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2017年10月27日 (金)

消費者物価(CPI)の上昇率をどう評価するか?

本日、総務省統計局から9月の消費者物価指数 (CPI)が公表されています。生鮮食品を除く総合で定義されるコア消費者物価(コアCPI)の前年同月比上昇率は+0.7%と前月統計と同じ上昇幅を記録して9か月連続のプラスを記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の全国消費者物価、0.7%上昇 エネルギーが押し上げ
総務省が27日発表した9月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は、値動きの大きな生鮮食品を除く総合指数が100.3と、前年同月比0.7%上昇した。8月も0.7%上昇だった。プラスは9カ月連続となる。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.8%上昇)は下回った。電気代や石油製品などエネルギーの上昇が押し上げた。
生鮮食品を除く総合では全体の52.8%にあたる276品目が上昇し、185品目が下落した。横ばいは62品目だった。
生鮮食品を含む総合では100.5と0.7%上昇した。台風の影響でサンマなど一部の魚介類が高騰した。生鮮食品とエネルギーを除く総合は0.2%上昇の100.8だった。安売り規制の強化でビール類が引き続き高かったほか、高齢者医療費の自己負担額が引き上げられたことも影響した。
併せて発表した東京都区部の10月のCPI(中旬速報値、15年=100)は生鮮食品を除く総合が100.3と前年同月比0.6%上昇した。上昇は4カ月連続。電気代などエネルギーの上昇が押し上げた。一方、生鮮食品を含む総合は100.1と0.2%下落した。レタスなどの生鮮野菜が前年に高騰した反動で大きく下落した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIのそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いがビミョーに私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。

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コアCPI上昇率は、6月+0.4%から7月+0.5%、8月+0.7%と徐々に上昇幅を拡大していて、ただし、9月は8月と同じ上昇幅でした。私の計算では、9月のコアCPI上昇率+0.7%に対する寄与を上のグラフにある4分割で考えると、大雑把にいって、エネルギーが+0.5%強、食料が+0.2%強あり、サービスがほぼゼロで、コア財が▲0.1%弱のマイナスとなっています。先行きについて考えると、エネルギー価格の動向が不透明ながら、引き続き根強い家計の節約志向に基づく価格引き下げ方向と人手不足とエネルギー価格などのコスト上昇に伴う価格引き上げの動きが入り混じっている気がします。国際商品市況における石油価格が急落しない限り、コアCPI上昇率がマイナスに落ち込んでデフレに戻る可能性は低い一方で、逆に、現状のままでは日銀のインフレ目標である2%に達するほどのコアCPIのプラス幅拡大も見込めないものと考えるべきです。おそらく、エネルギー価格の動向がそろそろ打ち止めになると私は考えていますので、コアCPI上昇率が+1%に達するかどうかくらいのタイミングで上昇幅の拡大は反転し、マイナスまで落ち込むかどうかは不明なものの、プラス幅はかなり確度高く縮小に向かう可能性がある、と覚悟すべきです。

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いつものCPI上昇率のグラフに加えて、上の通り、耐久・半耐久・非耐久消費財別の分類や基礎的・選択的支出別の上昇率をグラフにしたのが上の通りです。今回の物価上昇の質を考えるうえで参考となります。すなわち、一時は、サービスが人手不足に伴う賃金上昇に起因してプラスであった一方で、財はエネルギー価格に従ってマイナスだったんですが、エネルギー価格の反転上昇に伴って、最近時点では、半耐久財・非耐久財はサービス価格の上昇率を上回って推移しており、耐久消費財についてもエコカー減税や下で家電エコポイントなどの政策的なかく乱要因を脱して買い替えサイクルが復活したことに伴いグングンとマイナス幅を縮小しています。このまま賃上げが進まなければ、ますますエネルギー価格に反応した物価動向となる可能性が高いものと考えられます。昨日の経済財政諮問会議では3%賃上げが要請されましたが、今後の賃金動向が物価に及ぼす影響が注目されます。多摩、下のパネルの基礎的・選択的支出別の上昇率を見る限り、昨年2016年11月から基礎的支出の価格上昇率が選択的支出を上回り、しかも、今年2017年2月からは選択的支出の物価上昇がマイナスに落ち込む一方で、基礎的支出がプラス、加えて、今年2017年4月からはその上昇幅が+1%に達しており、生活必需品の物価上昇が大きくて、生活実感としては通常の買い物時の値上がりをヘッドライン上昇率以上に大きいと感じかねません。したがって、多くの国民の生活水準を維持するためには、ここでも賃上げが必要となっている我が国の経済実態を指摘しておきたいと思います。

最後に、先の総選挙の争点のひとつだった幼児教育と保育の無償化について、大和総研のリポートに試算結果が明らかにされており、「保育所保育料と幼稚園保育料がともに完全無償化されるケースは▲0.9%pt程度」の影響が全国コアCPIにある、と結論しています。ご参考まで。

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