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2019年3月 4日 (月)

マクロミル・ホノテによる「フリマアプリ利用者1,000人調査」の結果やいかに?

やや旧聞に属する話題かもしれませんが、2月25日にマクロミル・ホノテによる「フリマアプリ利用者1,000人調査」の結果が明らかにされています。フリマアプリの普及については、経済産業省のリポート「電子商取引に関する市場調査」でも、2017年の市場規模が4,835億円(前年3,052億円、前年比+58.4%増)と急増していることが明らかにされており、消費生活に大きな変化をもたらしているのは間違いないところですが、私の考える基本は2点あり、すなわち、第1に、先々使い尽くすまで使用するだけでなく、フリマアプリで売りに出す可能性も考慮した消費行動に基づく売れ筋ないし高級志向、第2に、新品購入だけでなく中古品購入の可能性が広がったことによる競争の強まりと価格の下押し圧力です。これは相反する可能性もあるんですが、アンケートなどにより、どういった反応が現れるかも興味あるところです。ということで、マクロミル・ホノテの調査結果につきグラフを引用しつつ簡単に取り上げておきたいと思います。

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まず、上のグラフは、マクロミル・ホノテのサイトから フリマアプリの直近1年の利用状況 を購入と出品に分けてプロットしています。購入のカテゴリーは、1位「服」41%、2位「書籍・雑誌・コミック」23%、3位「靴・バッグ」21%だった一方で、出品のカテゴリーは、1位「服」60%、2位「靴・バッグ」37%、3位「書籍・雑誌・コミック」36%でした。順位こそは僅差で入れ替わっているものの、いずれも商品カテゴリーの上位の顔ぶれはほぼ一致しており、「服」がダントツで、「靴・バッグ」と「書籍・雑誌・コミック」が2番手グループ、さらに、これに、「コスメ・香水・美容」が続いています。

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まず、上のグラフは、マクロミル・ホノテのサイトから フリマアプリによる生活意識の変化 をプロットしています。なお、グラフは引用していませんが、「フリマアプリで売ることを想定して商品を購入した経験ある」が34%に上っており、出品者の3人に1人が、不要になったものを出品するのではなく、最初から出品を想定して買い物をした経験があるようで、売ることを想定して購入した具体的な商品カテゴリーは、トップスリーが「服」14%、「書籍・雑誌・コミック」9%、「靴・バッグ」7%となっています。そして、具体的な生活意識の変化の項目が上のグラフの通りなんですが、私の目から見て、やや選択肢の設定が難ありの気がします。まあ、「不要品を捨てることが減った」のはいいとしても、将来的に売る可能性を考慮すると、「モノを大切に使う」というのもさることながら、自分の好みだけでなく、売れ筋商品を選択する可能性が高まる気がします。ケインズ的な美人投票であって、自分が美人と感じるかどうかではなく、参加者が美人と感じるかどうかを類推して投票する、という例のアレです。あるいは、先々で売ることを考えれば、やや高級志向に振れる可能性もあります。逆に、新品購入と中古品購入を比較して、価格競争が強まり価格の下押し圧力が増す可能性も高くなると考えるべきです。
このケインズ的な美人投票ともいいえる売れ筋ないし高級志向の可能性と価格競争の強まりは、価格の動きには逆方向に作用する可能性もありますが、もうひとつの注意すべき点は、フリマアプリだけではなく、広くシェアリング・エコノミーに共通する可能性が高いことです。すなわち、定義にもよりますが、我が国でシェアリング・エコノミーという場合、フリマアプリとともに、いわゆる民泊が頭に思い浮かびます。民泊の場合、まあ、高額の住宅ですので服ほどではない可能性が高いんですが、まったく同じケインズ的な美人投票による売れ筋ないし高級志向の可能性と価格競争の強まりがどちらも現れると考えられます。すなわち、人に貸しやすい人気の部屋を我が家として購入したり、あるいは、先々回収できる可能性が高まるので高級物件にシフトしたり、逆に、価格競争圧力が高まる可能性もあります。ただ、服やコスメと違って、後者の価格競争圧力が高まるのは、単に民泊物件だけではなく、既存のホテルや旅館も含めた宿泊施設一般になります。日本では白タク規制などから多くは見られませんが、ライドシェアの普及によってタクシー会社の経営が苦しくなった、という海外事例もあるようですし、民泊の普及による消費者行動の変化の一面である価格競争の高まりは、ホテル・旅館といった既存の宿泊業界の経営に何らかの圧力をもたらす可能性が十分あります。

実は、先週はこのマクロミル・ホノテの調査結果だけでなく、メルカリと三菱総研による共同研究の結果も明らかにされています。明日はソチラを取り上げたいと思います。

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