ジャパンネット銀行によるシェアリングサービスに関する調査結果やいかに?
先週金曜日2月16日付けの記事に、私はエコノミストとして、Airbnb とか Uber などのシェアリング・エコノミーに興味がある、と書きましたが、2月15日付けでジャパンネット銀行から「ミレニアル世代の "シェア消費" 事情は?」と題する利用意向・利用実態を調査した結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、ジャパンネット銀行のサイトから調査結果トピックスを3点引用すると以下の通りです。
調査結果トピックス
- ミレニアル世代のシェアサービスに対する興味・関心
場所・モノ・交通手段...3分野のシェアサービスについて、利用実態・利用意向を調査
利用に関心を持つミレニアル世代は6割超、受容度は親世代の約3倍に!- ミレニアル世代にとってのシェアサービスの魅力
ミレニアル世代にとって、シェアサービスは「お得」で「合理的」な、賢い選択
「他ユーザーとの交流のきっかけになる」の声も半数超え- シェアサービスと親和性が高い、ミレニアル世代の消費傾向
「モノをあまり持ちたくない」「合理性を重視する」「体験・つながりを大事にしたい」...
ミレニアル世代の消費傾向は、シェアサービスの特性とリンクする部分が多数
私のような中年を対象にした調査ではなく、2000年以降に成人あるいは社会人になるミレニアル世代対象の調査です。米国などではシェアリング・エコノミーの牽引役はミレニアル世代であるといわれており、ややバイアスあるものの、我が国でもそれなりに興味深い結果が出ています。図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、ジャパンネット銀行のサイトから シェアサービスに対するミレニアル世代の利用意向 の画像を引用すると上の通りです。各分野の利用意向とは、「すでに利用している」と「ぜひ利用したいと思う」と「機会があれば利用したいと思う」の合計ですから、濃淡はあるんでしょうが、まずまず利用意向としては高い方ではないかという気がします。ただし、欧米先進国などで考えられているシェアリング・エコノミーとはやや定義がズレているような気がします。私が考えるシェアリング・エコノミーとは、事業者がインターネット上にマッチングのためのプラットフォームを設置し、それによって消費者同士が、すなわち、CtoC で取引がなされ、その仲介手数料がプラットフォーム企業の収益になる、というもので、最初に書いた通り、Airbnb とか Uber などが典型です。でも、上の画像の各分野の1位から3位までを見る限り、極めて伝統的で従来型の貸衣装とか、レンタカーなども「シェアリング・サービス」と称してマーケティングを行っているような気がします。かつて、電気製品で何でもかんでも「ファジー」を付けたマーケティングがありましたが、そういった売込み上のテクニックと化しているのかもしれません。
次に、ジャパンネット銀行のサイトから シェアサービスに対するミレニアル世代の考え方 のグラフを引用すると上の通りです。「シェアサービスを利用するのは賢い選択だと思う」と答えた人は66%と約7割に上り、ほかにも、「シェアサービスは経済的だと思う」(77%)、「シェアサービスは合理的だと思う」(73%)と答えた人も、それぞれ7割を超えています。そのバックグラウンドとして、「モノをあまり持ちたくない」(51%)、「お金を使うときには合理性を重視するほうだ」(66%)、「モノよりも体験や人とのつながりを大事にしたい」(51%)などの結果も示されており、消費に対する意識がシェアリング・エコノミーとの親和性高いとの結果が示されています。
やや、本来のシェアリング・エコノミーを一部に誤解しつつ、売込み上のテクニックのように見えなくもありませんが、ミレニアル世代に対するシェアリング・サービスの浸透度はそれなりに高い結果が示されているように受け止めました。私は、たぶん、こういったシェアリング・サービスは利用する機会は少ないような気がしますが、エコノミストとして消費や経済への影響を考えたいと思っています。
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