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2018年11月 2日 (金)

中間選挙直前の10月米国雇用統計は好調な労働市場を反映し利上げをサポート!

本日、米国労働省から10月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+250千人増と、市場の事前コンセンサスだった+190~+200千人の増加という予想を大きく上回って伸びが加速し、失業率も前月と同じ3.7%を示し、約半世紀ぶりの低い水準を続けています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を4パラ引用すると以下の通りです。

Economy adds robust 250,000 jobs in October in last employment report before election
The economy added a healthy 250,000 jobs in October, the Labor Department said Friday in the last employment report before midterm elections that President Trump has cast as a critical referendum on his stewardship of the economy.
The unemployment rate was unchanged at a near 50-year low of 3.7 percent. Annual wage growth topped 3 percent for the first time in nine years.
Economists had estimated 200,000 jobs were added last month, according to a Bloomberg survey.
Trump has boasted that low unemployment is a result of the cuts to taxes and regulations championed by his administration, and warned ominously that electing Democrats would reverse the gains.

長くなりましたが、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは下の通りです。上のパネルは非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門、下のパネルは失業率です。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、中間選挙を間近に控えた10月米国雇用統計は、トランプ政権与党共和党に追い風をもたらすくらい出来過ぎの内容で、雇用者は増加し失業率も半世紀振りの低い水準を保っています。このブログでは、先月の米国雇用統計公表の際に、「ほぼ完全雇用の状態にある米国労働市場では、雇用者募集をかけてもスラックがほぼ尽きた状態になっているとすれば、新たな雇用増は生み出されないわけで、労働市場が完全雇用水準に達したということであれば、雇用増の鈍化と失業率の低下は整合的、」と書きましたが、+250千人の雇用増ということはまだ労働力のスラックはあった、ということなのかもしれません。それはともかく、この労働市場における人手不足はトランプ政権の減税政策がもたらしたと考えられます。まだ、中国製品締め出しの貿易戦争の影響は出ていないとみられるからです。加えて、労働市場が完全雇用であるならば、トランプ政権の圧力がどうあれ、独立した中央銀行である米国連邦準備制度理事会(FED)の利上げ継続路線はサポートされるということになると考えるべきです。FEDは年内にもう一度の利上げを見込んでいますので、12月18~19日に開催予定のの米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されるのはほぼほぼ確実と私は考えています。

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最後に、その物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。ならして見て、じわじわと上昇率を高め、9月は前年同月比で+2.8%の上昇と、このところ、+3%近い上昇率が続いています。日本だけでなく、米国でも賃金がなかなか伸びない構造になってしまったといわれつつも、日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いていて、10年振りに近い+3%超の賃金上昇ですから、12月FOMCでの追加利上げは賃金上昇からも十分に正当化されると私は考えています。

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