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2018年9月11日 (火)

4-6月期2次QEは設備投資を中心に1次QEから上方改定され年率+3.0%の高成長!

昨日は、和歌山で開催された経済統計学会の全国研究大会での学会発表のためフォローし切れなかったんですが、内閣府から4~6月期のGDP統計速報、いわゆる2次QEが公表されています。1次QEの前期比年率+1.9%成長から2次QEでは+3.0%成長に大きく上方改定されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

4-6月期実質GDP、年率3.0%増に上方修正
内閣府が10日発表した2018年4~6月期の国内総生産(GDP)改定値は物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)で前期比0.7%増、年率換算で3.0%増だった。速報値(年率1.9%増)から大幅な上方修正で、成長率が年率3%を超えるのは16年1~3月期以来の9四半期ぶりだ。民間企業の設備投資が速報段階から大幅に上振れした。
4~6月期の内外需の寄与度をみると内需が0.9%分の押し上げ寄与となり、内需主導の成長を示した。内需の前期比でみた伸び率は15年1~3月期以来の13四半期ぶりの大きさとなった。一方、外需は0.1%分の押し下げ寄与となった。
内需のうち民間企業の設備投資は実質で前期比3.1%増と、速報値の1.3%増から大きく上振れした。財務省が3日発表した4~6月期の法人企業統計で設備投資額の前年同期比伸び率は約11年ぶりの大きさとなった。運輸・郵便や電気、化学の設備投資が堅調だった。
GDPの6割を占める個人消費は0.7%増と速報値から横ばい。18年1~3月期の0.2%減からプラス成長に戻した。伸び率は17年4~6月期(0.8%増)以来となる1年ぶりの高い水準だ。自動車がけん引し、飲食サービスも小幅に上方修正に寄与した。
民間住宅は2.4%減と、速報値の2.7%減からマイナス幅が縮小した。不動産仲介手数料が上方改定となった。
民間在庫のGDPに対する寄与度は0.0%と速報値から横ばい。4~6月期は在庫の積み増しや取り崩しに対するGDPへの寄与度は軽微だった。
生活実感に近いとされる名目GDPの改定値は0.7%増、年率で2.8%増。名目ベースでも速報値の年率1.7%増から大幅な上方修正で、17年7~9月期(3.2%増)以来の高い水準だった。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/4-62017/7-92017/10-122018/1-32018/4-6
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.5+0.6+0.2▲0.2+0.5+0.7
民間消費+0.8▲0.7+0.3▲0.2+0.7+0.7
民間住宅+1.3▲1.4▲3.0▲2.5▲2.7▲2.4
民間設備+0.1+1.3+0.9+0.3+1.3+3.1
民間在庫 *(▲0.1)(+0.4)(+0.2)(▲0.2)(+0.0)(+0.0)
公的需要+1.4▲0.5▲0.1▲0.1+0.2+0.2
内需寄与度 *(+0.8)(+0.0)(+0.4)(▲0.3)(+0.6)(+0.9)
外需寄与度 *(▲0.3)(+0.6)(▲0.1)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)
輸出+0.2+2.1+2.1+0.6+0.2+0.2
輸入+1.9▲1.5+3.3+0.2+1.0+0.9
国内総所得 (GDI)+0.6+0.6+0.0▲0.5+0.4+0.7
国民総所得 (GNI)+0.5+0.8▲0.0▲0.7+0.7+1.0
名目GDP+0.8+0.8+0.3▲0.4+0.4+0.7
雇用者報酬+0.6+0.7▲0.2+1.2+1.9+1.8
GDPデフレータ▲0.3+0.1+0.1+0.5+0.1+0.1
内需デフレータ+0.4+0.5+0.6+0.9+0.5+0.5

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年4~6月期の最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスで大きく寄与している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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テーブルとグラフを見れば明らかなんですが、1次QEから2次QEへの変更の大きなポイントは設備投資です。法人企業統計に沿った上方改定といえます。その他の需要項目に関しては、住宅津市がややマイナス幅を縮小改定されたものの、大きね変更はなく、この設備投資の情報改定が内需寄与度を押し上げて高成長をもたらしたといえます。ただ、足元の7~9月期についてはプラス成長を維持することすら危うい、と大きのエコノミストは見込んでいるようです。すなわち、景気局面そのものがかなり成熟化しているという自律的な要因のほかに、猛暑は別としても、豪雨や台風に北海道地震といった災害がこの期間に目白押しで、マインドの悪化や外出の手控えから消費需要を押し下げたり、あるいは、生産や物流などの供給面からの影響も含め、景気にはマイナス材料となった可能性が高いと私は受け止めています。その意味で、4~6月期GDPの高成長は過去の数字かもしれません。加えて、さらに先行きの成長についても、米中間の貿易戦争に代表されるような通商摩擦がリスクとして上げられます。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費なわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。インバウンド消費も順調な拡大を続けているものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大局面は終了に向かっている印象ですし、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、雇用者報酬が順調に伸びを示しています。人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をバックアップしていると考えるべきです。

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最後に、昨日は4~6月期GDP統計2次QEだけでなく、景気ウォッチャーと経常収支も公表されていますが、景気ウォッチャーのグラフだけ上にお示ししておきます。いずれも季節調整済の系列で見て、現状判断DIは前月差+2.1ポイント上昇の48.7を、先行き判断DIは前月差+2.4ポイント上昇の51.4を、それぞれ示しています。

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