帝国データバンクによる「人手不足倒産」の動向調査の結果やいかに?
今週火曜日10月9日に帝国データバンクから「人手不足倒産」の動向調査の結果が明らかにされています。年度上半期の9月までの件数や負債総額などが入手可能となっています。負債総額は減少しているものの、倒産件数は前年同期比+40.7%の大幅増を示し、2年連続で前年同期を上回っており、2013年度の調査開始以降で半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた昨年2017年度(114件)を上回るペースで倒産が発生しています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果を5点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 2018年度上半期(2018年4~9月)の「人手不足倒産」は76件発生し、負債総額は110億4200万円にのぼった。件数は前年同期比40.7%の大幅増となり、2年連続で前年同期を上回った。調査開始以降、半期ベースの最多を更新し、年度通期で初めて100件を超えた2017年度(114件)を上回るペースで発生
- 負債規模別件数を見ると、「1億円未満」が45件と過半を占め、前年同期(22件)の2倍に
- 業種別件数を見ると、「サービス業」が前年同期比73.3%の増加で、最多の26件を占めた
- 業種細分類別の5年半累計件数では、「道路貨物運送」が38件(2018年度上半期12件、前年同期4件)で最多。以下、「老人福祉事業」は27件、「木造建築工事」は26件、「労働者派遣」は21件と続いた
- 都道府県別の5年半累計では、「東京都」が62件(2018年度上半期13件、前年同期5件)で突出している
pdfの全文リポートもアップされており、図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
上のグラフは、リポートから人手不足倒産の件数を引用しています。見れば明らかなんですが、2018年度上半期の人手不足倒産は76件発生しており、負債総額は110億42百万円に上っています。この期間で、負債総額は前年同期から▲42.3%の減少を示しているものの、倒産件数は+40.7%の大幅増を記録しています。帝国データバンクでは、2013年度から人手不足倒産の記録を取り始めているんらしいんですが、2018年度上半期までの5年半の期間で、人手不足倒産は累計447件、負債総額は946億95百万円に上っています。
2013年度からの5年半の期間の人手不足倒産を産業別に見ると、累計の最多は建設業で148件、33.1%となっていて、サービス業が132件、29.5%でこれに続き、この2業種で全体の62.6%を占めています。上のグラフは、リポートから5年半の期間でのもう少し細かい業種細分類別上位10業種を取り上げています。何となく判る気がするんですが、道路貨物運送が累計で38件で最多となっています。通販市場の拡大などで配送需要が高まる中、ドライバー不足による新規受注難から資金繰りの悪化に陥り、倒産に至ったケースが目立つようです。続いて、老人福祉事業は、介護福祉士やケアマネジャーなどの有資格者の確保が追い付かず、十分なサービスを提供できないなどの理由から5年半で27件発生しています。
最後に、上のグラフは、リポートから5年半の累計で見た都道府県別の人手不足倒産の件数を示しています。こういった経済事案では規模に連動する場合が多く、東京都がトップなのは当然という気もします。少子高齢化の進行により、人手不足はこの先も一定の期間に渡って継続する可能性が高く、それなりの経営努力が求められるとはいえ、ますます希少性を増す労働力を効率的に用いることが出来ず、人手不足に対応しきれない場合は市場から退出することとなります。すべてではないにしても、その一端がこの調査結果に現れているように私は感じています。
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