帝国データバンクによる「大阪万博に関する企業の意識調査」の結果やいかに?
とても旧聞に属する話題ながら、1月24日に帝国データバンクから「大阪万博に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文リポートもアップされています。地域別にみて、当然ながら、近畿圏企業の期待が高まっているようすが判ります。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の概要を引用すると以下の通りです。
調査結果
- 大阪万博の開催が与える企業活動への影響について、「プラスの影響がある」が31.0%、「マイナスの影響がある」が5.7%、「影響はない」が38.9%、「分からない」が24.3%となった。約3割の企業が大阪万博開催に関してプラスの影響があるととらえている
- 地域別にみると、大阪万博の開催について「プラスの影響がある」と回答した企業の割合は、『近畿』で55.8%と最も高い。『北海道』『東北』『北関東』においては、同結果が1割台となっており地理的な距離によりプラス効果の認識に違いが生じている
- 具体的な理由について、プラス面では「建設需要の増加」が22.5%と最も高く、次いで「個人消費の拡大」(15.6%)。他方、マイナス面は「人手不足の深刻化」が26.2%でトップ、次いで「建設費の高騰」(16.4%)が続いた
- 業界別では、『金融』『建設』『製造』『運輸・倉庫』『サービス』の5業界において、「プラスの影響がある」が30%を超える結果となった
- 従業員規模別では、従業員数の規模が大きくなるほど、「プラスの影響がある」と回答する企業の割合は高くなっている。特に「1,000人超」企業においては5割を超える
関西は京都出身の私にとっても、とても興味あるテーマですので、リポートから図表をいくつか引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、上の棒グラフは全国及びブロック別での大阪万博開催の影響を帝国データバンクのリポートから引用しています。「プラスの影響」を回答した企業の割合は、近畿で55.8%と圧倒的に高く、30%超の地方は中国・四国と東海がほぼほぼ同率で並んでおり、やっぱり、地域的な偏りが見られます。当然です。逆に、地理的な距離のある北海道、東北、北関東の各地方においては、10%台後半となっており、極めて正直な結果という気もします。また、マイナスの影響についても、北海道、東北、九州で割合が高くなっています。
次に、上の地図も都道府県別での大阪万博開催の影響を帝国データバンクのリポートから引用しています。加えて、ブロック別よりも詳細に都道府県別でプラスの影響の割合を見ています。もっとも高い割合を示しているのが大阪である点は当然としても、京都を飛び越して滋賀県が大阪に肉薄しています。近畿ブロックの中で、京都と奈良は50%超の数字を上げており、兵庫と和歌山についてもほぼほぼ50%です。そして、なぜか、海を隔てて徳島が50%に上っています。私は詳しくないんですが、大阪圏との経済的な結びつきが大きいのかもしれません。大阪から距離のある県では、白の20%を下回っている水準なんですが、流石に東京だけは32%に達しています。
最後に、上の棒グラフは大阪万博開催の影響に関する具体的な理由を帝国データバンクのリポートから引用しています。プラスの影響の理由としては、インフラ整備などの建設需要の増加と消費拡大とインバウンド増加が上げられており、逆に、マイナスの影響の理由では人手不足の深刻化と建設費の高騰などが懸念されていて、私の印象だけなのかもしれませんが、エコノミストは何かのイベントやショックに対する波及効果を考えるのに対して、企業部門はややゼロサム的な考え方なのか、いろんなリソースを大阪や近畿圏に持って行かれる心配をしているのかもしれません。
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