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2017年7月28日 (金)

本日公表の商業販売統計と雇用統計と消費者物価(CPI)から景気の現状を探る!

今日は、閣議日としては当月最終で、いくつか政府統計の経済指標が公表されています。すなわち、経済産業省から商業販売統計が、また、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が、さらに、総務省統計局から消費者物価指数(CPI)が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。小売業販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.1%増の11兆5660億円、季節調整済みの系列で前月比+0.2%を記録した一方で、失業率は2.8%と前月から▲0.3%ポイント低下し、有効求人倍率は前月からさらに上昇して1.51倍、また、正社員の有効求人倍率も1倍に達しています。また、生鮮食品を除くコアCPI上昇率は+0.4%と前月と同じ上昇幅となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の小売販売額、2.1%増 自動車や夏物衣料が好調
経済産業省が28日発表した6月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.1%増の11兆5660億円だった。8カ月連続で前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別では自動車小売業の寄与度が最も高く、前年同月との比較では8.5%増加した。新型車の投入効果が続き、軽自動車を含めて好調を維持した。織物・衣服・身の回り品小売業も5.1%増だった。前年同月と比べて気温が低めに推移したが、専門店では夏物衣料が販売を伸ばした。医薬品・化粧品小売業は5.5%増だった。ドラッグストアの新規出店効果に加え、雨が少なく日照時間が長かったことから紫外線(UV)対策関連の商品などが伸びた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.1%増の1兆5694億円だった。既存店ベースでは0.2%増となった。百貨店は訪日外国人や富裕層向けの販売が好調だったほか、夏のセールを前倒しで実施したことが寄与し0.2%増と20カ月ぶりに前年同月を上回った。一方、スーパーは主力の飲食料品が伸びたものの衣料品が振るわず横ばいとなった。
コンビニエンスストアの販売額は2.9%増の9731億円だった。前年にチケット販売が好調だった反動もあり、サービス売上高は9カ月ぶりに減少に転じた。
正社員の求人倍率 初の1倍超え 6月1.01倍
厚生労働省が28日発表した6月の正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02ポイント高い1.01倍だった。1倍を超えて求人が求職を上回るのは2004年の調査開始以来初めて。企業の人手不足感が一段と鮮明になった。主婦や高齢者の非正規雇用が中心だった雇用改善が賃金水準の高い正社員に広がり、賃金上昇圧力が高まる可能性もある。
有効求人倍率は全国のハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す。パートタイムを含む全体の有効求人倍率(同)は1.51倍で前月比0.02ポイント上昇した。バブル期で最も高かった1990年7月の1.46倍を上回った。
正社員の新規求人数は前年同月より8.7%増えた。パートタイム労働者ら非正規社員も含めた求人数の伸び(6.3%増)よりも大きかった。幅広い業種で人手不足がおこり、各企業は長期で人を雇おうと正社員の求人を増やしている。
業種別にみると、17.5%増えた宿泊・飲食サービス業や、16.3%増えた製造業の伸びが目立った。運輸・郵便業や教育・学習支援業も1割以上増えており、正社員の確保を急ぐ動きは広がりもみられる。一方、娯楽業は0.8%減り、卸売・小売業も0.2%増にとどまった。
同日発表の6月の完全失業率(季節調整値)は2.8%。15歳以上の働く意思のある人のうち失業している人の割合を示す。職種や年齢、勤務地などの条件で折り合わずに起きる「ミスマッチ失業率」は3%台前半とされ、現在働く意思のある人なら誰でも働ける「完全雇用」状態にある。
消費者物価0.4%上昇 6月、エネルギー上昇で
総務省が28日発表した6月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの激しい生鮮食品を除く総合指数が100.2となり、前年同月比0.4%上昇した。上昇は6カ月連続だが、低水準で伸び悩みが続く。上昇はエネルギー価格が上がったことが主因で、生鮮食品とエネルギーを除く総合指数は100.7と、3カ月連続の横ばいだった。
エネルギー価格の上昇が、総合指数の0.4%の上昇幅の大部分を占めた。光熱費の電気代で上昇幅が拡大し、都市ガス代もプラスに転じた。ビールなど酒類も、6月から安売りを規制する改正酒税法が施行した影響で上昇した。イカやサケなど生鮮魚介も上昇に寄与した。価格高騰が落ち着いた野菜や、値下げが続く携帯電話機は上昇幅を抑える要因となった。
先行指標となる東京都区部の7月のCPIは生鮮食品を除く総合指数で0.2%上昇した。家庭用耐久財がエアコンの新商品の発売効果で上昇したほか、外国パック旅行費の上昇も影響した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、統計をいくつも取り上げたので、とても長くなってしまいました。続いて、商業販売統計のグラフは下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下のパネルは季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は、次の雇用統計とも共通して、景気後退期です。

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6月の小売業販売額について、季節調整していない原系列の前年同月比で見ると、小売業全体では+2.1%増と前月と同じ伸び率で引き続き持ち直しの動きが続いています。もう少し業種別に詳しく見ると、機械器具小売業が▲2.1%の減少を示したものの、自動車小売業が+8.5%増、医薬品・化粧品小売業が+5.5%増、織物・衣服・身の回り品小売業が+5.1%増、燃料小売業が+4.4%増など、特に自動車の増加が大きくなっており、昨年2016年8月から1年近く前値同月比プラスが続いており、しかも、今年に入ってからは+5%増以上の伸びを示すこともめずらしくありません。基本的には、2014年4月の消費増税前後の駆け込み需要増とその後の反動減の影響がようやく一巡したと私は考えていますが、自動車メーカーによる新車投入効果も考えられます。余りに最近時点なので統計には反映されていない可能性が高いんですが、欧州において英仏政府やボルボ社などから、ガソリン車やディーゼル車などの販売終了がアナウンスされ、この先、ハイブリッド車への乗り換えなどが我が国でも増加する可能性があります。燃料の販売増は国際商品市況における石油価格上昇の影響ですが、今年2017年3月の+15.0%増、4月の+11.8%増に比べてピークアウトしたように受け止めています。衣類が好調なのは基本的には天候要因であり、気温が順調に上昇しているのと、一部に豪雨災害があった一方で、今年の梅雨が多くの地方で空梅雨気味であるのが影響していると考えられます。また、6月統計では前年同月比でマイナスをつけましたが、電機についても消費増税の影響は抜けつつあると私は考えています。消費については、通常、このブログでは経済産業省の商業販売統計しか見ていませんが、総務省統計局の家計調査でも、6月統計では前年同月比で見た実質伸び率が+2.3%増と、昨年2016年2月のうるう年効果を別にすれば、何と1年10か月ぶりにプラスを記録しています。消費統計はいずれも回復を示していると私は受け止めています。

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続いて、雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間はいずれも景気後退期です。引用した記事にもある通り、失業率も有効求人倍率もいずれもバブル経済期のレベルに近いところまで人手不足を示す水準にあります。特に、有効求人倍率については、バブル経済期を飛び越えて、第1次石油危機直後の1974年までさかのぼらねば経験できない水準まで上昇を示しており、しかも、引用した記事にもある通り、正社員の有効求人倍率が1倍を超えて1.01倍を記録しましたので、新聞・テレビなどのメディアなどでははやし立てていますが、繰り返しこのブログで指摘している通り、まだ賃金が上昇する局面には入っておらず、賃金が上がらないという意味で、まだ完全雇用には達していない、と私は考えています。なお、私の手元にあるデータでは、有効求人倍率の過去最高値は1973年11月の1.93となっていて、さすがに、この水準に到達するにはもっと時間がかかりそうです。昨夜のリクルートジョブズのデータとの関係で、グラフは示しませんが、非農業部門8業種のやや粗い産業別雇用者数を調べてみると、医療・福祉では今年2017年1月こそ前年同月から21万人の増加を示していますが、2月▲19万人減、3月▲14万人減、4月+16万人増の後、5月▲5万人減、6月▲2万人減と推移しています。政府による規制の強い分野ですので、単純に需要減から賃金減というわけでもなく、ひょっとしたら、政府規制による賃金伸び悩みから雇用者減が生じている可能性もありますし、それほど単純な構図ではないような気がしますが、昨年2016年10月くらいまでほぼコンスタントに前年から毎月20-30万人の雇用者があっただけに、高齢化の進展が止まったとはとても考えられない一方で、昨年10-12月期以降くらいから医療・福祉分野の雇用者の動向に何か変化が現れた可能性を感じ取ることができます。

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続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは上の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。なお、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。加えて、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。念のため。ということで、現状での物価上昇は財関係ではエネルギーが、そして、サービスでは人手不足が物価上昇を牽引しているように見えます。コアCPIの前年同月比上昇率は、今年に入ってから4か月連続でプラスを記録し、小幅ながらジワジワと上昇幅を拡大しています。一方で、全国の先行指標となる東京都区部のコアCPI上昇率が6月の前年同月比保合いから、上のグラフのグレーの折れ線で示したように、7月は+0.2%とプラスを示し始めたものの、他方で、引用した記事にもある通り、全国コアCPI上昇率のほとんどがエネルギーの寄与となっています。私の計算でも、全国コアCPI上昇率+0.4%のうち、+0.37%がエネルギー価格の寄与となっています。国際商品市況における石油価格がほぼピークアウトした現状では、先行き、コアCPI上昇幅は縮小する可能性が高いんではないか、私は危惧しています。いずれにせよ、継続的に物価上昇がマイナス、というか、物価が下落するデフレからは脱却したような気もする一方で、コアCPI上昇率で+2%という日銀の物価目標にはまだまだ遠い気がします。

本日公表の消費統計や来週月曜日公表予定の鉱工業生産指数(IIP)を基に、8月14日公表予定の4-6月期GDP統計1次QEの予想が、そろそろシンクタンクなどから来週あたりに公表されるんではないかと私は考えています。そのうちに取りまとめたいと思います。

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