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2017年12月18日 (月)

アジア向け輸出が好調で貿易統計は6か月連続の黒字を計上!

本日、財務省から11月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+16.2%増の6兆9204億円、輸入額も+17.2%増の6兆8071億円、差引き貿易収支は+1134億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の貿易収支6カ月連続黒字 1134億円、アジア向け輸出最高
財務省が18日発表した11月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1134億円の黒字だった。6カ月連続で貿易黒字となった。世界経済の回復を受けて、アジア向け輸出が過去最高を更新するなど輸出入ともに好調を維持した。ただ原油などの単価上昇で黒字幅は前年同月比2割縮小した。
輸出額は前年同月比16.2%増の6兆9204億円と、12カ月連続でプラスだった。中国向けの液晶デバイス製造装置や米国向けの自動車、タイ向けの鉄鋼などが増加に寄与した。
地域別に見ると、アジア向け輸出は3兆8949億円と20.4%伸び、過去最高を更新した。中国向け(25.1%増)も過去最高だった。米国向けは13.0%増と10カ月連続で前年実績を上回った。自動車や掘削機などが伸びた。欧州連合(EU)向けは13.3%増だった。
一方、輸入額は17.2%増の6兆8071億円だった。11カ月連続で増加した。原粗油や石炭といった資源が値上がりしたほか、中国からスマートフォン(スマホ)の輸入が大幅に増えた。ロシアからのパラジウムも伸びた。為替が前年同月に比べ8%ほど円安方向に進んだことも円建て価格の押し上げにつながった。
対中国では輸入額が21.6%増え、9カ月連続の貿易赤字となった。対米国では黒字幅が13.7%増と5カ月連続でプラスとなった。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

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引用した記事にもある通り、季節調整していないベースの貿易収支は今年2017年6月から6か月連続で黒字を記録していますが、トレンドを見るための季節調整済みの系列だと2015年11月から25か月、すなわち、2年余り貿易黒字が続いています。この間、我が国の貿易収支をスィングさせてきたのは国際商品市況における石油価格です。短期では石油需要は価格にそう弾力的であるとも思えず、国際商品市況における価格動向とともに為替水準によっても輸入額が変動することになります。現時点では、石油をはじめとする国際商品市況は、新興国、特に中国の景気回復を受けてジワジワと値を戻しており、引用した記事にもある通り、為替も1年前から10%近い円安水準となっています。ですから、為替のいわゆるJカーブ効果も合せて、石油価格と為替から輸入額は短期には上振れして、貿易黒字が縮小する可能性が十分あり、11月統計では貿易黒字が先月よりも縮小していますが、これは主として季節要因によるものであり、季節調整済みの系列ではむしろ先月よりも貿易黒字は拡大しています。ということで、現時点では、世界経済の回復・拡大を受けて我が国からの輸出が好調に推移している、と見るべきです。地域別はグラフにしていませんが、これも引用した記事にもある通り、アジア向けの輸出が大きく伸びています。

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輸出をいくつかの角度から見たのが上のグラフです。上のパネルは季節調整していない原系列の輸出額の前年同期比伸び率を数量指数と価格指数で寄与度分解しており、まん中のパネルはその輸出数量指数の前年同期比とOECD先行指数の前年同月比を並べてプロットしていて、一番下のパネルはOECD先行指数のうちの中国の国別指数の前年同月比と我が国から中国への輸出の数量指数の前年同月比を並べています。ただし、まん中と一番下のパネルのOECD先行指数はともに1か月のリードを取っており、また、左右のスケールが異なる点は注意が必要です。ということで、繰り返しになりますが、国際商品市況で石油価格が上昇して、我が国の輸入が大きく増加している一方で、世界経済も順調な回復・拡大を見せて、我が国の輸出も大きく増加しています。特に輸出についてはアジア向けが増加しており、数量べースでも、いくつかのシンクタンクの独自推計では、半導体や鉄鋼が輸出数量の増加に大きく寄与しているとリポートしています。ただ、我が国輸出の先行きに関しては、米国の利上げや欧州中銀(ECB)のテーパリングなどの金融政策動向が気がかりです。ラグを伴って世界経済の景気動向に影響を及ぼすとともに、短期的には為替水準へのインパクトが小さくないからです。米国トランプ政権の通商政策については、金融政策に次いで気がかりです。

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