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2018年1月 9日 (火)

やや低下したものの高い水準を示す消費者態度指数と久し振りに実質賃金が増加した毎月勤労統計!

本日、内閣府から昨年2017年12月の消費者態度指数が、また、厚生労働省から11月の毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。消費者態度指数は前月から▲0.2ポイント低下し44.7を記録した一方で、毎月勤労統計の名目賃金指数は季節調整していない原数値の前年同月比で+0.9%の上昇を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

消費者態度指数0.2ポイント低下 17年12月、ガソリン高など重荷に
内閣府が9日発表した2017年12月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比0.2ポイント低下の44.7だった。低下は4カ月ぶり。ガソリン価格やレタスなど一部の生鮮野菜が上昇し、消費者心理を冷やした。内閣府は消費者心理の基調判断を「持ち直している」で据え置いた。
消費者態度指数を構成する4項目のうち「暮らし向き」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」が前月に比べて低下した。「収入の増え方」は前月と同水準だった。
消費者態度指数に含まれない「資産価値」の意識指標は44.5と前月比2.3ポイント低下した。
1年後の物価見通し(2人以上世帯)について「上昇する」と答えた割合(原数値)は前月より1.4ポイント高い80.0%だった。上昇は5カ月連続。「低下する」は前月比0.3ポイント高い4.0%、「変わらない」は12.5%と2.0ポイント低下した。
調査基準日は17年12月15日。調査は全国8400世帯が対象で、有効回答数は5841世帯(回答率69.5%)だった。
名目賃金、17年11月は0.9%増 4カ月連続プラス 毎月勤労統計速報
厚生労働省が9日発表した2017年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月に比べて0.9%増の27万8173円だった。4カ月連続で増加した。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与は前年同月比0.4%増だった。残業代など所定外給与は2.6%増、ボーナスなど特別に支払われた給与は7.5%増と大きく伸びた。
物価変動の影響を除いた実質賃金は前年同月比0.1%増加した。プラスは16年12月以来11カ月ぶり。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は0.7%上昇したものの、名目賃金の伸びが上回った。
パートタイム労働者の時間あたり給与は前年同月比1.5%増の1109円だった。パートタイム労働者比率は0.27ポイント低下の30.69%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との見方を示した。


いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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消費者態度指数を構成する4項目のコンポーネントについて、12月統計を前月差で詳しく見ると、「収入の増え方」だけが前月と変わらずだったほかは、軒並み低下を示し、「暮らし向き」が前月差で▲0.3ポイント低下、「雇用環境」も▲0.3ポイント低下、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.2ポイント低下を示しています。9~11月の3か月連続で4項目すべてが上昇を示していて、消費者態度指数としては9月+0.6ポイント、10月も+0.6ポイント、11月が+0.4ポイントと大きく上昇を続けていましたので、12月統計ではガソリンや一部の生鮮食品などの値上がりが消費者マインドの低下につながりましたが、この3か月の反動もあって、指数の水準としては40を超えて、それなりに高い状態が続いており、まだ悪くはないと考えるべきです。ですから、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府では基調判断を「持ち直し」で据え置いています。先行きも、賃金と物価と株価の見合いで変化しそうな気もします。デフレから脱却する段階では賃金に先駆けて物価が上昇し、実質賃金が低下することから雇用が増加するという段階を経ますので、その先にある賃金上昇に到達するまで、少しラグがあることも考えられます。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは以下の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。賃金に着目すると、名目賃金は前年同月比で上昇しています。ただ、本格的なデフレ脱却はまだながら消費者物価(CPI)が上昇していることから、実質賃金に引き直せば上昇幅は前年同月比で+0.1%増とわずかですが、それでも、ほぼ1年振りに近い11か月振りの実質賃金の上昇です。加えて、上のグラフのうちの最後のパネルに見られる通り、パートタイム労働者の伸び率がかなり鈍化して、フルタイム雇用者の増加が始まっているように見えます。ですから、労働者がパートタイムからフルタイムにシフトすることにより、マイクロな労働者1人当たり賃金がそれほど上昇しなくても、マクロの所得については、それなりの上昇を示す可能性が大きいと私は受け止めています。もちろん、企業が収益力を高める一方で労働分配率は低下を続けていますから、上のグラフの3番目のパネルに見られる通り、季節調整済みの系列で賃金を見ても、なかなかリーマン・ショック前の水準に戻りそうにありません。先行きに関しては、人手不足の進行とともに非製造業などで賃金上昇につながる可能性も大きくなっており、消費を牽引する所得の増加に期待が持てると私は考えています。消費者態度指数に示されているマインドはかなり高い水準にあり、賃金上昇による所得のサポートあれば消費はさらに伸びを高める可能性があると私は期待しています。

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