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2018年9月22日 (土)

今週の読書はバラエティ豊かに計8冊!!

今週は三連休でスタートしましたし、それなりに時間的な余裕もあって、経済書も含めて、歴史書や米国のトランプ政権批判本、さらにミステリなどなど、バラエティ豊かに、あるいは、バランスよく、以下の通りの計8冊です。今日のうちに近くの図書館を自転車で回ったんですが、これほどではないとしても、来週は経済書らしい経済書がない一方で、今週と変わりなく、そこそこのボリュームの読書をしそうな予感です。

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まず、若林公子『金融市場のための統計学』(金融財政事情研究会) です。私はこの著者はまったく知らないんですが、研究者というよりは実務家のようで、各章末に数学的捕捉と題した解説があって数式もいっぱい出て来る一方で、金融市場の実際の商品取引の実務で統計がいかに生かされているかも取り上げられています。なお、数式も偏微分はごくわずかに出て来るに過ぎず、その意味で、高校レベルの数学の知識でも何とかがんばれば理解できそうな気もします。ただ、VaR = Value at Risk については、もう少し解説して欲しかった気もします。最近では今年2018年8月11日付けの読書感想文で三菱UFJトラスト投資工学研究所『実践金融データサイエンス』を取り上げたんですが、ソチラの方がやや学術的な内容かという気がします。その昔、ジャカルタにいたころには慶應義塾大学の蓑谷千凰彦先生の『よくわかるブラック・ショールズモデル』とか、『金融データの統計分析』などで勉強していたんですが、実務上の金融市場の商品開発に比べて、それほど大きな進歩があったようには見受けられないのは、私の見識が不足しているからかもしれません。

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次に、朝倉祐介『ファイナンス思考』(ダイヤモンド社) です。著者は、私の知る範囲では、コンサルのマッキンゼーからのご転身でmixi社長だったと記憶しています。本書では、タイトル通りのファイナンス思考に対比して、PL脳という概念を批判的に捉え、ファイナンス思考でキャッシュフローを重視するのではなく、PL脳で売上げや収益を重視し、無借金経営や経常黒字に重点を置く経営を批判しています。こういったPL脳的な目先の会計上の数字を重視して、逆に、将来的な収益の芽を育てない経営ではなく、ファイナンス思考では、将来的な成長の姿を描き、キャッシュを有効の使いつつも回収する意思決定を推奨しています。また、別の観点ではPL脳に過去という視点を当て、ファイナンス思考は未来を構想する、という見方も提供しています。長らく公務員をしてきた身にはやや縁遠いながら、エコノミストとしては判る部分もあります。

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次に、玉木俊明『逆転の世界史』(日本経済新聞出版社) です。著者は京都産業大学の経済史の研究者なんですが、実は、私も経済史ながら、私が経済学部卒業であるのに対して、著者は文学部の歴史学科ではなかったかと記憶しています。なお、今年2018年2月17日付けの読書感想文で、同じ著者の『物流は世界史をどう変えたのか』を取り上げており、物流がご専門のようです。従って、本書でも物流や交易を軸に、長い人類の歴史をヘゲモニーの観点から解き明かし、従来の定説に対比させる新しい観点を提示しています。特に、アジアに位置する日本人研究者として、中国を中心とする先進地域アジアが、後発の欧州によってい大航海時代から産業革命の時期くらいに経済力で逆転され、そして、再び、21世紀になって逆転しつつある現状を解説し、最後に、中国の一帯一路政策を取り上げて本書を締めくくっています。中国の中原の統一は現在の欧州EUになぞらえたり、世銀・IMFといった国際機関を米国ヘゲモニーの手段として捉ええたり、決して丸ごと斬新とはいいかねる視点ですが、それなりに面白くはあります。

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次に、前田雅之『書物と権力』(吉川弘文館) です。著者は研究者なんですが、略歴を見ても、歴史学なのか文学なのかは判然としません。古典学というべき分野があったりするんでしょうか。本書では、印刷技術が未発達で書物の大量生産が出来ない中世、おおむね平安期から江戸初期の書物の占めるポジションについて、特に、源氏物語や平家物語などの古典的な価値ある文学作品の書物の権力との関係を解き明かそうと試みています。ケーススタディとでもいえましょうが、宗祇などの連歌師の書物の流通への関与、伏見宮家から足利将軍への『風雅集』贈与の持つ意味、また、書物の贈与と笛などの名器の寄贈の異同の解明、さらに、書物の伝播・普及と権力との結びつきを解明すべく議論を展開しています。中世期における古典的な価値ある書物を持つことの意味がよく判ります。ただ、ページ数もそれほどない小冊子ながら、古典的な書物以外の文物、本書でも取り上げられている笛の名器、あるいは、もっと時代が下がれば茶の湯の茶器など、本書で「威信財」と呼んでいる関連ある名器文物との比較ももっと欲しかった気がします。書物が政治的権威を帯びるには「古典」としての正統性を得る唯一の「威信財」ではなかった気がするからです。ただ、終章で、別の比較ながら、私もずっと念頭に置いていた欧州中世の修道院を舞台にしたウンベルト・エーコ教授の『薔薇の名前』との直接的な対比が検討されています。とても興味深い視点です。

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次に、ナオミ・クライン『NOでは足りない』(岩波書店) です。著者は米国出身のカナダ在住の左派ジャーナリストであり、同時に活動家 activist の面も持っていたりします。私は10年ほど前に同じ岩波書店から出版された『ショック・ドクトリン - 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』を読もうとチャレンジしたことがあったんですが、何と諦めました。邦訳が悪い可能性もありますが、私がこの10年で途中で読むのをギブアップしたのは、外国書を含めて片手で数えるくらいであり、中には、海外旅行中に日本から持っていった本を読みつくして、現地で2冊10ドルで買い入れたペーパーバックの『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』もあったりします。ハリーがエラ昆布を食べて湖に潜るあたりまで読んだ時点で我が家に帰宅したと記憶しています。それはともかく、本書はタイトルから容易に想像される通り、トランプ米国大統領に対して「NOでは足りない」No is not Enough と表現しています。最近の気候変動の観点を含めて、さまざまな視点からトランプ米国大統領にNOを超える意見を突き付けていますが、私に印象的だったのは、通商制限的な公約によりトランプ支持に回った労働組合幹部への著者の冷ややかな視線です。米国だけでなく、独裁的な政治指導者、それもポピュリズム的な指導者に対しては、かなりの程度に成り立つ視点かもしれません。

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次に、安田正美『単位は進化する』(DOJIN選書) です。著者は産業技術総研の研究者であり、専門は時間の測定ということです。本書では、国際単位系(SI)で定義されている7つの単位のうち、長さ、質量、時間、電気、温度を取り上げ、さらに、単位の定義の歴史的な変遷を振り返る際に、経済社会的な要因も忘れずの盛り込んでいます。科学の進歩は生産を通じて経済社会の発展に直結し、その同時進行的、というか、共存して進行する車の両輪のような存在を感じさせます。経済では基本的に有効数字は3ケタです。私は統計局で消費統計を担当する課長として、家計で月単位に支出する金額が円単位で6ケタになることから、そこまでの有効数字は保証できないと主張した記憶がありますが、その昔は4ケタだったのが、経済の成長とともに6ケタまで達したわけです。でも、単位の世界では最低でも8ケタ、場合によっては十数ケタの精度が必要とされます。有効数字のケタ数の中途半端な経済の世界のエコノミストでよかった、と思わないでもありません。

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次に、知念実希人『祈りのカルテ』(角川書店) です。著者は慈啓会医大卒の医師であるとともに、医療分野のミステリなどの著書も少なくない売れっ子の作家ですが、私は作品は初めて読みました。大学病院の研修医を主人公に、内科、外科、小児科、皮膚科などを研修で回り、患者のさまざまな、そして、ちょっとした謎を解き明かしていきます。すなわち、睡眠薬を大量に飲んで救急搬送されてきた女性、初期の胃がんの内視鏡手術を拒否する老人、薬の服用を回避して入院することを希望するかのような女児、循環器内科に入院し米国での心臓移植を待つ我が儘な女優、などなど、決して健康ではない入院患者の心情をちょっとした謎解きで解明します。計5章の長編ともいえれば、連作短編集ともみなせます。決して、出版社のうたい文句のように「感涙必至」とは私は思いませんし、それほど読後感がいいわけでもなく、でも、一定の水準をクリアしてまずまずの出来ではないかという気はします。ただし、今後もこの作家の本を読むか、といわれれば、ややビミョーかもしれません。

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最後に、本格ミステリ作家クラブ[編]『ベスト本格ミステリ 2018』(講談社) です。収録作品は、岡崎琢磨「夜半のちぎり」、阿津川辰海「透明人間は密室に潜む」、大山誠一郎「顔のない死体はなぜ顔がないのか」、白井智之「首無館の殺人」、松尾由美「袋小路の猫探偵」、法月綸太郎「葬式がえり」、東川篤哉「カープレッドよりも真っ赤な嘘」、水生大海「使い勝手のいい女」、西尾維新「山麓オーベルジュ『ゆきどけ』」、城平京「ヌシの大蛇は聞いていた」、有栖川有栖「吠えた犬の問題」であり、最後の『バスカビル家の犬』を素材にした評論を除いて短編ミステリとなっています。すべてではないかもしれませんが、「どんでん返し」をテーマにする作品が少なくなく、なかなか楽しめます。代表的なミステリ近作を集めているので、別のアンソロジーなどで読んだ作品もありましたが、出来のいい作品ばかりですので、結末を記憶しているミステリでも2度楽しめるかもしれません。

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