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2018年11月29日 (木)

燃料価格の上昇により10月商業販売統計の小売販売額は増加!!

本日、経済産業省から10月の商業販売統計が公表されています。ヘッドラインとなる小売販売額は季節調整していない原系列の統計で前年同月比+3.5%増の11兆9280億円、季節調整済み指数の前月比は+1.2%増を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

10月の小売販売額、前年比3.5%増 石油製品の価格上昇で
経済産業省が29日発表した商業動態統計(速報)によると、10月の小売販売額は前年同月比3.5%増の11兆9280億円だった。前年実績を上回るのは12カ月連続。経産省は小売業の基調判断を「緩やかに持ち直している」に据え置いた。
業種別では燃料小売業が14.7%増と伸びが目立った。原油高による石油製品の価格上昇が続いた。自動車小売業は6.6%増。新型普通車の販売が好調だった。医薬品・化粧品小売業は6.2%増となった。一方、織物・衣服・身の回り品小売業は0.4%減。気温が高く冬物衣料が振るわなかった。
大型小売店の販売額は百貨店とスーパーの合計で0.2%減の1兆5862億円だった。既存店ベースは0.8%減だった。コンビニエンスストアの販売額は横ばいの9986億円だった。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、商業販売統計のグラフは以下の通りです。上のパネルは季節調整していない小売販売額の前年同月比増減率を、下は季節調整指数をそのまま、それぞれプロットしています。影を付けた期間は景気後退期です。

photo

ということで、引用した記事もある通り、昨年11月から12か月連続で小売販売額は前値同月比プラスを続けており、その12か月の中でも直近2018年10月統計の+3.5%増は、昨年2017年12月の3.6%に次いで大きな伸びを示しています。加えて、上のグラフを見ても理解できる通り、季節調整していない系列の前年同月比で見ても、季節調整済みの指数で見ても、今年2018年5月から伸びがグングンと高まっています。ただ、商業販売統計は名目ですから最近の消費者物価(CPI)の動向にも左右される部分があり、実は、生鮮食品を除くコアCPIの前年同月比上昇率が、今年2018年5月の+0.7%を直近の底として、上昇幅を拡大させているのにも、ある程度は、相関していると考えるべきであり、引用した記事の石油製品価格の上昇にシンクロして小売販売額が伸びている、という見方も成り立ちます。燃料小売業の販売額を季節調整していない原系列の統計で見ると、昨年2017年11月から1兆円の大台に乗せ、今年2018年3月の+7.1%増を唯一の例外として、昨年2017年11月から、これまた、12か月のうちの11か月で前年同月比2ケタ増を記録しています。来週公表される総務省統計局の家計調査の結果も気がかりなんですが、物価上昇を考慮した実質の消費の伸びは、少なくとも、CPI上昇率がプラスなわけですから、名目消費の伸びよりも小さいと考えるべきです。国際的にも、例えば、本日2018年11月29日付けの日経新聞経済教室で主張されている通り、アベノミクスの下で日本経済は好調に推移している一方で、家計消費が伸び悩んでいるのはパズルである、という結論になりそうな気がします。日経新聞経済教室では、アベノミクスにより円安が進んで輸出企業が利益が増えた一方で、輸入価格の上昇に消費者がが直面し、家計から輸出企業に所得が移転した一方で、企業部門が賃金や投資に資金を回さないため、賃上げが進まず労働分配率が低下する、という流れを提示しています。輸出企業の利益が賃金上昇の形で家計に還元されないわけです。従って、私を含む多くのエコノミストの考えでは、日本では賃上げとそれに伴う消費の拡大が喫緊の課題であり、景気の観点からも、デフレ脱却のためにも、賃上げの必要性は大きいといわざるを得ません。

最後に、今年の米国のクリスマス商戦 Holiday Shopping 最近5日間の売上げが全米小売業協会 (NRF) から明らかにされているようです。NRF のサイトにはプレスリリースを発見できなかったので、参照したニュースメディアのサイトだけ、以下に示しておきます。今年の米国年末商戦の序盤戦はやや期待外れ、という印象かもしれません。

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