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2018年10月30日 (火)

完全雇用に近い9月の雇用統計をどう見るか?

本日、総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率などの雇用統計が公表されています。いずれも9月の統計です。失業率は前月から▲0.1%ポイント低下して2.3%と1974年以来の低い水準にあり、有効求人倍率は前月からさらに▲0.01ポイント上昇して1.64倍と、これまた、高い倍率を続けています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

9月の有効求人倍率1.64倍、正社員は過去最高
厚生労働省が30日発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇し1.64倍となった。1974年1月(1.64倍)以来の高水準で、人手不足感が強い状況が続いている。今まで働いていなかった人の就労も進み、総務省が同日発表した9月の完全失業率(季節調整値)は前月比0.1ポイント低下の2.3%だった。
有効求人倍率は仕事を探す人1人に対し、企業から何件の求人があるかを示す。1.6倍台となるのは5カ月連続。正社員の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍で過去最高となった。
新規求職者数は前年同月から14.9%減り35万2638人だった。就労が進み、新たに仕事を探す人が減少した。
企業も求人を減らしている。新規求人数は同6.6%減少の93万1362人だった。北海道胆振東部地震の影響で訪日客数が落ち込んだことなどから、採用を控える動きが出たとみられる。
9月の完全失業率は2.3%で2カ月連続で改善した。15~64歳の男女の就業者の比率は前月から0.3ポイント上昇し77.3%。女性の就業率は70.3%で、いずれも過去最高を更新した。
人口が減る一方、働く人の数は増えている。就業者数は6715万人と過去最多を更新した。高齢者や主婦などで働く人が増えた。完全失業者の数は162万人と前年同月から28万人減少。会社都合や自発的な離職が減っているとみられる。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、雇用統計のグラフは以下の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影をつけた期間は景気後退期です。また、グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月から+0.01ポイント上昇して1.14倍とこのところ1倍を超えて推移しています。

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失業率、有効求人倍率、正社員有効求人倍率がそろって前月から改善した結果を示し、政府統計からも、雇用はいよいよ完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。
もっとも、フィリップス曲線に沿った議論に基づいて、日銀の物価目標である+2%に達するには、さらに長期の景気拡大が必要との見方もあります。すなわち、先週10月22日付けで第一生命経済研究所の「内生インフレはこれから」と題するリポートを取り上げましたが、その後、「航続時間長めの機体が手に入れば」と題するリポートでは、「米国の景気循環は後半から終盤に到達していると考えるのが自然だが、2022年頃まで現在の景気拡大が持続すれば、2%物価目標の達成が現実味を帯びてくる可能性がある。」と数年先までの日米両国における景気拡大継続の必要性に言及しています。黒田総裁の下で日銀が異次元緩和を始めたのが2013年でしたから、それくらい長期に渡るデフレ退治が必要なのかもしれません。

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