12月の景気動向指数CI一致指数は2か月連続で下降し足踏み続く!
本日、内閣府から昨年2018年12月の景気動向指数が公表されています。CI先行指数は前月差▲1.2ポイント下降して97.9を、CI一致指数も▲0.6ポイント下降して102.3を、それぞれ記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
18年12月の景気一致指数 2カ月連続の低下、内閣府「輸出弱い」
内閣府が7日発表した2018年12月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.6ポイント低下の102.3だった。低下は2カ月連続。「アジア向けのスマートフォン(スマホ)用部品が減少するなど、輸出が弱い印象だ」(内閣府)という。米中貿易摩擦や中国経済の減速などの影響が出たようだ。
内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断を「足踏みを示している」に据え置いた。同判断は4カ月連続となる。一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象になるのは7系列で、そのうち6系列がマイナスに影響した。
米国・アジア向けの自動車部品の輸出が減少するなど、商業販売額(卸売業)が低下した。スマホなどに使われるフラットパネルディスプレーの製造装置の輸出減がみられた投資財出荷指数(除輸送機械)の低下なども指数にマイナスに影響した。
数カ月後の景気を示す先行指数は1.2ポイント低下の97.9と4カ月連続で低下した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は0.6ポイント低下の103.4だった。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
CI一致指数に対する寄与度としては、プラスは耐久消費財出荷指数だけであり、マイナスは速報段階で利用可能なほかのすべての6系列に上っており、マイナスの大きい順に、商業販売額(卸売業)(前年同月比)、投資財出荷指数(除輸送機械)、有効求人倍率(除学卒)などが上げられています。基調判断は「足踏み」に据え置かれていますが、「改善」に1ノッチ上方修正されるための2条件、すなわち、3か月連続での3か月後方移動平均がプラス、はOKだったんですが、前月差でプラスはダメでした。従って、繰り返しになりますが、基調判断は4か月連続で「足踏み」に据え置かれています。
なお、よく知られた通り、景気動向指数は鉱工業生産指数(IIP)などのいわゆる1次統計から機械的に算出される加工統計、ないし、2次統計と呼ばれるもので、独自の調査票でもって調査されているわけではありませんので、逆に、何らかの要因で1次統計が不正確であれば、正しい結果は得られません。当然です。実は、例の統計偽装が騒がれている毎月勤労統計も用いられており、内閣府からは本日付けで「『景気動向指数』における『毎月勤労統計調査』再集計値対応について」と題するアナウンスが公表されています。これによれば、毎月勤労統計から景気動向指数には、一致系列: C4 所定外労働時間指数(季節調整値、調査産業計、30人以上)が、また、遅行系列: Lg2 常用雇用指数(原数値の前年同月比、調査産業計、30人以上)および Lg7 きまって支給する給与(指数、名目、季節調整値、製造業、30人以上)が用いられており、本日公表の2018年12月分速報からリンク係数を用いた接続方法により算出されている旨が明らかにされています。
ところで、去る1月29日に開催された月例経済報告閣僚会議において、「景気は、緩やかに回復している。」とされ、現在の2012年11月を谷とする景気拡大が73か月と戦後最長となった可能性が高いと報告された点につき、シンクタンクなどからいくつか論評が明らかにされています。私がネット上で見たのは順不同で以下の通りです。ご参考まで。
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