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2018年6月 1日 (金)

堅調な企業活動を反映する法人企業統計!

本日、財務省から1~3月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は6四半期連続の増収で前年同期比+3.2%増の361兆7780億円、経常利益も7四半期連続の増益で+0.2%増の20兆1652億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで製造業が+2.8%増、非製造業が+3.6%増となり、製造業と非製造業がともに伸びを示し、全産業では+3.4%増の14兆7720億円を記録しています。一般に内部留保と呼ばれる利益剰余金は前年同期比+11.2%増の417兆2895億円に積み上っています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資は前期比▲0.0%の横ばいとなっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

設備投資3.4%増 1~3月、半導体関連が堅調、法人企業統計
財務省が1日発表した2018年1~3月期の法人企業統計によると、全産業(資本金1千万円以上、金融機関を除く)の設備投資は前年同期比3.4%増となった。プラスは6四半期連続。半導体関連を中心に製造業が生産能力を引き上げた。経常利益は円高の影響で製造業が減益だったが、売上高は堅調だった。
製造業の設備投資は2.8%増で、最も上昇に寄与した業種は情報通信機械だった。半導体や半導体製造装置向け部品を増産する動きが相次ぎ、29.9%増えた。
非製造業は3.6%増だった。運輸業・郵便業が11.3%増で、船舶の更新や鉄道関連施設の建設増が寄与したほか、不動産業もオフィスビルや商業施設の開発増で22.6%増だった。
経常利益は0.2%増の20兆1652億円。7期連続で伸び、1~3月期としては過去最高だった。けん引したのは非製造業で5.0%増えた。商社を含む卸売業・小売業は資源価格の上昇で販売価格が上がったほか、海外子会社から受け取る配当が増えた。一方、製造業は8.5%減だった。円高の影響で輸送用機械などの輸出企業の利幅が縮小した。
売上高は3.2%増の361兆7780億円と6期連続の増収だった。製造業は1.4%増で、生産用機械や輸送用機械が海外向けを中心に伸びた。非製造業は卸売業・小売業などが好調で、3.9%増だった。
今回の法人企業統計の結果は、8日に発表がある1~3月の国内総生産(GDP)改定値の設備投資に反映される。速報値では、実質で前期比0.1%減と6四半期ぶりにマイナスだった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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上のグラフのうちの上のパネルに示されたように、売上高についてはサブプライム・バブル崩壊前はいうに及ばず、いわゆる「失われた10年」の期間である1990年代のピークすら超えられていませんが、経常利益についてはすでにリーマン・ショック前の水準を軽くクリアしており、我が国企業の収益力は史上最強のレベルに達しています。季節調整済みの系列で見て、1~3月期には国内経済がやや停滞を示したため、売上高の伸びは+0.2%と低い伸び率となりましたが、経常利益は前期比+1.7%増を示しています。従来からのこのブログでお示ししている私の主張ですが、我が国の企業活動については一昨年2016年年央くらいを底に明らかに上向きに転じ、昨年2017年は年間を通じてこの流れが継続していることが確認できたと思います。また、設備投資についても徐々に伸びが本格化して来た印象です。これも季節調整済みの系列で見て、全産業ベースの設備投資は1~3月期に▲0.0%減ながら、ほぼ横ばいでした。GDP成長率がマイナスとなったことに象徴的なように国内経済が停滞していたにしては、それなりの投資が行われたんではないかと私は受け止めています。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下しましたし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞が続いており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、2017年7~9月期に少し足踏みを見せたものの、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善の重要なポイントである賃上げ、あるいは、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。ですから、経済政策の観点から見て、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

最後に、本日の法人企業統計を基に、いわゆる2次QEが来週金曜日の6月8日に内閣府から公表される予定となっています。私の直感的な印象ながら、成長率は2次QEで上方修正される可能性が高いと受け止めています。しかしながら、1次QEの前期比▲0.2%のマイナス成長からプラス成長に転ずるかどうかはビミョーなところだという気がします。

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