消費者物価指数(CPI)上昇率はエネルギーの寄与縮小するも+0.9%の上昇率!
本日、総務省統計局から11月の消費者物価指数 (CPI) が公表されています。でみて、CPIのうち生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPIの前年同月比上昇率は前月からやや上昇幅を縮小して+0.9%を示しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
11月の全国消費者物価、0.9%上昇 エネルギーの寄与度が縮小
総務省が21日発表した11月の全国消費者物価指数(CPI、2015年=100)は生鮮食品を除く総合が101.6と前年同月比0.9%上昇した。上昇は23カ月連続。10月(1.0%上昇)に比べて伸び率が縮小した。エネルギー関連項目が引き続き押し上げに寄与したものの、足元の原油安を背景に寄与度は前月に比べて低下した。
QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.0%上昇だった。生鮮食品を除く総合を季節調整して前月と比べると横ばいだった。生鮮食品を除く総合では、全体の52.8%にあたる276品目が上昇した。下落は178品目、横ばいは69品目だった。
生鮮食品とエネルギーを除く総合は101.3と前年同月比0.3%上昇した。外食など生鮮食品を除く食料の上昇が目立った。たばこ税の増税に伴い、たばこも上昇した。
生鮮食品を含む総合は101.8と0.8%上昇した。伸び率は前月(1.4%上昇)に比べて縮小した。前年よりも気温が高く推移した影響で、レタスやホウレンソウといった生鮮野菜が下落した。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、いつもの消費者物価上昇率のグラフは以下の通りです。折れ線グラフが凡例の色分けに従って生鮮食品を除く全国のコアCPI上昇率と食料とエネルギーを除く全国コアコアCPIと東京都区部のコアCPIそれぞれの上昇率を示しており、積上げ棒グラフは全国のコアCPI上昇率に対する寄与度となっています。エネルギーと食料とサービスとコア財の4分割です。加えて、いつものお断りですが、いずれも総務省統計局の発表する丸めた小数点以下1位の指数を基に私の方で算出しています。丸めない指数で計算している統計局公表の上昇率や寄与度とはビミョーに異なっている可能性があります。さらに、酒類の扱いも私の試算と総務省統計局で異なっており、私の寄与度試算ではメンドウなので、酒類(全国のウェイト1.2%弱)は通常の食料には入らずコア財に含めています。
まず、日経・QUICKによる市場の事前コンセンサスによれば、生鮮食品を除く総合で定義されるコアCPI上昇率は前月と同じ+1.0%と見込まれていましたので、やや下振れした印象がありますが、国際商品市況における石油価格の動向に影響された結果ですので、まあ、こんなもんかという気もします。例えば、生鮮食品を含む総合のベースの前年同月比上昇率で見て、ガソリンの寄与度が10月には+0.36%ありましたが、11月には+0.26%まで縮小し、寄与度差は▲0.09%となっています。灯油も同様に寄与度差が▲0.01%あり、石油製品全体での下振れ要因となっていますから、生鮮食品を除くコアCPI上昇率の縮小幅▲0.1%をほぼほぼすべて石油製品価格が説明しています。ただし、1点だけ補足すると、11月の全国CPI前年同月比上昇率は前月から▲0.1%縮小しましたが、東京都区部CPIについては11月上昇率は前月から変わりありません。これは、東京が全国に先行しているというよりは、ガソリンのウェイトの違いではなかろうかと私は受け止めています。ですから、先行きについても、石油価格の動向が参考になります。私自身は、日経新聞電子版の商品欄のドバイ原油をチラチラと見ているだけで、データとして体系的に観察しているわけではないものの、10月上旬にはバレル80ドルをラクに超えていたんですが、今朝の時点では50ドル台半ばから前半にまで下落を示しています。私がいくつかのシンクタンクのリポートなどを拝見した範囲でも、来年半ばにかけて石油価格の全国CPIへの寄与度はゼロ近辺まで低下するとした予想も少なくありません。もちろん、石油価格動向に従って我が国の物価上昇率も低下する可能性があります。来年2019年10月からの消費増税に伴う景気対策では、かなり手厚い税制出動が見込まれていますので、消費増税で需要がショックを受けて需給ギャップが拡大し、これに起因してさらに物価が下振れする恐れは小さいと私自身は考えていますが、物価動向はこの先も上昇幅を拡大するとは考えにくいため、日銀がどこまでフォワード・ルッキングに金融政策運営をするかを私は注目しています。
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