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2017年11月29日 (水)

1年振りに前年同月比がマイナスに落ち込んだ商業販売統計の小売業販売額は消費の停滞を象徴しているのか?

本日、経済産業省から10月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲0.2%減の11兆5330億円と昨年2016年10月以来1年振りにマイナスを示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の小売販売額、前年比0.2%減 天候不順で客足伸びず
経済産業省が29日発表した10月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比0.2%減の11兆5330億円だった。12カ月ぶりに前年実績を下回った。天候不順で客足が伸び悩んだ。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別でみると、最も減少寄与度が高かったのは飲食料品小売業で、前年同月と比べて1.5%減少した。前年より野菜の相場が下がったことが影響した。次に寄与度が高かった機械器具小売業は0.9%減となった。米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の新機種発売を前に買い控えが起きたようだ。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で0.5%減の1兆5889億円だった。既存店ベースでは0.7%減となった。百貨店は全店ベースで1.5%減少した。天候不順に加え、土曜日が前年より1日少なかったことも響いた。
コンビニエンスストアの販売額は0.6%増の9982億円だった。加熱式タバコやCD・ゲームソフトがけん引した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

photo

ということで、季節調整していない前年同月比上昇率で見て、引き続き、自動車小売業が+3.2%の増加と堅調な動きを示している一方で、引用した記事にもある通り、天候要因と土曜日が少ない曜日要因も含めて、飲食料品小売業が▲1.5%のマイナスを示したほか、新型iPhone待ちで機械器具小売業も▲0.9%の減少となっています。所得は個人単位で賃金の上昇がほとんどない一方で、雇用者の増加、特に、正規雇用者の増加でマクロの所得は増加していますし、今年の冬のボーナスはそれなりに増加しそうですから、所得要因から消費が減少に転ずる可能性は小さいと私は考えています。季節調整済みの系列で見た前月比も横ばいですし、過度の我が国の消費が停滞しているような悲観論は不要ではないかと思います。ただし、消費者物価上昇率を考え合わせると、実質の消費はほぼ▲1%の減少を示したともいえ、それなりの落ち込み幅ではないかと受け止めています。ボーナスの出方も見つつ、11~12月の統計も注視したいと思います。

最後に、米国では先週の感謝祭の次のブラック・フライデイから始まったクリスマス商戦が好調のようです。11月28日付けの全米小売業協会(NRF)の記者発表資料によれば、11月23日の感謝祭から27日のサイバー・マンデイまでの5日間で、174百万人が実店舗もしくはオンラインで買い物を行ったようです。NRFの事前の予想では164百万人でしたので、この事前予想を上回り好調な滑り出しと受け止められています。同じ5日間の1人当たりショッピング額も335.47に上っており、年齢階層別では25-34歳の年長ミレニアル世代が419.52ドルと、もっとも高額のショッピングをしています。以下のフラッシュはNRFのサイトにアップされているものをシェアして単純に3枚並べています。





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