基調判断が「足踏み」に下方修正された景気動向指数と賃金上昇続く毎月勤労統計!
本日、内閣府から景気動向指数が、また、厚生労働省から毎月勤労統計が、それぞれ公表されています。いずれも9月の統計です。景気動向指数のうち、CI先行指数は前月差▲0.6ポイント下降して103.9を、CI一致指数も▲2.1ポイント下降して114.6を、それぞれ記録しています。また、毎月勤労統計のうち、名目賃金は季節調整していない原数値の前年同月比で+1.1%増の27万256円に上昇しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
9月の景気一致指数が低下 基調判断を下方修正、災害の影響などで
内閣府が7日発表した9月の景気動向指数(CI、2010年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比2.1ポイント低下の114.6だった。低下は2カ月ぶり。内閣府は「台風や北海道地震などの影響が大きく出た」としている。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に下方修正した。基調判断の下方修正は3年4カ月ぶりで、「足踏みを示している」との表現を用いるのは2年ぶり。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になる7系列全てが指数のマイナスに寄与した。
鉄鋼や輸送機械が振るわなかった鉱工業用生産財出荷指数のマイナスが大きく影響した。災害による工場の稼働停止などで乗用車・二輪車がマイナスとなった耐久消費財出荷指数の低下も指数を押し下げた。物流網に混乱が生じたことで商業販売額(卸売業)も低下した。
数カ月後の景気を示す先行指数は0.6ポイント低下の103.9と2カ月ぶりに下落した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は1.4ポイント上昇の119.8だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
9月の名目賃金、前年比1.1%増 増加は14カ月連続、毎月勤労統計
厚生労働省が7日発表した9月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、9月の名目賃金にあたる1人あたりの現金給与総額は前年同月比1.1%増の27万256円だった。増加は14カ月連続。基本給の増加が続いた。
内訳をみると、基本給にあたる所定内給与が0.8%増の24万4054円だった。残業代など所定外給与は0.4%増。ボーナスなど特別に支払われた給与は13.3%増だった。物価変動の影響を除いた実質賃金は0.4%減だった。名目賃金は増加したが、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が上昇し、実質賃金を押し下げた。
パートタイム労働者の時間あたり給与は2.1%増の1136円。パートタイム労働者比率は0.15ポイント低下の30.63%だった。厚労省は賃金動向について「基調としては緩やかに増加している」との判断を据え置いた。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、2つの統計を並べると長くなってしまいました。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は、毎月勤労統計のグラフとも共通して、景気後退期を示しています。
まず、景気動向指数は、CI先行指数もCI一致指数もともに前月差で下降し、基調判断が「改善」から「足踏み」に1ノッチ下方修正されました。内閣府の発表資料によれば、基調判断の基準として、足踏みに下方修正するばあいは、当月の前月差がマイナスであり、3か月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、1か月、2か月または3か月の累積マイナス幅が1標準偏差分以上の場合に適用されることとされています。そして、「改善」と「足踏み」の先は、「局面変化」ということになりますから、事後的に判断される景気の山がその前の数か月にあった可能性が高い、とされています。来週には7~9月期GDP統計速報、いわゆる1次QEが公表される予定となっており、出来れば今週中にもシンクタンクの予想を取りまとめるつもりですが、7~9月期成長率はマイナスとの予想が強くなっています。ただ、そのマイナス成長の要因は自然災害による供給制約や物流面での問題であり、その後の10~12月期には緩やかな景気回復軌道に復する可能性も見込まれています。ですので、景気動向指数の9月統計だけからすでに景気の転換点を過ぎている可能性を高いと判断するのは少し早計かもしれません。なお、9月統計ではCI一致指数の構成系列は押しなべてマイナス寄与を示していますが、鉱工業用生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、商業販売額(卸売業)(前年同月比)などが絶対値で大きく寄与しています。
続いて、毎月勤労統計のグラフは上の通りです。上から順に、1番上のパネルは製造業の所定外労働時間指数の季節調整済み系列を、次の2番目のパネルは調査産業計の賃金、すなわち、現金給与総額ときまって支給する給与のそれぞれの季節調整していない原系列の前年同月比を、3番目のパネルはこれらの季節調整済み指数をそのまま、そして、1番下のパネルはいわゆるフルタイムの一般労働者とパートタイム労働者の就業形態別の原系列の雇用の前年同月比の伸び率の推移を、それぞれプロットしています。いずれも、影をつけた期間は景気後退期です。ということで、景気に敏感な製造業の所定外時間指数は低下を示していますが、賃金はそれなりに上向きと私は見ています。2番目のパネルの季節調整していない原系列の賃金指数の前年同月比のプラス幅も、3番目の季節調整済みの系列の賃金指数も、ともに上向きに見えます。さすがに、人手不足がここまで進んでいますので、正規雇用の増加とともに、賃金上昇の圧力はそれなりに大きいと私は受け止めています。
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