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2017年10月30日 (月)

順調な伸びを続ける商業販売統計の小売業販売額の死角は所得か?

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.2%増の11兆2860億円と増加を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の小売販売額、前年比2.2%増 自動車販売が好調
経済産業省が30日発表した9月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.2%増の11兆2860億円だった。プラスは11カ月連続。自動車販売が引き続き好調に推移している。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
11カ月連続で前年実績を上回るのは、エコカー補助金や家電エコポイントの追い風が吹いていた2010年1~11月以来、約7年ぶり。
業種別でみると、最も増加寄与度が高かったのは自動車小売業で、前年同月に比べ5.9%増えた。新型車効果が継続しており、14カ月連続のプラスとなった。
次に高かった医薬品・化粧品小売業(5.8%増)は、訪日外国人(インバウンド)需要を取り込み高額商品の販売が伸長。例年より低温だったため風邪薬も売れた。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.8%増の1兆4968億円だった。既存店ベースでは1.9%増加した。百貨店は全店ベースで2.1%伸びた。インバウンド需要で高額商品が好調なほか、肌寒い天気が続いたことで秋冬物の衣料の売れ行きも上向いたという。
コンビニエンスストアの販売額は2.1%増の9781億円だった。新規出店が続いていることもあり、55カ月連続で前年実績を上回った。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

photo

引用した記事にもある通り、昨年2016年11月に始まって、季節調整していない原系列の小売業販売額が前年同月比伸び率で見て11か月連続でプラスを記録しており、ドラッグストアにおけるインバウンド消費も含まれているとはいえ、インバウンドだけではなく国内の消費は底堅いと私は考えています。小売業販売額の内訳として、前年同月比の伸び率で高い順にいくつか業種を上げると、自動車小売業が+5.9%ぞう、さらに、医薬品・化粧品小売業が+5.8%増ですが、これにはGDPベースでは消費ではなく輸出と分類されるインバウンド消費も入っていると考えられます。続いて、織物・衣服・身の回り品小売業が+5.0%増を記録しています。燃料小売業の伸びも高いんですが、国際商品市況における石油価格の上昇に連動して名目値で伸びが高まっている気がします。ということで、足元の今年2017年9~10月も決して天候条件はよくなかったという印象を私は持っているんですが、気温が上がらず寒かっただけに秋冬物衣料が売れたのかもしれませんし、自動車や家電などの耐久消費財が、リーマン・ショック後の混乱やエコカー減税、家電エコポイント、消費増税などの政策的な攪乱要因が一巡し、自律的な買い替えサイクルがようやく復活しつつあるところではないかと受け止めています。統計作成官庁である経済産業省の基調判断も「持ち直しの動き」となっており、年度内くらいの先行きを含めて、消費は順調に回復・拡大を続けるものと期待しています。基本的には、雇用とマインドが消費をサポートするものと考えていますが、そろそろ経済財政諮問会議などで議論が始まった賃金の行方だけが気がかりです。先の総選挙でも企業の内部留保課税の議論が出た後、すぐにしぼんでしまいましたが、所得でサポートされなければ消費の持続性は長くない可能性も否定できません。合成の誤謬を克服して企業が賢明な経営判断を下すことを期待しています。

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