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2019年3月 6日 (水)

明後日公表の2018年10-12月期GDP統計2次QEの予想やいかに?

先週金曜日の法人企業統計など、ほぼ必要な統計が出そろい、明後日の3月8日に昨年2018年10~12月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっています。すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。可能な範囲で、足元の1~3月期以降の景気動向を重視して拾おうとしています。ただし、2次QEですので、法人企業統計に関するリポートにのオマケで解説されているだけで、明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くありませんでした。その中で、みずほ総研だけは長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで自己責任でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。

機関名実質GDP成長率
(前期比年率)
ヘッドライン
内閣府1次QE+0.3%
(+1.4%)
n.a.
日本総研+0.3%
(+1.4%)
10~12月期の実質GDPP(2次QE)は、設備投資が上方修正される一方、公共投資が下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.4%(前期比+0.3%)と1次QEから変わらない見込み。
大和総研+0.5%
(+2.0%)
10-12月期の実質GDPにおける設備投資の伸び率は2四半期ぶりにプラス成長になるものの、1次速報段階と同様に、災害要因に伴う7-9月期の落ち込みからの回復という色合いが強いという評価は変わらない。
みずほ総研+0.6%
(+2.5%)
今後の日本経済については、海外経済減速に伴う輸出低迷を受け、力強さに欠く展開が続く見通しだ。個人消費は、良好な雇用環境を受け底堅く推移するだろう。一方で、設備投資は人手不足を背景にした省力化投資が引き続き下支えになるものの、製造業を中心にストック調整圧力が徐々に高まることから、伸びが鈍化する見通しだ。輸出は、中国経済を中心に海外経済の減速がしばらく続くほか、IT関連の調整局面が当面続くことから、伸び悩むとみている。
リスク要因としては、貿易摩擦の激化に注意が必要だ。一部の企業で既に投資を先送りする動きが出ているが、米中間の貿易摩擦が更に高まれば、輸出の更なる低下や設備投資減速を通じ、景気が下押しされよう。
ニッセイ基礎研+0.4%
(+1.6%)
18年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.6%)となり、1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.4%)から若干上方修正されると予測する。
第一生命経済研+0.4%
(+1.7%)
修正幅自体は小さなものにとどまるとみられ、1次速報から景気認識の修正を迫るものにはならないだろう。自然災害による供給制約を背景とした7-9月期の大幅な落ち込み分(前期比年率▲2.6%)を取り戻せないという姿は変わらない。輸出の頭打ちを主因として18年の景気が踊り場状態にあったという評価に変更はないだろう。
伊藤忠経済研+0.4%
(+1.6%)
2018年10~12月期の実質GDP成長率は、2次速報で前期比+0.4%(年率+1.6%)へ上方修正されると予想。法人企業統計季報を受けた設備投資や民間在庫投資の上方修正が主因。一方で、企業業績は特に製造業でピークアウトが鮮明。中国の一部分野の需要落ち込みによるところが大きいが、その影響は徐々に弱まり、労働分配率の上昇傾向も見込まれるため、景気腰折れは回避。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング+0.5%
(+2.1%)
2018年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と1次速報値の同+0.3%(同+1.4%)から上方修正される見込みである。
三菱総研+0.5%
(+2.0%)
2018年10-12月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.5%(年率+2.0%)と、1次速報値(同+0.3%(年率+1.4%))から上方修正を予測する。

ということで、いずれの予測も1次QEから上方修正となっており、その主因は法人企業統計で明らかになった需要サイドの設備投資です。ただ、上方修正幅は2グループに分かれていて、修正なしの日本総研も含めて、ニッセイ基礎研、第一生命経済研、伊藤忠経済研の4機関は小幅修正で、仕上がりを見て+1%台半ばから後半であり、+2%に達するとは見ていませんが、大和総研、みずほ総研、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、三菱総研の4機関は仕上がりで+2%に達すると見込んでいます。私自身の見方としては、極めて直感的な結論ですが、前者の小幅修正ではないかと見込んでいます。根拠はとても薄弱です。2月の1次QE公表時には、潜在成長率近傍の結果で、7~9月期の自然災害に起因するマイナス成長からのリバウンドを考慮すると、やや物足りない成長率と私は受け止めましたが、小幅修正なら同様の受け止めが広がる一方で、2%台の成長であれば、それなりのリバウンドがあったということになる可能性が出ます。ただ、繰り返しになるものの、今回は2次QEですから法人企業統計のオマケのような扱いも見られる中で、先行き景気の言及は少ないものの、伊藤忠経済研は小幅改定を見込みながらも「景気腰折れは回避」との見方を明記していますし、私も基本的には、現時点で景気後退局面に入っている、もしくは、年央くらいまでに景気後退局面に入る可能性が高い、とは決して考えていませんが、そのリスクは1年前や半年前から高まっているのは事実であり、その主因は、貿易摩擦の激化かどうかはともかく、海外経済の減速であろうと受け止めています。
最後に、下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。仕上がりの成長率は私の感覚からすれば高過ぎますが、需要項目の方向はこんなもんだろうという気がします。

photo

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