IMF World Economic Outlook Update, January 2018 やいかに?
昨日、ダボス会議にて国際通貨基金(IMF)から「世界経済見通し改定」 World Economic Outlook Update, January 2018 が公表されています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、成長率の総括表をIMFのブログ・サイトから引用すると以下の通りです。
見れば明らかなんですが、昨秋2017年10月時点の見通しから全般的に成長率については上方修正されています。2017年の世界経済の成長率は昨年10月時点の見通しからさらに+0.1%ポイント上方改定されて+3.7%と見込まれている上に、2018-18年はともに前回見通しから+0.2%ポイント上方修正されて+3.9%が見込まれています。
日本については、今年2018年の成長率は+1.2%と前回見通しから+0.5%ポイントも上方修正されています。ただ、2019年については消費税率が8%から10%に引き上げられることから、成長率は+0.9%に鈍化すると予想されています。この上方改定には、外需予測の上方修正を反映しているほか、2018年の補正予算や、予測よりも活発だった最近の経済活動の効果が持ち越されることを反映している "reflecting upward revisions to external demand, the supplementary budget for 2018, and carryover from stronger-than-expected recent activity" ことを理由に上げています。
先行きリスクとしては、短期には上振れリスクと下振れリスクがおおむね均衡している一方で、中長期的には下振れリスクの方が大きく、最大のリスクは融資条件が現在の緩和的な水準から引き締められていくこと "tightening of global financing terms from their current easy settings" であると指摘しています。そして、そのための政策対応としては、第1に構造政策による潜在成長率の向上、特に高齢化が進む先進国では労働参加率の向上も潜在成長率を高める施策として用いるべき "structural reforms to lift productivity and, especially in advanced economies with aging populations, enhance labor force participation rates"、第2により積極的な金融規制などを通じてレジリエンスを高めること "to increase resilience, including through proactive financial regulation"、とされており、先行きの金融緩和の終了やテイパリング、さらには金利引上げなどへの対応を求めています。
実質GDP | 消費者物価指数 (除く生鮮食品) |   | ||
消費税率引き上げの 影響を除くケース | ||||
2017年度 | +1.8~+2.0 <+1.9> | +0.7~+1.0 <+0.8> | ||
10月時点の見通し | +1.7~+2.0 <+1.9> | +0.7~+1.0 <+0.8> | ||
2018年度 | +1.3~+1.5 <+1.4> | +1.3~+1.6 <+1.4> | ||
10月時点の見通し | +1.2~+1.4 <+1.4> | +1.1~+1.6 <+1.4> | ||
2019年度 | +0.7~+0.9 <+0.7> | +2.0~+2.5 <+2.3> | +1.5~+2.0 <+1.8> | |
10月時点の見通し | +0.7~+0.8 <+0.7> | +2.0~+2.5 <+2.3> | +1.5~+2.0 <+1.8> |
最後に、昨日から開催されていた日銀金融政策決定会合で「展望リポート」が明らかにされています。政策委員の大勢見通しは上の通りです。+2%の物価目標の達成時期については、「19年度ごろ」とした従来の見通しを維持しています。
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