一進一退の続く消費者態度指数をどう見るか?
本日、内閣府から7月の消費者態度指数が公表されています。前月から+0.5ポイント上昇し43.8を記録しています。統計作成官庁の内閣府では基調判断を「持ち直し」で据え置いています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
7月の消費者態度指数、前月比0.5ポイント上昇の43.8 基調判断据え置き
内閣府が2日発表した7月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.5ポイント上昇の43.8だった。上昇は2カ月ぶり。株価上昇で資産効果が働き、消費者の暮らしへの見方が好転した。ビールが値上がりする一方で野菜価格が安定し、物価の見方が落ち着いたことも支えとなった。前月は0.3ポイント低下の43.3だった。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
指数を構成する意識指標では、「暮らし向き」「収入の増え方」「耐久消費財の買い時判断」が前月を上回った。「雇用環境」は横ばいだった。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より3.4ポイント低い75.8%と2カ月ぶりに減少した。一方で「低下する」との見通しは微増。「変わらない」は4カ月ぶりに増えた。調査基準日は7月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5748世帯(回答率68.4%)だった。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。
引用した記事にもある通り、消費者態度指数を構成する4つのコンポーネントのうち、暮らし向き、耐久消費財の買い時判断、収入の増え方が上昇した一方で、雇用環境は前月と変わらず横ばいでした。上のグラフを見ても、2014年4月の消費増税の際に直近の底を打ってから、大雑把に改善傾向にあると考えていますが、まだ、サブプライム・バブル崩壊前の2005-06年における40代後半の指数の水準には達していません。7月統計の指数水準で見て、完全雇用に近い労働市場を反映して、雇用環境は48.1に達しているものの、収入の増え方が41.7、また、暮らし向きが42.3にとどまっています。雇用の改善で量的には雇用が増加し、家族の中でも働くメンバーが増加しているのかもしれませんが、お給料はさほどではなく暮らし向きも雇用の改善ほどにはよくなっていない、という実感なのでしょう。私は根本の雇用に関するマインドがいいので、収入や暮らし向きにも雇用の改善が当然に波及するものと単純に予想していましたが、まだ、ラグの範囲内なのか、あるいは、私の想定する単純な波及経路から構造変化が生じているのか、やや謎です。いずれにせよ、所得に先立ってマインドが向上を見せて来ましたが、ソフトなマインドだけでなく、そろそろハードの所得の上昇も消費の拡大には必要な段階に達しつつあるような気がします。
別の話題ですが、本日、国立社会保障・人口問題研究所から2015年度の「社会保障費用統計」が公表されています。相変わらず、高齢者にだけ優しい社会保障給付の実態が明らかにされています。可能であれば、日を改めて取り上げたい気もしますが、今週は米国雇用統計も公表される予定ですし、パスするかもしれません。
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