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2017年12月 8日 (金)

堅調な成長を示す2次QEとついでながらの景気ウォッチャーと毎月勤労統計と経常収支!

本日、内閣府から7~9月期のGDP統計2次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.6%、年率では+2.5%を記録しました。1次QEから設備投資を中心に上方修正されたことから、潜在成長率をかなり超えた高成長といえます。ただ、4~6月期と違って内需の寄与よりも外需の寄与が大きい成長となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP年率2.5%増に上方修正 7-9月改定値、設備投資・在庫が寄与
内閣府が8日発表した2017年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値の伸び率は物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.5%増と、速報値(前期比0.3%増、年率1.4%増)から上方修正した。設備投資の上振れや原材料在庫の増加が寄与した。QUICKが4日時点でまとめた民間予測の中央値(前期比0.4%増、年率1.5%増)を上回った。
実質成長率は7四半期連続の増加。内閣府は「景気の緩やかな拡張が続いている」(経済社会総合研究所)と指摘した。
設備投資は前期比1.1%増と、速報値の0.2%増を大幅に上回った。1日発表の法人企業統計で、宿泊などサービス業に加え金融機関などで投資が伸び、改定値の上方修正に貢献した。民間在庫の寄与度は0.4%と、速報値(0.2%)を上回った。石油化学関連の原材料や鋼材といった資材在庫の積み増しが目立ったようだ。
このほかの内需項目は、個人消費が速報値と同じ前期比0.5%減、住宅投資が1.0%減(同0.9%減)、公共投資が2.4%減(同2.5%減)だった。
輸出は前期比1.5%増と速報値と同じで、輸出から輸入を差し引いた外需の実質GDP改定値への寄与度もプラス0.5ポイントと速報値から変わらなかった。
生活実感に近い名目GDPは前期比0.8%増(速報値は0.6%増)、年率で3.2%増(2.5%増)となった。総合的な物価の動きを示すGDPデフレーターは速報値と同じ前年同期比プラス0.1だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2016/7-92016/10-122017/1-32017/4-62017/7-9
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.2+0.3+0.4+0.7+0.3+0.6
民間消費+0.4+0.1+0.4+0.9▲0.5▲0.5
民間住宅+3.0+0.2+0.9+1.3▲0.9▲1.0
民間設備▲0.2+1.5+0.2+1.2+0.2+1.1
民間在庫 *(▲0.5)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.0)(+0.2)(+0.4)
公的需要+0.4▲0.7+0.2+1.1▲0.6▲0.5
内需寄与度 *(▲0.1)(+0.0)(+0.3)(+1.0)(▲0.2)(+0.1)
外需寄与度 *(+0.3)(+0.3)(+0.1)(▲0.2)(+0.5)(+0.5)
輸出+2.1+3.0+1.9▲0.1+1.5+1.5
輸入+0.1+1.3+1.3+1.5▲1.6▲1.6
国内総所得 (GDI)+0.5+0.0+0.2▲0.1+0.4+0.7
国民総所得 (GNI)▲0.1+0.1+0.2+0.9+0.6+0.8
名目GDP▲0.1+0.5+0.1+0.8+0.6+0.8
雇用者報酬+1.1▲0.3+0.2+1.0+0.5+0.7
GDPデフレータ▲0.1▲0.1▲0.9▲0.4+0.1+0.1
内需デフレータ▲0.8▲0.4▲0.0+0.3+0.5+0.5

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された7~9月期の最新データでは、前期比成長率が7四半期連続でプラスを示し、黒い外需(純輸出)と灰色の在庫が大きなプラスの寄与を、赤い消費がマイナスを、それぞれ示しているのが見て取れます。

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ということで、引用した記事にもありますし、一昨日の1次QE予想でも取り上げましたが、7~9月期2次QEでは1次QEから小幅上昇改定が予想されていたところ、統計が公表されてみると、かなり大幅な上方改定となりました。季節調整済みの前期比で見て、設備投資が1次QEの+0.2%増から2次QEでは+1.1%増に大きく上方改定されましたので、設備投資の寄与だけで+0.2%の成長率押し上げがなされたことになります。加えて、在庫の寄与がやはり1次QEから2次QEに向けて+0.2%の上方改定でしたので、国内需要の寄与度が1次QEの▲0.2%から2次QEでは+0.1%に+0.3%ポイントのスイングを見せました。他方、外需項目の輸出と輸入は伸び率も寄与度も1次QEから2次QEへの変更はほとんどありませんでした。基本的には、1次QEから景気判断として変更すべきポイントはないと私は受け止めており、引き続き、少し目先の先行きも含めて、日本経済は緩やかな回復ないし拡大を続けているものと考えるべきです。ただ、上方修正の大きな需要項目である設備投資と在庫をもう少し詳しく見ると、形態別固定資本形成のうち、特に季節調整済みの系列の前期比で見て伸びが大きかったのは、建物・構築物と輸送機械を除くその他の機械設備等が+1.1%、さらに、知的財産生産物が+0.8%となっています。新たに設備投資に加えられるようになったR&D やソフトウェアなど知的財産生産物への投資が増加しているのが見て取れます。さらに、在庫がプラスに上振れしたのは、評価の難しいところかもしれません。単純には、前向きの営業姿勢であり、売上げの増加に対応した在庫増だと見なすことも出来ますが、意図せざる在庫増の可能性も否定できません。ただ、GDPへの寄与度+0.4%を示した在庫変動を詳細に見ると、原材料在庫が+0.2%、仕掛品在庫が+0.0%、製品在庫と流通品在庫がともに+0.1%となっていて、消費の減退に対応した売れ残りではなさそうな気もします。
なお、1次QE公表の際にも同じことを書いたように記憶していますが、現在のアベノミクスを批判しようという意図があれば、4~6月期の消費をはじめとする内需主導成長が7~9月期には続かずに外需主導になった、と批判すればいいわけですし、逆に、アベノミクスを擁護しようとすれば、4~6月期と7~9月期をならして見れば順調な成長経路に乗っている、ということになるんではないかという気がします。ですから、何とでも評価できそうです。しかし、特にボリュームの観点から注目すべき消費についてもう少し詳しく見ると、1人当たりの統計で見て賃金上昇が見られないものの、正規雇用をはじめとして量的な雇用の増加があることから、マイクロな個人単位の賃上げなくてもマクロな雇用者所得の増加は観察されており、決して消費者マインドは悪くないことも考え合わせると、天候要因ほかの特殊要因がなくなれば消費は回復するものと考えています。何度か繰り返しましたが、消費が停滞しているのは所得が伸びていないのが原因であり、年金制度などの将来不安ではないと私は考えています。ただし、消費を財別にさらに詳細に見ると、耐久財消費が7~9月期には前期比でマイナスに転じていて、消費増税やエコカー減税、家電エコポイントなどで攪乱された耐久消費財の買い替えサイクルの復活が早くも終了した可能性を示唆する見方も出ています。今後の動向が気がかりです。

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最後に、GDP統計以外の政府経済指標に目を転ずると、内閣府から11月の景気ウォッチャーが、また、厚生労働省から10月の毎月勤労統計が、さらに、財務省から10月の経常収支が、本日、それぞれ公表されています。いつものグラフは上の通りであり、上のパネルから順に、景気ウォッチャーの現状判断DIと先行き判断DI、毎月勤労統計の賃金のうち季節調整していない原系列の前年同月比上昇率と季節調整済みの系列、最後は経常収支の棒グラフとその内訳の積上げ棒グラフです。各統計のヘッドラインだけ簡単に取りまとめると、景気ウォッチャーの11月の現状判断DIは、季節調整済みの系列で見て前月差+2.9ポイント上昇の55.1とさらに上昇を続けています。毎月勤労統計の実質賃金指数のうち現金給与総額は、季節調整していない原系列で見て前年同月比で+0.2%の増加を示しています。経常収支は季節調整していない原系列の統計で2兆1764億円の黒字を計上し、黒字は40か月連続を記録しています。

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