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2017年12月28日 (木)

増産が続く鉱工業生産指数(IIP)と小売販売額が伸びた商業販売統計!

官庁ではご用納めの本日、経済産業省から11月の鉱工業生産指数 (IIP)商業販売統計が公表されています。鉱工業生産指数は季節調整済みの系列で前月比+0.6%の上昇を示し、今年初めての2か月連続の増産です。また、商業販売統計のうちのヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.2%増の11兆9680億円を記録し、季節調整済みの系列の前月比で見ても+1.9%増でした。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

11月の鉱工業生産、前月比0.6%上昇 基調判断を引き上げ
経済産業省が28日発表した11月の鉱工業生産指数(2010年=100、季節調整済み、速報値)は103.6と、前月に比べ0.6%上昇した。上昇は2カ月連続で、QUICKがまとめた民間予測の中央値(0.5%上昇)も上回った。経産省は生産の基調判断を「持ち直しの動き」から「持ち直している」に引き上げた。「持ち直している」の表現を使うのは1996年1月以来、約22年ぶり。
全15業種のうち10業種で前月を上回った。最も上昇に寄与したのは汎用・生産用・業務用機械工業(3.1%上昇)だった。半導体製造装置やショベル系掘削機械などがけん引した。電子部品・デバイス工業は4.3%上昇した。メモリーやCCDといった半導体集積回路が伸びた。
一方、低下したのは5業種だった。最も低げたのは化学工業で1.7%低下だった。美容液や乳液、合成洗剤などが落ち込んだ。
出荷指数は2.4%上昇の101.3だった。在庫指数は1.0%低下の109.6。在庫率指数は2.9%低下の110.9だった。
メーカーの先行き予測をまとめた製造工業生産予測調査では、12月が3.4%上昇、18年1月は4.5%低下となった。
11月の小売販売額、前年比2.2%増 基調判断は据え置き
経済産業省が28日発表した11月の商業動態統計(速報)によると、小売業販売額は前年同月比2.2%増の11兆9680億円だった。2カ月ぶりに前年実績を上回った。経産省は小売業の基調判断を「持ち直しの動きがみられる」で据え置いた。
業種別でみると、最も増加寄与度が高かったのは燃料小売業で、前年同月に比べ11.4%増えた。原油相場の上昇を受け石油製品が値上がりしたことが影響した。次に寄与度が高かった自動車小売業は4.6%増加した。新車効果が続いているようだ。
大型小売店の販売額は、百貨店とスーパーの合計で1.4%増の1兆6714億円だった。既存店ベースでも1.4%増となった。百貨店は全店ベースで2.2%増加した。訪日外国人(インバウンド)需要が引き続き好調だった。
コンビニエンスストアの販売額は1.8%増の9524億円だった。加熱式タバコなどがけん引した。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、鉱工業生産と出荷のグラフは以下の通りです。上は2010年=100となる鉱工業生産指数そのものであり、下のパネルは輸送機械を除く資本財出荷と耐久消費財出荷のそれぞれの指数です。いずれも季節調整済みの系列であり、影を付けた期間は景気後退期を示しています。

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まず、鉱工業生産については、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスでは+0.5%の増産でしたから、ほぼほぼジャストミートしたといえます。他方、製造工業生産予測指数では12月+3.4%の増産の後、2018年1月は▲4.5%の減産と見込まれており、12月については製造工業生産予測指数の上方バイアスを修正して+1.8%±1%と試算されていますので、3か月連続の増産がかなり確度高くなっており、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である経済産業省では、基調判断を「持ち直しの動き」から「持ち直している」に半ノッチ引き上げています。これまでは増産と減産が交互に続くジグザグの動きでしたが、11月統計の実績で2か月連続の増産、12月の製造工業生産予測指数を考えると実態として3か月連続の増産ですから、2018年1月が減産に転じるとしても、上のグラフを見るにつけても、生産はかなり堅調だと考えるべきです。しかも、産業別に見ても我が国が比較優位を持つ産業が前月比で大きく伸びています。すなわち、前月比で見て、半導体製造装置などのはん用・生産用・業務用機械工業が+3.1%増、モス型半導体集積回路(メモリ)・モス型半導体集積回路(CCD)などの電子部品・デバイス工業が+4.3%増、外部記憶装置などの情報通信機械工業が+3.8%増などとなっています。また、出荷については鉄鋼業で伸びて、その裏側で鉄鋼業の在庫が低下したりしています。繰り返しになりますが、上のグラフの上のパネルに見られるように、ユニバリエイトな見方ながら、生産は堅調です。しかし、上のグラフのうちの下のパネルに見られる通り、資本財出荷はかなり上向いていますが、耐久消費財はまだ横ばいを続けており、輸出に支えられた好調な企業部門とまだ本格回復といえるかどうか怪しい消費の対比については留意しておくべきだという気がします。特に出荷の数量ベースではそういえます。

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続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。鉱工業生産指数(IIP)の出荷の数量ベースでは耐久消費財の伸びはまだまだ物足りない段階でしたが、消費全体としてはそれなりの上向きが確認されたと受け止めています。ただし、統計作成官庁の同じ経済産業省の基調判断が、これも引用した記事にある通り、鉱工業生産指数(IIP)では「持ち直しの動き」から「持ち直している」に引き上げられているのに対して、商業販売統計では「持ち直しの動き」に据え置かれています。この基調判断に典型的に示されているように、企業部門は好調ながら、家計部門はまだもう少し物足りなさが残っていることも確かです。外需と内需の差ともいえます。もう少し詳しく見ると、10月統計の速報時には、天候要因と土曜日が少ない曜日要因も含めて、飲食料品小売業が▲1.5%のマイナスを示したことから、小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比▲0.2%減を記録しましたが、直近の1月統計では+2.2%増ですから、決して悪くないといえます。ただ、生産が比較優位産業の増産に支えられている一方で、小売販売額は、自動車小売業の+4.6%増や電機製品などの機械器具小売業の+8.2%増などがけん引した部分もあるとはいえ、国際商品市況における石油価格の上昇に伴う燃料小売業の+11.4%増が主因ですので、やや消費の内容が悪い部分もあると考えるべきです。ただ、11月統計はボーナスの出る12月年末商戦の前触れかもしれないものの、消費についてはもっとボリュームの大きい12月統計に注目したいと思います。

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