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2018年10月29日 (月)

小売販売の基調判断が上方修正された9月の商業販売統計をどう見るか?

本日、経済産業省から9月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+2.1%増の11兆5280億円を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。


9月の小売販売額、前年比2.1%増 原油高で石油製品の上昇続く
経済産業省が29日発表した商業動態統計(速報)によると、9月の小売販売額は前年同月比2.1%増の11兆5280億円だった。前年実績を上回るのは11カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「横ばい傾向にある」から「緩やかに持ち直している」に上方修正した。
業種別では燃料小売業が13.0%増と伸びが目立った。原油高を背景に、石油製品の価格上昇が続いている。飲食料品小売業は2.1%増。野菜の価格上昇が押し上げたほか、総菜の販売も好調だった。
一方、自動車小売業は0.2%減。小型車や軽自動車の販売が振るわなかった。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で1.1%増の1兆5136億円だった。既存店ベースは0.4%増だった。スーパーで主力の食品の販売が伸びた。
コンビニエンスストアの販売額は4.5%増の1兆222億円だった。10月の値上げ前の駆け込み需要で、たばこの販売が大幅に増えた。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

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小売販売額についてもう少し詳しく見ると、繰り返しになりますが、季節調整していない統計で見て9月は前年同月比+2.1%増の11兆5280億円、季節調整済み指数で前月比▲0.2%減を示しています。四半期統計でならして季節調整済み指数の前期比を見ると、今年に入ってから、2018年1~3月期に▲0.6%減を記録した後、4~6月期には+0.4%と盛り返し、7~9には+1.0%に達しています。生鮮食品を除くコア消費者物価の上昇率が前年同月比で+1%程度ですから、四半期ベースでその¼としても、緩やかながら前期比プラスを記録していると判断してよさそうです。ですから、引用した記事にもある通り、9月の季節調整済み指数が前月比マイナスになっているにもかかわらず、3か月後方移動平均を重視すて決めている雰囲気のある基調判断を「横ばい傾向にある」から「緩やかに持ち直している」に明確に1ノッチ上方修正したのも最近の傾向を踏まえれば、十分に考えられるところです。ただ、最近時点では国際商品市況の石油価格の高騰に起因する部分が少なくなく、例えば、燃料小売業の販売額が季節調整していない統計の前年同月比で見て、昨年2017年11月からほぼほぼ2ケタ増を記録しています。例外は今年2018年3月の+7.1%増だけです。国際商品市況での石油の価格の高騰が一巡すれば、燃料の小売販売も伸び率を低下させる可能性が十分ある、と考えた方がいいかもしれません。加えて、消費者マインドの動向が気にかかりますが、明後日に10月の消費者態度指数が公表予定です。今年2018年6~8月に3か月連続で低下した後、9月はわずかながら上昇に転じています。豪雨や台風や地震などの自然災害によってダメージを受けていた消費者マインドなんですが、10月統計以降も注目です。

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