帝国データバンクによる「2018年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果やいかに?
賃金上昇は見られないものの、失業率や有効求人倍率に現れた人手不足の状況が一段と深刻化を増す中、先週3月14日付けで帝国データバンクから「2018年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。まず、長くなりますが、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 2018年度に正社員の採用予定があると回答した企業の割合は65.9%と、4年連続で6割を超え、リーマン・ショック前の2008年度(2008年3月調査)を上回った。特に「大企業」(84.0%)の採用意欲が高く、調査開始以降で最高を更新。「中小企業」(61.3%)の採用予定も2年連続で増加し、11年ぶりに6割を超えた。正社員の採用意欲は上向いており、中小企業にも広がりを見せている
- 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は52.4%と3年ぶりに増加、非正社員に対する採用意欲は強まってきた。特に、非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」は9割、「娯楽サービス」「飲食料品小売」は8割を超える企業で採用を予定している
- 2018年度の正社員比率は企業の20.7%が2017年度より上昇すると見込む。その要因では、「業容拡大への対応」(51.5%)をあげる割合が最も高く、「退職による欠員の補充」「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」が3割台で続く
- 従業員の働き方に対する取り組みでは、「長時間労働の是正」が46.3%でトップ。次いで、「賃金の引き上げ」「有給休暇の取得促進」がいずれも4割台で続いた。本調査から、従業員の働き方を変えるための6つのポイントが浮上した(1.心身の健康維持に向けた取り組み、2.仕事と家庭の両立に向けた取り組み、3.多様な人材を生かす取り組み、4.人材育成への取り組み、5.柔軟な働き方を支える環境整備への取り組み、6.公正な賃金制度構築への取り組み
もう少し手短に要約して欲しい気もしますが、以下では、リポートから図表を引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、リポートから 正社員の採用予定の有無 について問うた結果を時系列で並べたのが上のグラフです。調査結果概要では、2018年度はリーマン・ショック前の水準超えとなっていますが、あくまで2008年調査結果の62.2%を超えたわけであって、リーマン・ショック直前の2007年調査結果の水準である67.4%にはまだ達しないわけで、2018年調査結果はその間に落ちる65.9%となります。でも、ひょっとしたて、現在の景気拡大がもう1年継続すると仮定すれば、来年の調査結果ではホントの正真正銘でリーマン・ショック前の水準を上回りそうな気もします。ただし、逆から見て、正社員最異様予定がないと回答したのはわずかに23.5%であり、これは、正真正銘リーマン・ショック前を下回ります。いずれにせよ、正社員採用の意欲は極めて高い事実が浮き彫りになっています。もっとも、グラフは引用しませんが、非正社員採用の意欲も極めて高くなっているのも忘れるべきではありません。
ということで、次に、リポートから 正社員比率の動向 について問うた結果が上のグラフです。まあ、正社員比率は上昇すると見込む企業が多くなっているわけです。その要因については、業容拡大への対応が 1番目の理由として上げられており51.5%と半数を超えました。次いで、退職による欠員の補充が37.3%、技術承継などを目的とした正社員雇用の増加が31.3%で続いたほか、非正社員から正社員への雇用形態の転換も28.3%の企業が要因に上げていました。
最後に、政府の働き方改革に対応して、リポートから 従業員の働き方に対する取り組み状況 について問うた結果が上のテーブルです。複数回答の結果上位10位までですが、長時間労働の是正(時間外労働の上限規制など)、賃金の引き上げ(賃金規定の整備・改定など)、有給休暇の取得促進、人材育成の強化(研修、OJTなど)などが上げられています。1位の労働時間とともに、2位に賃金が入っているとは思いませんでした。
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