« 広島にマジック32が点灯して阪神の終戦近し!! | トップページ | 最終回の能見投手緊急登板の火消しで広島を下す!! »

2018年8月16日 (木)

またしても赤字を記録した7月の貿易統計をどう見るか?

本日、財務省から7月の貿易統計が公表されています。季節調整していない原系列の統計で見て、輸出額は前年同月比+3.9%増の6兆7474億円、輸入額も+14.6%増の6兆9786億円、差引き貿易収支は▲2312億円の赤字を計上しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の貿易収支、2312億円の赤字 輸出の伸び悩み響く
財務省が16日発表した7月の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2312億円の赤字だった。赤字は2カ月ぶり。輸出の伸びが限定的だったうえ、中東からの原油の輸入が増え、輸入額の増加が上回った。
QUICKがまとめた民間予測の中央値(500億円の赤字)に比べて赤字額が大きかった。
輸出額は前年同月比3.9%増の6兆7474億円だった。20カ月連続で増加した。韓国向けの重油に加え、アジア向けの半導体製造装置や半導体部品の輸出が好調だった。
輸入額は14.6%増の6兆9786億円だった。アラブ首長国連邦(UAE)からの原油や、アイルランドからの医薬品が大幅に増加した。原油の円建て輸入単価は56.2%上昇した。
7月の為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=110円78銭。前年同月に比べて1.5%円高・ドル安に振れた。
7月の対米国の貿易収支は5027億円の黒字で、黒字額は22.1%減少した。減少は2カ月ぶり。2カ月連続で輸出額が減ったことが響いた。前年に好調だった反動で、自動車や自動車部品の輸出が減った。鉄鋼の輸出も減少した。半面、航空機エンジンや液化石油ガス(LPG)の輸入が増えた。

いつもの通り、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、貿易統計のグラフは以下の通りです。上下のパネルとも月次の輸出入を折れ線グラフで、その差額である貿易収支を棒グラフで、それぞれプロットしていますが、上のパネルは季節調整していない原系列の統計であり、下は季節調整済みの系列です。輸出入の色分けは凡例の通りです。

photo

引用した記事にもある通り、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスは▲448億円でしたし、レンジの下限でも▲1990億円でしたから、実績値の▲2312億円の赤字というのはやや大きい赤字、と私は受け止めています。そして、この7月貿易赤字の要因を考えると、輸出サイドでは輸出数量の停滞、特に米国向け輸出数量の減少、そして、輸入サイドでは輸入価格の上昇、ということになろうかと思います。季節調整していない原系列の貿易指数の前年同月比で見て、輸出数量は年度明けから、4月+7.2%、5月+6.4%の後、6月+3.2%に続いて、7月はさらに落ちて+0.8%を記録しています。特に米国向け輸出数量は7月▲4.8%に落ち込んでいます。一方、輸入価格は同じ時期に4月+3.8%上昇、5月+7.0%、6月+7.4%から、とうとう7月には+10.2%の上昇に達しています。基本的に、国際商品市況における石油価格をはじめとする一次産品の価格上昇が主因であろうと考えられます。ただ、今月から貿易指数が2015年基準に改定され、今月末の確報公表時まで接続指数が明らかではなく、いつもの輸出のグラフは書けませんでした。この先、世界的な貿易摩擦の激化や通商政策の動向に伴って、年明けくらいから我が国の輸出も何らかの影響を受ける可能性が高い、というのがエコノミストの間の緩やかなコンセンサスかもしれません。

|

« 広島にマジック32が点灯して阪神の終戦近し!! | トップページ | 最終回の能見投手緊急登板の火消しで広島を下す!! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: またしても赤字を記録した7月の貿易統計をどう見るか?:

« 広島にマジック32が点灯して阪神の終戦近し!! | トップページ | 最終回の能見投手緊急登板の火消しで広島を下す!! »