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2018年8月 7日 (火)

景気拡大が5年半を超えた景気動向指数と名目賃金の上昇続く毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも6月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲1.7ポイント下降して105.2を、CI一致指数も▲0.5ポイント下降して116.3を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+3.6%増の44万8,919円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

6月の景気一致指数、2カ月連続低下 生産など悪化
内閣府が7日発表した6月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.5ポイント低下の116.3だった。低下は2カ月連続。市場予想の中央値は0.6ポイント低下だった。生産や卸売業の販売額が軟調だった。
指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち4系列が指数を押し下げた。半導体製造装置の部品調達が遅れた影響などで鉱工業生産指数が落ち込んだ。卸売業の商業販売額が低調だったこともマイナスに寄与した。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は21カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指標は1.7ポイント低下の105.2となり、3カ月ぶりに低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は2.3ポイント低下の115.6だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
名目賃金6月3.6%増 増加は11カ月連続
厚生労働省が7日発表した6月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、6月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比3.6%増の44万8919円だった。増加は11カ月連続で、1997年1月以来21年5カ月ぶりの高水準。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.3%増。残業代など所定外給与は3.5%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は7.0%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は2.8%増だった。消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は0.8%上昇したが、名目賃金の伸びが上回った。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.8%増の1133円。パートタイム労働者比率は0.43ポイント低い30.22%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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CI一致指数・先行指数とも下降を示し、特に、CI一致指数は2か月連続の下降となりますが、引用した記事にもある通り、統計作成官庁である内閣府の基調判断は「改善」で据え置かれています。というのも、3か月後方移動平均は、まだ、+0.10ポイント上昇しており、3か月連続の上昇を示しているからです。「改善」の次の景気局面を示す基調判断は「足踏み」なんですが、当月の前月差がマイナスで、かつ、3か月後方移動平均がマイナス、しかも、マイナス幅が標準偏差分以上との基準となっているからです。6月のCI一致指数の前月差▲0.5ポイント下降のうち、プラス寄与だったのは商業販売額(小売業)(前年同月比)と有効求人倍率と耐久消費財出荷指数の3系列であり、残りの4系列はマイナス寄与となっています。特に大きいのは、生産指数(鉱工業)と商業販売額(卸売業)(前年同月比)と投資財出荷指数(除輸送機械)となっています。同じく前月差▲1.7ポイント下降のCI先行指数に対するマイナス寄与で大きい系列は、新設住宅着工床面積、鉱工業生産生産財在庫指数、中小企業売上げ見通しDIなどが上げられます。繰り返しになりますが、もしも、内閣府の基調判断通りに景気が拡大しているのだと仮定すれば、2012年11月を谷とする現在の景気拡張期間は67か月、すなわち、5年半を超えたことになります。気の早いことながら、戦後最長の景気拡大期間は今世紀に入ってからのサブプライム・バブル景気であり、2002年1月を底として2008年2月を山とする6年余りの73か月間ですから、現在の景気拡大期はあと半年6か月で戦後最長に並ぶことになります。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、引用した記事に見られるように、今月統計は賃金に集中したいんですが、ちょっとびっくりの賃金上昇幅でした。実は、細い方のグラフは左軸の+3%に収まり切らずに突き抜けています。すなわち、季節調整していない原系列の統計で、名目賃金6月+3.6%増であり、1997年1月以来21年5か月振りの上昇幅だそうです。6月ですからボーナス月の印象もあり、所定内給与は+1.3%増、所定外給与は+3.5%増、所定内給与と所定外給与を合わせたきまって支給する給与は+1.5%増、加えて、特別に支払われた給与は+7.0%増ですから、ボーナスに当たる特別給与の寄与が少なくないわけで、それはそれで景気敏感な賃金部分ではありますが、消費に貢献する恒常所得ではない可能性もありますし、逆に、日常の買い物ではない比較的高額な耐久消費財に回る可能性もあります。猛暑も消費に影響するかもしれません。何とも判断の難しいところです。取りあえず、エコノミストのごまかし方の常道として、来月の統計を見てみたい気がします。

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