9月の景気動向指数は下降するも景気拡大期間はいざなぎ超えを確認!
本日、内閣府から8月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月比▲0.6ポイント上昇して106.6を、CI一致指数も▲1.9ポイント下降して115.8を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
景気拡大、いざなぎ超え確認 9月動向指数「改善」
2012年12月に始まった今の景気拡大の長さが高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さになった。内閣府は8日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)の基調判断を最も強気の「改善を示している」に11カ月連続で据え置いた。公式には時間をおいて判断するが、暫定的に今の景気拡大は9月で58カ月間に達した。
CIは生産や雇用などの経済指標の動きを総合して算出し、景気の方向感を示す。景気回復の期間などは正式には専門家でつくる内閣府の研究会が決めるが、内閣府はCIをもとに毎月、景気の基調を機械的に判断している。
茂木敏充経済財政・再生相は9月25日の月例経済報告で既に現在の景気は「いざなぎ景気を超えた可能性がある」との認識を示していた。今回の景気動向指数の判断により、これが暫定的に確認された。
いざなぎ景気は1965年11月から70年7月まで57カ月間続いた。今の景気拡大が2019年1月まで続けば、02年2月から73カ月間続いた戦後最長の景気回復を抜くことになる。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
ついつい、メディアの論調の尻馬に乗ったタイトルを採用してしまいましたが、実は、私は景気拡大期間がいざなぎ景気を超えたかどうかとか、ましてや戦後最長かどうか、にはそれほど興味はないものの、まあ、景気拡大期間が短いよりは長い方が好ましく、逆に、景気後退期間は短い方が好ましい点については、ほとんどすべてのエコノミストが一般論として同意するんではないかと思います。「ほとんどすべて」であって、「すべて」ではないのは、いまだに清算主義的な考えを持つ人もいなくはなく、景気後退期間が十分な期間あって、例えば、非効率な企業の市場からの退出などが、次の景気拡大期を健全なものにする、という考え方が一掃されたわけではないからです。私は企業部門もさることながら、雇用へのダメージの方をより重視するタイプのエコノミストですので、景気後退期間は短く浅い方が望ましいと考えています。ということで、本来の目的に立ち返って、9月の景気動向指数を概観しておくと、実は、9月統計はCI一致指数、CI先行指数とも下降を示しています。一致指数については、トレンド成分だけの寄与の項目を除いてプラス寄与は商業販売額(小売業)(前年同月比)だけとなっており、投資財出荷指数(除輸送機械)、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)などが、この順で軒並みマイナス寄与しています。先行指数については一致指数ほど極端ではありませんが、それでも、日経商品指数(42種総合)、消費者態度指数、新設住宅着工床面積、マネーストック(M2)(前年同月比)などがプラス寄与している一方で、中小企業売上げ見通しDI、最終需要財在庫率指数、鉱工業用生産財在庫率指数、新規求人数(除学卒)がマイナス寄与となっています。また、内閣府が公表している「『CIによる景気の基調判断』の基準」に従えば、景気拡大の基準は「原則として3か月以上連続して、3か月後方 移動平均が上昇」なんですが、実は、9月統計のCI一致指数の3か月後方移動平均の前月差は8月統計の+0.63から大きく低下して▲0.33を記録しています。ただ、「拡大」の次のステージである「足踏み」の定義が「3か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1か月、2か月または3か月の累積)が1標準偏差分以上」ということですので、前半の符号のマイナス変化は当てはまるものの、後半のマイナス幅基準が1標準偏差に達しない、ということなんだろうと認識しています。
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