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2017年9月 1日 (金)

法人企業統計に見る企業の収益力はほぼ史上最高も賃上げや設備投資は低調!

本日、財務省から今年2017年4~6月期の法人企業統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で、売上高は3期連続の増収で前年同期比+6.7%増の327兆9184億円、経常利益も4期連続の増益で+22.6%増の22兆3900億円でした。また、設備投資は製造業で▲7.6%減、非製造業で+6.9%増となり、非製造業が牽引する形で、全産業では+1.5%増の9兆4506億円を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4~6月期設備投資1.5%増、前期比では鈍化 法人企業統計
財務省が1日発表した2017年4~6月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比1.5%増の9兆4506億円だった。プラスは3四半期連続。サービス業や物品賃貸業の増加が自動車や情報通信関連の減少を補った。ただ国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で2.8%と3四半期ぶりに減り、直前と比べた設備投資は鈍化傾向となった。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、非製造業は6.9%増えた。訪日外国客の流入を背景に、サービス関連の宿泊設備への投資が伸び、娯楽施設も堅調だった。レンタカーやカーリースといった物品仲介業で車両購入が増えたのも寄与した。通信回線の敷設も貢献した。
季節調整済み前期比で設備投資額が2.8%減となった「ソフトウエアを除く全産業」の内訳は製造業が5.4%減、非製造業が1.4%減だった。製造業では新型車向け増産投資が1~3月期に大きかった反動が出た。通信業では半導体や素材関連の投資が一服し、企業の設備投資は全体でみれば直前の四半期と比べると一巡感が出ている。
全産業ベースの経常利益は前年同期比で22.6%増の22兆3900億円と、統計をさかのぼれる1960年度以降で最高となった。増加は4四半期連続。製造業が46.4%増と3四半期連続、非製造業が12.0%増と4四半期連続のプラスとなった。原油価格の上昇で商社など卸売業が好調だったほか、新規出店を続けた小売りも伸びた。財務総合政策研究所は「堅調な世界経済を背景に、企業業績はゆるやかな回復基調をたどっている」と指摘している。
売上高は6.7%増の327兆9184億円と3四半期連続の増加で、非製造業が7.4%増、製造業が4.8%増となった。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や収益動向を集計。今回の17年4~6月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。

やや長いものの、いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整していない原系列の統計ながら、4~6月期の売上高経常利益率は製造業が8.8%、非製造業が6.0%と、1~3月期をともに上回り、加えて、国内経済もそれなりに堅調に回復・拡大を示しているものの、世界経済のいっそうの拡大や円安を受けて、製造業が非製造業よりも高い収益力を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については昨年2016年年央くらいを底に、昨年2016年後半から明らかに上向きに転じ、今年2017年1~3月期から4~6月期にかけてもこの流れが継続していることが確認できたと思います。ただ、設備投資については、同様に、2016年年央を底に上向きに転じていたんですが、今年2017年4~6月期にはマイナスに転じました。季節調整済みの系列で見て、全産業ベースの設備投資は4~6月期に前期比で▲2.8%減でしたが、製造業で▲5.4%減、非製造業で▲1.4%減を示しており、利益率が高い製造業の方で投資がより大きく減少しているのは、海外へ投資が漏出している可能性が示唆されていると私は受け止めています。また、引用した記事にもある通り、この法人企業統計の公表をもって、来週9月8日に内閣府から4~6月期のGDP統計2次QEが公表される予定となっています。シンクタンクなどの2次QE予想は日を改めて取りまとめる予定です。直観的には設備投資が下方修正される分、2次QEでは成長率が下振れするんだろうという気はします。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出しています。このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけはグングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善のひとつである賃上げ、もちろん、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。また、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、さらなる法人税引き下げなどによる企業活動活性化がどこまで必要なのかは疑問ですし、企業が国内での設備投資や賃上げに慎重姿勢を示しているのであれば、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

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最後に、法人企業統計を離れて、内閣府から公表された8月の消費者態度指数のいつものグラフは上の通りです。統計作成官庁である内閣府では、基調判断を「持ち直している」から「ほぼ横ばいとなっている」に下方修正しています。

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