビニエンスストアの販売額は3.3%増の9514億円だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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小売業販売額を業種別に少し詳しく見ると、燃料小売業が前年同月比+11.9%増、織物・衣服・身
の回り品小売業が+6.0%増、自動車小売業が+6.0%増、医薬品・化粧品小売業が+5.3%増、電機が含まれる機械器具小売業が+4.1%増、などと、各業種とも順調に売上げを伸ばしています。従って、統計作成官庁である経済産業省でも基調判断は「持ち直しの動き」で据え置いています。ただ、売上げ増の中身は一様ではなく、引用した記事にもある通り、燃料については国際商品市況における石油価格の上昇に起因して販売単価が上がっているのも大きな要因のひとつと考えるべきです。ただ、2番目の衣料関係では、天候要因もあって春物衣料品が売れているようです。5月末の現時点でも、今夏は猛暑が予想されており、季節がメリハリあって夏暑くて冬寒いのは消費の販売増につながる可能性が高いと私は受け止めています。自動車が販売を増加させているのも、自動車産業にとっては国内市場よりも海外輸出市場のボリュームの方が大きいとはいえ、我が国のリーディング・インダストリーなだけに、それなりの波及効果が見込めるんではないかと期待されます。GDP統計の国民経済計算では国内消費の外数で輸出扱いとなるインバウンド消費についても、かつてのような爆発的な伸びは一段落しましたが、引き続き、堅調に推移している印象です。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済以降くらいの人手不足を示す水準にありますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。私自身の直観ながら、失業率が3%を下回ると賃金上昇が始まると予想していたんですが、先週に取り上げたリクルートジョブズの派遣スタッフの時給調査結果に表れているように、派遣労働者の時給は人手不足と言われつつもここ数か月間は下げており、ようやく、下げ止まりつつあるところです。労働需要サイドで、デフレ経済下で安価な労働力に依存していた低生産性企業が退出し非正規雇用への需要が低下したのかもしれませんし、あるいは、労働供給サイドで、デスキリングが広範に生じているのかもしれません。たぶん、どちらも違うんだろうという気がしますが、素直に人手不足で賃金が上昇する世界がとても遠く感じてしまいます。

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