景気動向指数に見る景気は長期の拡大を続ける!
本日、内閣府から3月の景気動向指数が公表されています。景気動向指数のうち、CI一致指数は前月比▲0.6ポイント下降の114.6を、CI先行指数は+0.8ポイント上昇の105.5を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
3月の景気一致指数、2カ月ぶり低下
内閣府が10日発表した3月の景気動向指数(2010年=100、CI)によると、景気の現状を示す一致指数は前月より0.6ポイント低下し、114.6となった。2カ月ぶりに前月を下回った。スマートフォン(スマホ)用の電子部品や半導体製造装置の生産・出荷が減ったためだ。
内閣府は一致指数からみた基調判断を「改善を示している」とし、6カ月連続で据え置いた。
一致指数を構成する指標で、前月と比べられる7つの指標のうち、4つが押し下げ要因となった。電子部品などの生産・出荷が落ち込んだほか、自動車やバイクなど耐久消費財の出荷も減少した。新型車発売の効果が一巡したとみられる。
小売・卸売の販売額、有効求人倍率の3つの指標は前月を上回ったが、全体を押し上げるほどではなかった。
数カ月先の景気を示す先行指数は前月比0.8ポイント上昇の105.5となった。2カ月連続で上昇し、15年6月以来1年9カ月ぶりの高水準となった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
景気動向指数のうちのCI一致指数は2か月振りの下降とはいえ、昨年2016年10月に「足踏み」から「改善」に基調判断が上方改定されてから半年間据え置かれており、2012年12月の現在の内閣発足から今年2017年3月まで4年余りの長期に渡る景気拡大局面ということになります。ということで、少し詳しくCI一致指数を見ると、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、有効求人倍率(除学卒)がこの順でプラスに寄与しており、逆に、投資財出荷指数(除輸送機械)、生産指数(鉱工業)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数がマイナスに寄与しています。商業販売統計と耐久消費財出荷が相反する結果となっていて、やや混乱を来たしかねない内容ながら、まだら模様というべき状態です。また、CI先行指数が上昇した要因は、消費者態度指数と新設住宅着工床面積と日経商品指数(42種総合)のプラス寄与が大きくなっています。
繰り返しになりますが、内閣府による景気基準日付に従えば、現在の景気循環の拡大局面は2012年11月を谷として、もしも2017年3月まで景気拡大が継続していると仮定すれば、景気拡大が52か月となり、いわゆるバブル景気、すなわち、1986年11月を谷として1991年2月を山とする第11循環の景気拡大期の51か月を上回ることとなります。戦後における長期に渡る景気拡大は、米国のサブプライム・バブルと同時期の2002年1月を谷とし2008年2月を山とする第14循環の73か月、次いで、いわゆるいざなぎ景気と呼ばれる1965年10月を谷とし1970年7月を山とする第6循環の57か月があり、現在の景気拡大はこれらに続いて戦後3番目の長さということになります。基本的に、エコノミストとして景気拡大が長期に及ぶのはめでたいことだと受け止めていますが、もう少し消費に力強さが加わればより望ましい姿に近づくような気がします。
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