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2018年9月 7日 (金)

「拡大」の基調判断続く景気動向指数と賃金上昇が見られ始めた毎月勤労統計!

本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも7月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲1.1ポイント下降して103.5を、CI一致指数も▲0.6ポイント下降して116.3を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.5%増の37万6338円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

7月の景気一致指数、3カ月連続低下 自動車出荷など悪化
内閣府が7日発表した7月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.6ポイント低下の116.3だった。低下は3カ月連続。市場予想の中央値は0.7ポイント低下だった。自動車関連の出荷が悪化した。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち6系列が指数を押し下げた。耐久消費財出荷指数が乗用車と二輪車の悪化を受けて低下した。鉱工業用生産財出荷指数も、北米向けの鉄鋼輸出が減少した影響でマイナスに寄与した。
内閣府は、一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いた。同表現は22カ月連続。
数カ月後の景気を示す先行指数は1.1ポイント低下の103.5と2カ月連続で低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.2ポイント低下の117.7だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
7月の名目賃金、1.5%増 増加は12カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、7月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.5%増の37万6338円だった。増加は12カ月連続。基本給の伸びが続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が1.0%増の24万5010円だった。残業代など所定外給与は1.9%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は2.4%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%増だった。
パートタイム労働者の時間あたり給与は1.7%増の1130円。パートタイム労働者比率は0.15ポイント低い30.53%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。

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引用した開示にもある通り、CI先行指数が2か月連続で、CI一致指数に至っては3か月連続で前月から下降を示しているんですが、統計作成官庁である内閣府では基調判断は「改善」で据え置いており、22か月連続の「改善」となっています。CI一致指数のうち、プラス寄与は商業販売額(卸売業)(前年同月比)くらいのもので、マイナス寄与は絶対値の大きい順に、耐久消費財出荷指数、鉱工業用生産財出荷指数、投資財出荷指数(除輸送機械)、商業販売額(小売業)(前年同月比)、有効求人倍率(除学卒)などが上げられています。基調判断が「改善」から「足踏み」に変化する際は、3か月後方移動平均がマイナスに転じ、さらに、マイナス幅が1標準偏差以上、という定義なんですが、3か月後方移動平均を見ると、4~6月は3か月連続でプラスを示したんですが、7月はマイナスに転じ▲0.40を記録しています。でも、まだ標準偏差の幅には達していない、ということなのだと私は理解しています。景気拡大は5年半を越えましたので、当然ながら、景気局面としては成熟化の段階に達している気がします。CI一致指数はかなりの程度に鉱工業生産指数(IIP)と相関が高いと私は考えているんですが、最近の生産の動向から考えて、ある意味で、当然の結果かもしれません。また、CI先行指数についても、プラス寄与は新設住宅床面積くらいで、その他は軒並みマイナス寄与を示しています。

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続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。

最後に、8月の米国雇用統計が公表されていますが、今夜のうちに取りまとめて明日早くにアップしたいと思います。

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