帝国データバンク「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」の結果やいかに?
やや旧聞に属する話題ですが、11月14日付けで帝国データバンクから「消費税率引き上げに対する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。pdfの全文リポートもアップされています。もともと、2015年10月に消費税率10%へと引き上げられる予定でしたが、2014年11月と2016年6月の2度に渡って消費税率引き上げは延期され、現在、来年2019年10月の消費税率10%への引き上げを実施する予定となっているのは広く知られている通りです。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を4点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 消費税率10%への引き上げ、「予定どおり実施すべき」と考える企業が43.3%となった。「延期」「現行維持」「引き下げ」など2019年10月の引き上げに否定的な見方をする企業も計43.1%となり、二分する結果となった
- 企業活動への影響、「(業績に)マイナスの影響がある」(34.2%)と「(業績以外で)マイナスの影響がある」(20.9%)を合わせると企業の55.1%が懸念。特に『小売』は81.2%に達する企業がマイナス影響を見込む
- 軽減税率導入への対応、「軽減税率制度の内容の確認」が41.8%でトップ。以下、「影響が生じる事務の確認」(36.7%)、「会計システム等の導入・改修・入れ替え」(23.5%)が続く
- 政府に優先的に取り組んでほしい政策は、「景気対策」が67.8%で突出。以下、「少子化対策」(37.3%)、「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)、「税制改革」(32.7%)が3割台で続く
かなり詳細な調査結果の要約ですので、これ以上の情報は必要なさそうな気もしますが、リポートからいくつかグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

まず、リポートから 消費税率の引き上げに対する企業の見解 に関するグラフを引用すると上の通りです。「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」が43.3%となった一方で、「実施するべきでない(現行の8%を維持)」の24.5%が続いたほか、「時期を延期して実施するべき」(12.0%)や「消費税率を引き下げるべき」(6.6%)を含めて、予定通りの消費税率引き上げに否定的な企業の割合が計43.1%となり、予定どおり実施すべきと考える企業と二分する結果が示されています。ただ、グラフの引用はしませんが、企業規模別の結果では、規模が大きいほど「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」の割合が高く、逆に、規模が小さいほど「実施するべきでない(現行の8%を維持)」の割合が高くなっています。

次に、リポートから 消費税率引き上げにより「マイナスの影響がある」割合を業界別に取りまとめたグラフを引用すると上の通りです。全体では、「(業績に)マイナスの影響がある」が34.2%、また、「(業績以外で)マイナスの影響がある」(20.9%)を合わせて、企業の半数超となる55.1%が消費税率引き上げにより企業活動にマイナスの影響がある見通しを持っており、企業活動に「影響はない」(27.6%)を大きく上回っています。上の業界別のグラフから、「小売」で特にマイナスの影響を見込む割合が高くなっていることが読み取れます。このマイナスの影響に対して、グラフは引用しませんが、政府に優先的に取り組んでほしい政策を複数回答で質問したところ、「景気対策」が67.8%となり、突出してトップとなっています。次いで、「少子化対策」(37.3%)、「中小企業支援の充実・拡大」(33.2%)、「財政再建」(33.1%)、「税制改革」(32.7%)が30%超で続いています。
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