法人企業景気予測調査に見る景況感と設備投資動向の乖離は何が原因か?
本日、財務省から10~12月期の法人企業景気予測調査が公表されています。ヘッドラインとなる大企業全産業の景況感判断指数(BSI)は今年2018年10~12月期+4.3の後、先行き来年2019年1~3月期には+4.7と見込まれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
10-12月大企業景況感、プラス4.3 建材・自動車向け好調
財務省と内閣府が11日発表した法人企業景気予測調査によると、10~12月期の大企業全産業の景況判断指数(BSI)はプラス4.3(7~9月期はプラス3.8)となった。プラスは2四半期連続。建材や自動車向けの需要が好調だった。
大企業のうち非製造業はプラス3.7(7~9月期はプラス2.4)。卸売業で建材向けの需要が好調だった。鉄鋼やエネルギーの販売価格上昇も寄与した。製造業はプラス5.5(7~9月期はプラス6.5)だった。化学工業で自動車向けの需要が増えた。
先行き2019年1~3月期の見通しは大企業全産業でプラス4.7だった。製造業がプラス4.2、非製造業がプラス5.0だった。4~6月期の見通しは全産業でプラス1.4だった。
18年度の設備投資は前年度比9.1%増となる見通し。前回調査(9.9%増)から小幅に下方修正した。19年度の設備投資見通しを見ると、大企業で「増加」が「減少」を上回った。
18年度の経常利益の見通しは0.4%増と前回調査(0.4%減)から上方修正した。
財務省と内閣府は企業の景況感について「政府の月例経済報告で『景気は緩やかに回復している』という判断が示されているが、そうした経済全体の傾向を反映した動き」としている。
景況判断指数は「上昇」と答えた企業と「下降」と答えた企業の割合の差から算出する。今回の調査は11月15日時点で、資本金1000万円以上の企業1万2895社が回答した。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。次に、法人企業景気予測調査のうち大企業の景況判断BSIのグラフは以下の通りです。重なって少し見にくいかもしれませんが、赤と水色の折れ線の色分けは凡例の通り、濃い赤のラインが実績で、水色のラインが先行き予測です。影をつけた部分は景気後退期を示しています。
今回の結果は、上のグラフの景況感とテーブルの引用はしませんが設備投資計画で企業マインドが乖離しているように見える点に絞って考えたいと思います。まず、結論から明らかにすると、景況感については、足元の今年2018年10~12月期から先行き2019年1~3月期の見通しは上向くわけで、今週金曜日公表予定のの日銀短観も見てみたい気はしますが、この法人企業景気予測調査については2018年4~6月期にマイナスをつけた後に上昇に転じており、統計の特性からして1期くらいリードを取るとしても、今年2018年年央くらいが企業マインドの一時的な底だったのかもしれません。日銀短観で確認したいと思いますが、景況感に現れる企業マインドは目先は上向きなのかもしれません。ただ、設備投資計画は下方修正されていますから、もっと長い期間を考えると、設備投資につながるような長期的なマインドは決して上向きではないように見えます。このあたりの乖離はビミョーな違いながら直観的にはあり得るところで、短期的に目先の景況感は決して悪くないものの、設備投資に現れるようなもう少し先の長い企業マインドはそれほど楽観できない、というふうに取りまとめられるのではないかと私は考えています。
いずれにせよ、今週金曜日に日銀短観が公表され、企業マインドの決定版のような統計ですので、さらに詳細な情報が明らかになることと期待しています。その前に、明日か明後日にでも各シンクタンクの日銀短観予想を取りまとめておきたいと予定しています。
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