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2018年2月 8日 (木)

2か月連続で悪化した景気ウォッチャーと黒字の続く経常収支をどう見るか!

本日、内閣府から1月の景気ウォッチャーが、また、財務省から昨年2017年12月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列の現状判断DIが前月から▲4.0ポイント低下して49.9を、先行き判断DIも▲0.3ポイント低下して52.4を、それぞれ示し、また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+7972億円の黒字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

1月の街角景気、現状判断指数が50を下回る 大雪と寒波の影響
内閣府が8日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は前月比4.0ポイント低下の49.9と2カ月連続で悪化した。節目の50を下回ったのは2017年7月以来、6カ月ぶり。低下幅は消費税を増税した2014年4月以来、3年9カ月ぶりの大きさだった。大雪や寒波の影響で小売りが苦戦した。
内閣府は基調判断を「緩やかに回復している」から、「緩やかな回復基調が続いている」へ引き下げた。判断引き下げは17年1月以来となる。
部門別にみると家計動向が4.5ポイント低下の47.8となった。そのうち大雪の影響や気温低下で小売関連が5.4ポイント低下したのが目立った。企業動向も3.1ポイント低下、雇用も2.8ポイント低下した。
街角では家計動向について、飲食店から「大雪の影響で県外からの予約はキャンセルが殺到し、隣県からのマイカーによる来店が途絶えた」(北陸の高級レストラン)との声があった。ガソリン価格や野菜価格の上昇も重荷で「消費者のマインドは冷え切っている」(東北のスーパー)との声も出た。企業動向も「寒さが厳しく客足が鈍い。受注量が減少し、積雪の影響で運送遅延による返品も発生しており厳しい状況」(中国の食料品製造業)との指摘があった。
2~3カ月後を占う先行き判断指数は0.3ポイント低下の52.4と3カ月連続で悪化した。雇用が3.0ポイント低下の55.1、家計動向は0.2ポイント低下の51.8となった。一方、企業動向は0.6ポイント上昇の53.0だった。
17年12月の経常収支、7972億円の黒字 17年は10年ぶり高水準
財務省が8日発表した2017年12月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は7972億円の黒字だった。黒字は42カ月連続だが、黒字額は前年同月に比べて28.5%減少した。貿易黒字の減少が響いた。17年の経常収支は21兆8742億円の黒字と07年以来10年ぶりの高水準だった。
17年12月の貿易収支は5389億円の黒字で、黒字額は33.4%減少した。原粗油や通信機などの輸入が伸び、輸入全体で14.6%増加。自動車や半導体製造装置の好調で輸出も8.8%伸びたが、輸入の影響が上回った。
海外企業から受け取る配当金や投資収益を示す第1次所得収支は6148億円の黒字、10.1%減少した。第1次所得収支の黒字が対前年同月で減少するのは10カ月ぶり。海外株主への配当金の支払いが増加するなど証券投資収益の赤字が拡大した。
サービス収支は2045億円の赤字と前年同月(2886億円の赤字)に比べて赤字幅が縮小した。訪日外国人の増加を背景に旅行収支の黒字額が12月として過去最高となったことが貢献した。
同時に発表した2017年の国際収支状況によると、経常収支は21兆8742億円の黒字だった。黒字額は07年(24兆9490億円)以来10年ぶりの高水準だった。海外子会社から受け取る配当金の増加で第1次所得収支が黒字幅を拡大したことが寄与した。
17年のサービス収支は7061億円の赤字と比較可能な1996年以降で最小の赤字となった。旅行収支が1兆7626億円の黒字と過去最大だったことが追い風となった。

いつもながら、よく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、景気ウォッチャーのグラフは下の通りです。現状判断DIと先行き判断DIをプロットしています。いずれも季節調整済みの系列です。色分けは凡例の通りであり、影をつけた部分は景気後退期です。

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今年1月統計の季節調整済みの系列で見て、景気ウォッチャーのうちの現状判断DIが大きく低下したのは、引用した記事の通り、天候要因が大きいとはいえ少し驚きました。家計動向関連DI、企業動向関連DI、雇用関連DIともそれなりに大きな低下を示しているんですが、昨年2017年12月統計から今年1月にかけての低下幅を見ると、やはり、というか、何というか、家計動向関連DIが▲4.5ともっとも大きく低下し、企業動向関連DIは▲3.1に、雇用関連DIも▲2.8の低下に、それぞれとどまっています。まあ、企業動向関連DIも雇用関連DIも、いずれも大きな低下ではありますが、家計動向関連DIが最大となっています。加えて、先行き判断DIでは、家計動向関連DIが▲0.2と低下を示した一方で、企業動向関連DIは+0.6と、むしろ上昇していたりします。企業部門に比較して、家計部門の停滞感が大きくなっていると考えるべきです。昨夜も景気動向指数と毎月勤労統計を取り上げた際に主張した点ですが、景気拡大の実感が乏しい理由は賃上げによる所得の増加がほとんどなく、消費拡大が実現していないのが大きな原因のひとつであろうと考えられますし、景気拡大局面も後半に達した現段階で、相対的に好調な企業部門から賃上げという形で家計部門に購買力を移転することにより、景気回復・拡大をさらに確実にし長期化することが出来るのではないかと私は考えています。なお、誠についでながら、今週に入ってからの世界同時株安については、大きな反発なくこのまま推移すれば、我が国の企業マインドや消費者マインドには確実に下押し圧力を加えるものと私は推測しています。

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続いて、経常収支のグラフは上の通りです。青い折れ線グラフが経常収支の推移を示し、その内訳が積上げ棒グラフとなっています。色分けは凡例の通りです。上のグラフは季節調整済みの系列をプロットしている一方で、引用した記事は季節調整していない原系列の統計に基づいているため、少し印象が異なるかもしれません。先月11月統計の際には、季節調整済みの系列の統計ではサービス収支のうちの知的財産権等使用料の動きにより経常黒字の縮小がもたらされたことを明らかにしましたが、今月12月統計ではどこをどう見ても貿易黒字の縮小が謙譲黒字の縮小をもたらしているようです。すなわち、経常黒字は11月の+1兆7,005億円から12月には+1兆4,796億円に、▲2200億円超縮小しているところ、貿易黒字はそれ以上に、11月の+5,074億円から12月の+2,302億円へと、▲2770億円超の縮小を見せています。輸入の増加が主な要因であり、季節調整済みの系列で見た輸入は2017年7月の5兆8,087億円を底として、8月5兆8,494億円、9月5兆8,755億円、10月6兆1,433億円、11月6兆5,873億円、12月6兆7,326億円と増加を示しています。単純に見れば、国際商品市況における石油価格などの上昇が一因ですが、我が国が長期に景気回復・拡大を続けているのも輸入増加の要因のひとつであり、決して悲観視する必要はないものと私は考えています。引用した記事にもある通り、2017年通年の経常黒字は+21.9兆円であり、前年2016年の+20.3兆円を上回っています。

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