帝国データバンクによる「2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果やいかに?
やや旧聞に属する話題かもしれませんが、3月14日に帝国データバンクから「2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果が明らかにされています。もちろん、pdfの全文ファイルもアップされています。まず、帝国データバンクのサイトから調査結果の要旨を4点引用すると以下の通りです。
調査結果
- 2019年度に正社員の採用予定があると回答した企業の割合は64.2%と、5年連続で6割を超えたものの、3年ぶりの減少に転じた。特に「大企業」(84.8%)の採用意欲は高く、調査開始以降で最高を更新した。しかし「中小企業」(59.1%)は前回調査(2018年2月実施)を下回った。正社員採用は、大企業の積極性が続く一方、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服した
- 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は50.3%となり、2年連続で半数を超えたものの、前回調査を2.1ポイント下回り、採用意欲がやや一服した。非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」は9割、「飲食料品小売」「医薬品・日用雑貨品小売」は8割を超える企業で採用を予定している
- 2019年度の正社員比率は企業の18.3%が2018年度より上昇すると見込む。その要因では、「業容拡大への対応」(45.8%)をあげる割合が最も高く、「退職による欠員の補充」「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」が3割台で続く
- 自社において生産性向上に最も効果がある人材育成方法について、短期間(1年以内)の生産性向上に効果がある方法では「職場内における教育訓練(OJT)」が60.1%で突出して高かった。他方、長期間(1年超)の効果では、「職場内における教育訓練(OJT)」(26.8%)、「職場外での教育訓練(Off-JT)」(22.7%)、「職場内における能力開発(OJD)」(22.4%)がいずれも2割台となり、効果的な人材育成方法が分散する傾向が表れた
ほぼほぼ調査結果が網羅されているような印象です。いろんな視点があるとは思いますが、ここでは正社員と非正社員の雇用動向に的を絞って、リポートからグラフを引用しつつ、簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、リポートから正社員採用の動向についてのグラフを引用すると上の通りです。正社員採用予定ありの企業割合は、リーマン証券破綻後の2009~10年度に底を打ってから増加してきており、2019年度は昨年度2018年度からやや低下したとはいえ、それなりの高い水準にあります。また、特に大企業では84.8%に上り、調査を開始した2005年度以降で最高を記録しています。ただ、中小企業は59.1%となり、前回2018年度調査から▲2.2%ポイント減少し、帝国データバンクでは「大企業の積極性が続く一方、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服した」と評価しています。
次に、リポートから非正社員採用の動向についてのグラフを引用すると上の通りです。ここでも、採用予定ありと回答した企業は50.3%と2年連続で半数を超えているものの、前回調査を▲2.1%ポイント下回り、帝国データバンクでは「採用意欲がやや一服した」と評価しています。
最後に、リポートから2019年度の正社員比率についてのグラフを引用すると上の通りです。2019年度の正社員比率については、2018年度と比較して上昇と回答した企業は18.3%で、低下の6.1%を12.2%ポイント上回っており、雇用形態の正社員化で一段の進展が見込まれるものの、正社員比率が上昇するとの回答の割合は前回調査から▲2.4ポイント低下しており、その勢いはやや鈍化しているようです。
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