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2019年3月10日 (日)

先週の読書はビジネス書や教養書からラノベまでいろいろ読んで計9冊!!!

昨日の土曜日の読書感想文ブログの定例日に米国雇用統計が割り込んで1日ズレて、ラノベの文庫本が3冊入ったこともあり、先週は計9冊を読んでしまいました。本格的な経済書はないものの、フリマアプリのメルカリのIPOまでを追跡したジャーナリストのドキュメンタリのビジネス書もあれば、私の大好きな作家のひとりである宮部みゆきの最新作まで、以下の通りです。今週も昨日のうちに図書館回りをほぼほぼ終えており、それなりのボリュームを読みそうですが、定年退官までもう1と月もなく、官庁エコノミストではなくなりますから、明らかに読書傾向が変化してきたような気がします。

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まず、奥平和行『メルカリ』(日経BP社) です。著者は日経新聞の編集委員をしているジャーナリストであり、米国のシリコンバレー支局の経験もあるそうです。我が国のフリマアプリ最大手であるメルカリが創業からわずか5年にして昨年2018年6月にIPOに成功しわたけですが、そのメルカリを題材にして、成長の軌跡、特に、フリマアプリ後発であったにもかかわらずトップに立った戦略とそれを支えた経営陣、その中心は創業者の1人である山田会長への取材を通じて取りまとめられたドキュメンタリです。要するに、読後に一言でいえば、資金調達力にものをいわせてCMを流しまくった、という1点に尽きるような気もしますが、そこは、ある程度はインサイダー的な情報を与えられたジャーナリストによるドキュメンタリですから、やや提灯持ちのような視点も少なくなく、現金出品の事件も含めて、きれいに取りまとめられています。私自身はもうすぐ定年退官を迎える公務員ですから、メルカリのようなユニコーンまで成長したスタートアップ企業の経営者とは、ある意味で、対極に位置しているわけですので、ここまで猛烈に働くことは若いころしかしたことがありませんし、なかなか理解するに難しい面もあります。他方で、私は毎朝可能な限り、NHKの朝ドラを楽しみにして見ています。知っている人は知っていると思いますg、いかにも高度成長期後半の昭和の起業家であるチキンラーメンの安藤百福を中心に据えたドラマであり、ドラマの中の起業家が、やや誇張された面はあるとはいえ、天下国家に有益な開発を志していたのに対し、今どきのインターネット関連の起業家やスタートアップ企業が何を目指しているのかが、やや本書では捉え切れていなかった気がします。特に、それが目についたのが米国進出であり、創業者が米国進出をしたいと志したからそうするんだ、という以上の理念めいたもの、あるいは、経済学で考えるところの企業活動の本質である利潤極大化なのか、そのあたりの目的意識めいたものが少し興味あったんですが、本書では必ずしも明らかではありませんでした。でも、かなり狭い世界でスタートアップ企業経営者や幹部が活動いているのはやや意外でした。最後に、どうでもいいことながら、チキンラーメンの日清食品から、「チキンラーメン」ブランドが発売60周年目に史上最高売上を達成、とのプレスリリースが3月4日に出されています。ご参考まで。

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次に、シバタナオキ・吉川欣也『テクノロジーの地政学』(日経BP社) です。著者は、いずれもスタートアップ企業の経営者、すなわち、起業家です。そして、本書のタイトルの地政学というのはやや違ったふうに解釈する向きもありそうですが、本書では米国のシリコンバレーと中国を対比していることをもって地政学と呼んでいるようです。ということで、本書では人工知能、次世代モビリティ、フィンテック・仮想通貨、小売り、ロボティクス、農業・食テックの6分野に渡って、最新のビジネスモデルを解説していています。すなわち、各分野につき、マーケットトレンド、主要プレーヤーの動向、注目スタートアップ、未来展望を米国シリコンバレーと中国のそれぞれに分けて、私のようなシロートにも判りやすく取り上げています。もちろん、それぞれの分野におけるビジネスモデルなので、必ずしも反則ではないんですが、実際の財・サービスの詳細についてはやや省略気味です。それよりも、最初に取り上げている奥平『メルカリ』でも感じたところですが、人脈関係について詳しいような気もします。いくつか、私の記憶にある範囲で印象的な点を取り上げると、まず、人工知能についてタスクの星取表があって、今すでにできている、2-3年以内にできそう、5年かかっても難しそう、に3分類されていますが、自然分での会話が5年かかっても難しそうとされています。いわゆるチューリングテストに通らない、という意味なんだろうと私は解釈しています。次世代モビリティについては、私は従来から自家用車、というか、社用車なんかも含めて自動車は稼働率が低く、要するに、エネルギーを使う割には運べるキャパが少ないと感じています。その点で、電車やバスのような公共交通機関に軍配を上げるんですが、自動車の24時間稼働も含めて、新たなモビリティ技術でどこまで効率を高められるかは興味あるところです。最後のポイントとして、金融関係については、キャッシュレス取引をはじめとして、スピードを強調する意見が多く見られ、本書でも同じ傾向があるんですが、決済についてはスピードと正確性のトレードオフがあり、私は正確性の方を重視すべきと考えています。その観点からの議論が少ない点はやや残念に思います。

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次に、 イ・サンヒ & ユン・シンヨン『人類との遭遇』(早川書房) です。著者は米国カリフォルニア大学リバーサイド校の自然人類学ないし古人類学の研究者と韓国の一般向け科学誌『科学東亜』の編集者・ジャーナリストですが、本書の中身のほとんどはイ教授が書いているんではないかという気がし、ユン氏は編集の方に重きを置いているような気がします。『科学東亜』に2012年2月号から3013年12月号まで連載されていたコラムを単行本化したようですから、オリジナルは韓国語ではなかったのかと想像していますが、フォーブス誌に書評が掲載されているようですから、英語を含めて翻訳されているのだろうと思います。上の表紙画像に見える英語の原題 Cloe Encounters with Humankind はその英訳書のタイトルなのかどうか私は知りませんが、むしろ、日本語タイトルに合わせているような気もします。というのも、扉の裏に韓国語をアルファベット表記、あるいは、それを英語に直訳したしたのであろう IN-RYU-UI GHEE-WON (Human Origins) というタイトルが見えるからです。本書の中身を振り返ると、やや韓国語のタイトルに近い気がします。というのも、もっとも古いホミニンに関する探究を一般向けに短い連載コラムのような形で取りまとめているからです。ところで、ホミニンとは「ヒト亜科」という和約があり、最終的にヒトが類人猿あるいはチンパンジーから枝分かれした後の種のことを指すと本書では考えられているようです。これはもっとも狭義の定義のように私は受け止めています。ということで、人類への進化の過程を取り上げて、従来の俗説めいた定説をいくつか否定しつつ、新たな著者の見方を提示しています。著者が支持する学説のうちで、私の知らなかったもののひとつが、現生人類がアフリカに発祥しその他の旧人類などをすべて駆逐したという完全置換説ではなく、現生人類は複数の地点で発祥し移動しているうちに出会って各地で遺伝的に混合してひとつの種になった他地域新仮説です。加えて、長寿は世代を通じた情報の伝達に有利である点を進化論の立場から解き明かしたり、狩猟採集から農業の開始とそれに伴う農作物の摂取と定住が人類にとって、ホントによかったのかどうかを疑問視したり、私のような一般ピープルの間では進化=進歩という図式を信じているんですが、そうではない例もいくつか取り上げています。さらに、韓国人というアジア人の範疇に入る著者ですので、西洋の白人キリスト教徒中心の人類進化史観にも異議を唱えていたりします。最後に、DNAの分析から現生人類にもネアンデルタール人のDNAは数パーセント残っているという旨の分析を明らかにしていますが、私の知る限り、ヒトとチンパンジーのゲノムを比較すると98パーセント以上が相同で、ほとんど差がない、といった科学本もあります。DNAとゲノムの違いも私には明確ではないんですが、よく判らない点でした。

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次に、アレクサンダー・トドロフ『第一印象の科学』(みすず書房) です。著者はブルガリア出身で、現在は米国プリンストンだ学の心理学研究者です。英語の原題は Face Value であり、2017年の出版です。日本語タイトルは第一印象となっていますが、ほぼほぼ顔といって差し支えありません。髪の毛も抜きの顔です。服装や、ましてや体型は第一印象には入っていないということなのかもしれません。顔写真をモーフィングして、信頼性を高めたり、支配力を強化したりする実験が繰り返されています。特に、顔写真のモーフィングでキーワードとなるのは信頼性と支配性のようです。そして、私にはロンブローゾの名前とともに意識される観相学について、本書の著者は創始者のラヴァーターとともに取り上げていますが、その観相学と心理的な性格はまったく関係がないという論証を延々としているような気がします。みとrん、ロンブローゾの場合は観相学を犯罪者への応用として用いたわけで、それはそれとして大きな逸脱のような気もしますが、いずれにせよ、顔による第一印象と犯罪はもとより性格とは、必ずしも相関がなく、しかも、顔の第一印象が何らかのと因果関係をなしていて、性格を原因として顔の第一印象が結果として目に見える形で現れている、ということは決してありえない、というのが本書の著者の主張です。本書は4部14章構成なんですが、4部のうちの冒頭からの3部までが、観相学の否定に費やされている気がします。その観相学の否定のついでに、いろんな顔から読み取れる、というか、読み取れると多くの人が考えている心理的な性格などについて解説を加えています。そして、人間が持つ顔バイアスは、決して社会性のある経験に基づくものではなく、ほぼほぼ生後数日くらいで社会性のかけらもないような赤ちゃんでもバイアスがあり、さらに、人間ならぬ霊長類にも顔バイアスが見られることが確かめられています。しかし、同時に、人間は顔バイアスとともに、見た目に強い印象を持つことは明らかで、ただ、それが時代とともに変化する点も見逃せません。今ではセクハラまがいの発言かもしれませんが、私はかつて「美人だが、1000年前に生まれていれば、すなわち、平安時代であれば、もっと美人と評価されたかもしれない」といった旨をご本人の前でいったことがあります。絵画などで残る平安美人が今とはやや基準を異にしているのは明らかで、歴史の流れとともに、あるいは、地域性により、どのような顔バイアスの違いがあるのかも私は興味あります。

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次に、武田尚子『近代東京の地政学』(吉川弘文館) です。著者は早稲田大学の研究者であり、2017年9月に同じ吉川弘文館から出版されている『荷車と立ちん坊』を取り上げたこともあります。本書は青山から代々木ないし渋谷に広がる山の手地域の地政学的な位置づけについて、明治期の軍制などとの関係で解き明かそと試みています。しかし、タイトル通りの地政学というよりも、青山・渋谷・代々木あたり、もちろん、明治神宮やその内苑と外苑を中心とする地域の明治期以降の発展史というカンジです。我が家は現在の城北地区に引っ越すまで、南青山の公務員住宅に住まいしていたことがあり、私は表参道駅から地下鉄に乗って役所に通勤していましたので、とても馴染みがあります。今では公務員住宅は売り払われてしまいましたが、表参道の交差点から原宿・神宮前を背にして根津美術館に向かってみゆき通りを歩き、大松稲荷を経て菱形のガラスが印象的なプラダのブティックを右に曲がると住まいがありました。ということで、本書に戻ると、徳川期に大火で江戸城が類焼した際に武器庫を場内に設営していたために被害が大きくなったことから、青山あたりに弾薬庫を設営したことに始まり、明治期になっても地政学的に軍事的な施設が多く置かれ、青山練兵場や代々木練兵場への軍隊の行進や天皇の行幸のために道路などのインフラが整備され、さらに、明治天皇の崩御により遺骨は京都の御香宮に埋葬された一方で、明治神宮が整備されます。そして、戦後はワシントンハイツなどの米軍施設や住宅に衣替えし、それが東京オリンピック施設のために返還され、軍事施設からオリンピックという平和の祭典に活用される、という変遷を歴史的社会的に本書は跡付けています。繰り返しになりますが、我が家が子育てをした馴染みの地域ん歴史を振り返るいい機会でした。なお、どうでもいいことながら、本書冒頭のいくつかの地図のうち、p.2図1に見える表参道交差点は現在のものですが、p.6図4の最下部に見える表参道の電停は今の表参道の交差点ではなく、神宮前の交差点ないし地下鉄でいえば表参道駅ではなく、明治神宮前・原宿駅に相当します。逆に、p.6図4の明治神宮の電停こそが現在の地下鉄表参道駅に相当することになります。100年も違いませんが、ビミョーに地名も変化しているのかもしれません。

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次に、宮部みゆき『昨日がなければ明日もない』(文芸春秋) です。著者は直木賞受賞の売れっ子ミステリ作家です。杉村三郎シリーズの第5弾であり、ちなみに、前4作は『誰か Somebody』、『名もなき毒』、『ペテロの葬列』、『希望荘』となっています。それから、文庫版の『ソロモンの偽証』の最終巻に、杉村三郎を主人公とする「負の方程式」が収録されています。100ページほどの書き下ろし中編です。私は全部読んでいます。知っている読者は知っていると思いますが、第3作の『ペテロの葬列』ラストで杉村は離婚して今多コンツェルンを離れ、第4作『希望荘』から私立探偵を始めます。本作では中編くらいの長さの3話を収録しています。「絶対零度」と「華燭」と表題作です。表紙画像の帯に「ちょっと困った女たち」とありますが、私のような公務員を定年まで勤め上げた人間から見ると、「ちょっと」ではなく、大いに問題ありなのではないか、という気もします。それに、第1話の「絶対零度」は困ったことをするのは女性ではなく、男性ではなかろうか、という気もします。この3話では、困ったことをする人がいて、いわゆる迷惑行為ともいえるんですが、電車の痴漢行為のように一線を越えて犯罪そのものもあれば、犯罪スレスレというものもありそうです。このシリーズの主人公の杉村は常識人であり、この作品の登場人物も常識人が多い一方で、犯罪スレスレの迷惑行為をなす単数ないし複数の人物が本作では登場します。そして、第1話の「絶対零度」と第3話の「昨日がなければ明日もない」では殺人事件で終わり、ネタバレなんですが、迷惑行為をなした人が殺されます。迷惑行為の延長で殺人事件が起きるのではなく、、迷惑行為の行為者が恨みをかって被害者に殺されるわけです。シリーズ内の『名もなき毒』や『ペテロの葬列』では、「困った人」は明確に警察に捕まるんですが、本作品では警察をはじめとする法執行機関ではなく、被害者が迷惑行為者に復讐めいた行為を実行するというのは、杉村が探偵になってからの変化なのかもしれません。すなわち、離婚前の作品では常識人の杉村が被害者だったので非合法手段で迷惑行為者に復讐めいた罰を与えることはしなかったんですが、実は、迷惑行為者だけではなく被害者の方も「困った人」であれば、法執行機関ではなく被害者ご本人が犯罪行為に及ぶケースがある、ということなのかもしれません。そこまで深く読むこともなさそうな気がしますが、迷惑行為の実行者たる純正の「困った人」、迷惑行為を受けて反撃してしまうレベルの「困った人」、迷惑行為を受けて法執行機関に正義を求める人、の3種類の書き分けが興味深かった気がします。どうでもいいことながら、文芸春秋のサイトにある人物相関図は以下の通りです。

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最後に、松岡圭祐『グアムの探偵』、『グアムの探偵 2』、『グアムの探偵 3』(角川文庫) です。著者は売れっ子の小説家であり、軽いなぞ解きのミステリの作品が多い気がします。私は、今まで、「万能鑑定士Q」のシリーズや「特等添乗員α」のシリーズを読んでいて、さらに、前者のシリーズの中で、綾瀬はるか主演で映画化された「モナ・リザの瞳」も見た記憶があります。ただ、これらの2シリーズは主人公がいずれも女性だったんですが、この「グアムの探偵」シリーズでは主人公は男性であり、原住民であるチャモロ人や米国人に交じって日系人3世代、すなわち、77歳の祖父ゲンゾー、49歳の父デニス、25歳の倅レイの3人が属する、というか、ゲンゾーが社長でデニスが副社長を務めるグアム島にある探偵社を舞台にして、軽めのミステリのようななぞ解きを収録しています。初刊から第3巻まで、短編が各5話ずつ収録されています。まあ、繰り返しになりますが、それほど本格ミステリ、というわけでもなく、かなり都合よく解決される謎が多くなっている印象です。ですから、読者によってはラノベに分類する人も多そうな気がしますし、ひょっとしたら、これから先、漫画化される可能性も十分あると私は予想しています。なお、探偵社の名称はイーストマウンテン・リサーチ社といい、親子3代の姓である東山から取られているようです。ゲンゾーの愛車は、デニスはジープ・チェロキー、レイはサリーン・マスタング・ロードスターと、キャラに合わせて米国的に車で表現したりの工夫がなされています。もちろん、グアム島は米国の準州ですから、探偵は探偵でも日本とは異なり、拳銃の携行が許可されていたり、政府公認の私立調査官として警察情報に接することが可能であったり、裁判などでの証言にも重きを置かれる、などの制度的な違いも解説されています。殺人事件がないわけではないものの、基本的には、リゾート地ののどかなトラブル解決が少なくなく、当然ながら旅行や移住でグアム島にいる日本人が巻き込まれる事件が中心です。ただし、グアム島は面積の⅓が米軍基地ですので、軍やスパイも絡んで、それなりの国際的なスケールの広がりのある謎もあります。軽めの読み物ですから、通勤時の時間潰しなどにとてもいいんではないでしょうか。最後にどうでもいいことながら、上に表紙画像を3つ並べていますが、現時点では第3巻の表紙デザインのラインで初刊と第2巻も統一的なデザインとなっています。でも、私が借りて読んだのは上の表紙画像の通りです。念のため。

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