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2018年2月 3日 (土)

米国雇用統計は堅調で金融政策は追加利上げを進める方向か?

日本時間の昨夜、米国労働省から1月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+200千人増と、市場の事前コンセンサスだった+175千人くらいの増加という予想を上回り、失業率も前月と同じ4.1%という低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の7パラだけ引用すると以下の通りです。

Employers added 200,000 jobs in January, topping forecasts
The labor market perked up in January as U.S. employers added a better-than-expected 200,000 jobs and wages grew at their fastest pace since the recession, fresh signs that hiring could remain solid this year despite a low unemployment rate that's creating worker shortages.br />The unemployment rate, which is calculated from a different survey, remained steady, as expected, at 4.1%, the Labor Department said Friday. The jobless rate remained at its lowest level since December 2000.
And in good news for workers, average hourly earnings in January rose 2.9% vs. a year ago, up from a 2.5% rate in December and above economists' projections of 2.6%. The nearly 3% jump in pay marks the fastest pace since the middle of 2009, just as the economy was emerging from the Great Recession, according to Nationwide's chief economist David Berson.
"The faster pace of wage gains indicates that the labor market is tightening, with employers having to pay higher wages to get the workers they want," Berson said.
In January, average hourly earnings for all employees on private non-farm payrolls rose by 9 cents to $26.74, following an 11-cent gain in December.
The number of jobs created in December was revised higher by 12,000 jobs to 160,000, further reducing fears that employment might be slowing.
Hiring appeared to slow late last year, possibly reflecting a low jobless rate that has diminished the pool of available workers. Many economists expect average monthly job growth to moderate further to about 160,000 in 2018 from about 170,000 last year as workers shortages intensify in a solidly-growing economy.

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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失業率は前月から横ばいの4.1%でしたが、この数字はサブプライム・バブル崩壊直前の水準を下回っており、ほぼほぼ完全雇用に近いと考えるべきです。非農業部門雇用者の伸びも+200千人を回復し、米国の雇用は堅調に推移していると理解すべきです。特に、民間部門については、米国労働省の統計では昨年2017年12月の前月からの伸びが+166千人、今年2018年1月が+196千人なわけですが、民間の給与計算会社であるADPの統計によれば、12月+242千人、1月+234千人ですので、米国労働省の米国雇用統計に現れている数字以上に米国の雇用は堅調である可能性があると私は考えています。ですから、米国の金融政策はかなり利上げに傾いていると、多くのエコノミストは理解しています。すなわち、先月1月最後の連邦準備委員会(FOMC)はイエレン前議長の最後のFOMCでしたし、見事に無風で追加利上げ無しで終わりましたが、パウエル新議長の下で3月20-21日に開催予定のFOMCでは追加利上げが大いに議論されることが確実視されています。もちろん、3月FOMCの前に公表される米国雇用統計で寒波の影響などによりイレギュラーな結果が出たりすると、スケジュール通りの追加利上げは出来ない可能性もありますが、むしろ、トランプ政権の減税政策などにより景気が加熱する恐れもなしとしないことから、連邦準備制度理事会(FED)の利上げペースが速まる可能性すらあるとの市場観測も出いていたりします。

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最後に、時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、底ばい状態を脱して少し上向きに転じつつも、もう一段の加速が見られないと考えられてきましたが、それでも、1月は前年同月比で+2.9%の上昇を見せています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、物価上昇を上回る賃金上昇が続いているわけですから、そろそろ金融政策で対応すべき段階であるのかもしれません。

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