フィリップス曲線に沿った物価上昇は始まるか?
先週金曜日の10月19日、第一生命経済研究所から「内生インフレはこれから」と題するリポートが明らかにされています。
9月の全国消費者物価指数(CPI)が総務省統計局から公表された直後のリポートで、労働集約的なサービスにやや重点を置きつつも、「失業率とインフレ率の関係を示すフィリップスカーブは死んだとも言われているが、最近は僅かながら生体反応が認められつつあり、失業率が2%近傍まで低下する頃に、それがはっきりとしてくるだろう。その場合、フィリップス曲線に沿って賃金・物価は加速度的な上昇が見込まれる。」と指摘し、最初にお示ししたようなタイトルをつけています。
その根拠のひとつは、フィリップス曲線が失業率2.5%付近で屈折するという実証的な洞察であり、少し前の9月26日付けのリポート「2%目標達成が近づく日」では、上のグラフが示されています。ただ、私自身は少し前まで屈折点は+3%近傍ではないか、という気もしていました。そして、もうひとつの2%目標達成の根拠、というか、現時点で達成されていない根拠のひとつとして、25-34歳の失業率が高いことも一因として上げています。
先週取り上げたニッセイ基礎研「中期経済見通し (2018~2028 年度)」では、約10年間の予測期間内には日銀物価目標+2%は達成できない、との結論でしたが、どちらのシンクタンクも、経済分析に当たってはバックグラウンドに何らかのモデルを置いているわけで、そのモデルが異なっているということでしょうから、物価目標+2%が達成されるかされないかは、すぐれて実証的な解決を見ることとなるような気がします。
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