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2019年3月 8日 (金)

やや上方改定された2018年10-12月期GDP統計2次QEから景気後退の可能性を探る!

本日、内閣府から昨年2018年10~12月期のGDP統計1次QEが公表されています。季節調整済みの前期比成長率は+0.5%、年率では+1.9%を記録しました。1次QEから上方改定されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

GDP1.9%増に上方修正 10-12月年率、設備投資堅調
内閣府が8日発表した2018年10~12月期の国内総生産(GDP)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.5%増、年率換算で1.9%増だった。2月に発表した速報値(前期比0.3%増、年率1.4%増)から上方修正した。企業の設備投資が速報値の推計値から上振れしたことが全体の押し上げにつながった。
設備投資は実質で前期比2.7%増と、速報値の2.4%増から改定した。財務省が1日発表した10~12月期の法人企業統計によると、半導体関連や自動車用電子部品などの投資が堅調だった。
民間在庫も成長率押し上げに効いた。成長率への寄与度は0.01%。原材料や仕掛かり品を中心に金額ベースで在庫が増えたことを反映した。
一方、個人消費は0.4%増と速報値(0.6%増)から下方修正した。飲料や、白物家電を含む「家庭用器具」の出荷の伸びが鈍かった。全体の成長率に対する内需の寄与度は0.8%と、速報値(0.6%)から拡大。内閣府は上方改定の主な要因は「国内需要による」と説明した。
外需の成長率に対する寄与度は0.3%の押し下げだった。輸出は前期比1.0%増と速報値(0.9%増)から小幅に上ぶれたが、全体への寄与度は変わらなかった。
10~12月期の名目GDP改定値も前期比0.4%増、年率換算で1.6%増と速報値(前期比0.3%増、年率1.1%増)から上方修正した。
18年の実質成長率は前年比0.8%増、名目成長率は0.7%増とそれぞれ0.1ポイントの上方修正となった。設備投資の伸びを反映した。

ということで、いつもの通り、とても適確にいろんなことが取りまとめられた記事なんですが、次に、GDPコンポーネントごとの成長率や寄与度を表示したテーブルは以下の通りです。基本は、雇用者報酬を含めて季節調整済み実質系列の前期比をパーセント表示したものですが、表示の通り、名目GDPは実質ではなく名目ですし、GDPデフレータと内需デフレータだけは季節調整済み系列の前期比ではなく、伝統に従って季節調整していない原系列の前年同期比となっています。また、項目にアスタリスクを付して、数字がカッコに入っている民間在庫と内需寄与度・外需寄与度は前期比成長率に対する寄与度表示となっています。もちろん、計数には正確を期しているつもりですが、タイプミスもあり得ますので、データの完全性は無保証です。正確な計数は自己責任で最初にお示しした内閣府のリンク先からお願いします。

需要項目2017/10-122018/1-32018/4-62018/7-92018/10-12
1次QE2次QE
国内総生産 (GDP)+0.4▲0.2+0.6▲0.5+0.3+0.5
民間消費+0.5▲0.2+0.9▲0.5+0.7+0.9
民間住宅▲3.2▲2.0▲2.0+0.6+1.1+1.1
民間設備+0.7+1.0+2.5▲2.6+2.4+2.7
民間在庫 *(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(+0.1)(▲0.2)(+0.0)
公的需要+0.0▲0.0▲0.1▲0.3+0.4+0.2
内需寄与度 *(+0.4)(▲0.2)(+0.6)(▲0.5)(+0.6)(+0.8)
外需寄与度 *(+0.0)(+0.1)(▲0.1)(▲0.1)(▲0.3)(▲0.3)
輸出+2.2+0.4+0.4▲1.4+0.9+1.0
輸入+2.3+0.0+1.3▲+0.7+2.7+2.7
国内総所得 (GDI)+0.0▲0.4+0.4▲0.9+0.2+0.4
国民総所得 (GNI)▲0.0▲0.6+0.7▲1.0+0.3+0.4
名目GDP+0.2▲0.3+0.4▲0.5+0.3+0.4
雇用者報酬+0.0+0.7+1.5▲0.5+0.7+0.6
GDPデフレータ+0.1+0.5▲0.1▲0.4▲0.3▲0.3
内需デフレータ+0.6+0.9+0.5+0.5+0.5+0.5

上のテーブルに加えて、いつもの需要項目別の寄与度を示したグラフは以下の通りです。青い折れ線でプロットした季節調整済みの前期比成長率に対して積上げ棒グラフが需要項目別の寄与を示しており、左軸の単位はパーセントです。グラフの色分けは凡例の通りとなっていますが、本日発表された2018年10~12月期2次QEの最新データでは、前期比成長率がプラスに回帰し、赤い消費と水色の設備投資がプラスの寄与を示している一方で、黒の外需(純輸出)がマイナス寄与となっているのが見て取れます。

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昨日公表の景気動向指数の結果を考え合わせると、評価の難しいところです。一昨日の2次QE予想においては+2%台の成長であれば2018年7~9月期からのリバウンドもあったそれなりの成長と感じられる可能性が出てくると感じていましたが、年率+1.9%成長でしたし、中身を考えるとやや消極的な評価を下すエコノミストも少なくない気がします。すなわち、仕上がりの内需主導の成長はいいんですが、1次QEからの変化の方向を考えると、在庫の寄与度が1次QEの▲0.2%から2次QEで+0.0%に上方改定されていますから、これがほぼほぼ成長率の差の+0.2%ポイントに相当します。瞬間風速で前向きの在庫が積み増された可能性も否定できないものの、現在の景気局面を考慮すると、先行きの在庫調整の可能性を高めるものであろうと考えるべきです。消費の伸びは1次QEの+0.6%から2次QEでは+0.4%に下方修正され、寄与度も▲0.1%ポイント低下しています。一昨日に取り上げた1次QE予想で消費の下方改定を予想していたのはみずほ総研と第一生命経済研だけで、どちらのシンクタンクも1次QEから▲0.1%ポイント伸びを低下せて前期比+0.5%増を見込んでいましたが、ほかはすべて1次QEと同じ前期比+0.6%の伸びを予測していました。他方で、プラスに評価できるのは設備投資の上方改定があります。ほかに、海外要因は外需寄与度が1次QE、2次QEとも▲0.3%ですし、米中の貿易摩擦を考慮すれば、それほど先行き期待できるとも思えません。1次QE公表後のシンクタンクのリポートには、「力強さに欠ける」とか、「低空飛行」といった旨の表現が見られたんですが、今回も同じ傾向かもしれません。

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上のグラフは、価格の変動を取り除いた実質ベースの雇用者報酬及び非居住者家計の購入額の推移をプロットしています。内需主導の成長を裏付けているのは設備投資とともに消費が上げられるわけですが、上のグラフに見られる通り、その背景には順調な増加を続ける雇用者報酬があります。2014年の消費増税後は伸び悩んでいましたが、2016年に入ってから順調な伸びを示し、人手不足を背景に1人当たり雇用者所得と雇用者数の掛け算で増えています。インバウンド消費も順調な拡大を続けており、まだまだ拡大の余地はあると考えられるものの、かつて「爆買い」と称されたほどの爆発的な拡大はそろそろ安定化に向かっている印象ですし、インバウンドに加えて、国内労働市場の人手不足に伴う正規雇用の増加や賃金上昇により、毎月勤労統計などの統計が信頼性低い恐れはあるものの、雇用者報酬が順調な伸びを背景に消費拡大につながることが期待できそうです。まだ、消費者マインドは改善の兆しを見せないものの、人手不足は省力化・合理化投資を誘発して設備投資にも増加圧力となっており、内需主導の成長をサポートしていると考えるべきです。

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なお、GDP統計2次QEのほか、本日、内閣府から2月の景気ウォッチャーが、また、財務省から1月の経常収支が、それぞれ公表されています。景気ウォッチャーでは季節調整済みの系列で見て、現状判断DIが前月差+1.9ポイント上昇の47.5を記録した一方で、先行き判断DIは▲0.5ポイント低下の48.9となりました。現状判断DIの改善は3か月ぶりであり、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のいずれも改善を示しています。また、経常収支は季節調整していない原系列の統計で+6004億円の黒字を計上しています。いつものグラフは上の通りです。

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