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2019年3月 1日 (金)

活発な企業活動を裏付ける法人企業統計と完全雇用に近い雇用統計と下がり続ける消費者態度指数!

本日、財務省から昨年2018年10~12月期の法人企業統計が公表されています。統計のヘッドラインは、季節調整していない原系列の統計で、売上高は9四半期連続の増収で前年同期比+3.7%増の371兆6227億円、経常利益は10四半期振りの減益で▲7.0%減の19兆4763億円、設備投資はソフトウェアを含むベースで製造業が+10.9%増、非製造業が+2.7%増となり、製造業と非製造業がともに伸びを示し、全産業では+5.7%増の12兆530億円を記録しています。GDP統計の基礎となる季節調整済みの系列の設備投資についても前期比+3.3%増となっています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

設備投資5.7%増 情報通信けん引 10-12月、経常益は10四半期ぶり減
財務省が1日発表した2018年10~12月期の法人企業統計によると、金融業・保険業を除く全産業の設備投資は前年同期比5.7%増の12兆530億円だった。増加は9四半期連続。情報通信機械や不動産業などでの投資がけん引した。一方で全産業ベースの経常利益は前年同期比7%減の19兆4763億円と、10四半期ぶりの減益となった。
設備投資の前年同期比の動向を産業別にみると、製造業は10.9%増加した。半導体や自動車向け電子部品など情報通信機械は60.3%増加した。自動車向け素材や化粧品など化学は21.6%増加した。半導体製造装置など生産用機械は24.1%増加した。
非製造業は2.7%増加した。オフィスビルや商業施設建設が増え不動産業は57.5%増だった。リース用車両など向け投資が増え物品賃貸業は27.8%増だった。
国内総生産(GDP)改定値を算出する基礎となる「ソフトウエアを除く全産業」の設備投資額は季節調整済みの前期比で3.3%増と2四半期ぶりに増加した。製造業が前期比8.8%増、非製造業が0.2%増だった。
全産業ベースの経常利益で製造業は10.6%減と2期連続でマイナスとなった。年末に向け原油価格が急落したことで石油・石炭の業種で在庫評価益が減少したことが響いた。非製造業は4.9%減だった。人件費のコスト負担が増加したサービス業の減益などが重荷となった。
財務省は経常利益額は10~12月期としては過去3番目の高水準であることなどから「政府の月例経済報告による『景気は緩やかに回復している』(という基調判断)を反映している」との見解を示した。
また、中国の景気減速の影響について「生産用機械などで中国など海外企業から受注数が落ち込んだ、との声があったほか、情報通信機械で中国メーカーからスマートフォン(スマホ)やタブレットの部品の受注が減少しているとの声があった」と説明した。
同統計は資本金1000万円以上の企業収益や投資動向を集計した。今回の18年10~12月期の結果は、内閣府が8日発表する同期間のGDP改定値に反映される。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がしますが、やや長くなってしまいました。次に、法人企業統計のヘッドラインに当たる売上げと経常利益と設備投資をプロットしたのが下のグラフです。色分けは凡例の通りです。ただし、グラフは季節調整済みの系列をプロットしています。季節調整していない原系列で記述された引用記事と少し印象が異なるかもしれません。影をつけた部分は景気後退期を示しています。

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この法人企業統計の2018年7~9月期統計の発表を取り上げた昨年2018年12月3日の記事にも書きましたが、2018年7~9月期は広く認識されているように、豪雨、台風、地震など相次ぐ自然災害が経済活動を阻害して、GDPはマイナス成長を記録し、そのほか鉱工業生産指数などの経済統計も同様の傾向にあったんですが、法人企業統計では経常利益こそ前期から低下したものの、売上げは伸びており、売上げと利益で乖離が生じています。基本的に、2018年10~12月期統計でも同様の傾向は続き、季節調整済の前期比で見て、売上げは2018年7~9月期▲0.6%増、10~12月期▲0.7%増と、伸び率は大きく鈍化しましたが、プラスを継続している一方で、利益については営業利益・経常利益とも2四半期連続で前期比マイナスを記録しています。もちろん、引用した記事にもある通り、利益水準はかなりの高水準を続けており、景気局面と何ら不整合はないのは確かです。ただ、他方で、国際商品市況における石油価格はほぼ2018年10~12月期がピークだったでしょうから、基本的に、統計に表れていないながら、対消費者向けよりも企業間取引では原油高などの価格転嫁が進み、実質ベースでは売上げも低下している可能性があるのではないか、と想像しています。繰り返しになりますが、日銀の企業物価指数(PPI)や企業向けサービス価格指数(SPPI)などを見た上での私の想像です。いずれにせよ、季節調整済みの統計を見ている限りでは、売上げがわずかとはいえプラスを記録している点を含めて、利益は減少しているとはいえ高水準にあり、緩やかな回復基調が継続していることは企業活動についても同じであると、私は受け止めています。ただ、このブログで何度も繰り返しましたが、景気循環の拡大局面が後半に入っていることも事実ですので、それなりに注意する必要はいうまでもありません。

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続いて、上のグラフは私の方で擬似的に試算した労働分配率及び設備投資とキャッシュフローの比率、さらに、利益剰余金をプロットしています。労働分配率は分子が人件費、分母は経常利益と人件費と減価償却費の和です。特別損益は無視しています。また、キャッシュフローは法人に対する実効税率を50%と仮置きして経常利益の半分と減価償却費の和でキャッシュフローを算出した上で、このキャッシュフローを分母に、分子はいうまでもなく設備投資そのものです。この2つについては、季節変動をならすために後方4四半期の移動平均を合わせて示しています。利益剰余金は統計からそのまま取っています。ということで、上の2つのパネルでは、太線の移動平均のトレンドで見て、労働分配率はグラフにある1980年代半ば以降で歴史的に経験したことのない水準まで低下し上向く気配すらなくまだ下落の気配を見せていますし、キャッシュフローとの比率で見た設備投資は50%台後半で停滞し底ばっており、これまた、法人企業統計のデータが利用可能な期間ではほぼ最低の水準です。他方、いわゆる内部留保に当たる利益剰余金だけは、グングンと増加を示しています。これらのグラフに示された財務状況から考えれば、まだまだ雇用の質的な改善の重要なポイントである賃上げ、あるいは、設備投資も大いに可能な企業の財務内容ではないか、と私は期待しています。ですから、経済政策の観点から見て、官製春闘は終了したとはいえ、企業活動がここまで回復ないし拡大している中で、企業の余剰キャッシュを雇用者や広く国民に還元する政策が要請される段階に達しつつある可能性を指摘しておきたいと思います。

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続いて、本日は総務省統計局の失業率や厚生労働省の有効求人倍率など1月の雇用統計も公表されています。失業率は前月から+0.1%ポイント上昇して2.5%となったものの、新たな求職などで女性の失業率が+0.3%ポイント上昇したためであり、有効求人倍率は前月と同水準の1.63倍と、タイトな雇用環境がうかがえます。いつもの雇用統計のグラフは上の通りです。いずれも季節調整済みの系列で、上から順に、失業率、有効求人倍率、新規求人数をプロットしています。影を付けた期間は景気後退期を示しています。グラフにはありませんが、正社員の有効求人倍率も前月と同水準の1.14倍を記録し、一昨年2017年6月に1倍に達してから、このところ1年半に渡って1倍を超えて推移しています。厚生労働省の雇用統計は大きく信頼性を損ねたとはいえ、少なくとも総務省統計局の失業率も低い水準にあることから、雇用はかなり完全雇用に近づいており、いくら何でも賃金が上昇する局面に入りつつあると私は受け止めています。もっとも、賃金については、1人当たりの賃金の上昇が鈍くても、非正規雇用ではなく正規雇用が増加することなどから、マクロの所得としては増加が期待できる雇用状態であり、加えて、雇用不安の払拭から消費者マインドを下支えしている点は忘れるべきではありません。ただ、賃上げは所得面で個人消費をサポートするだけでなく、デフレ脱却に重要な影響を及ぼすことから、マクロの所得だけでなくマイクロな個人当たりの賃上げも早期に実現されるよう私は期待しています。

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続いて、内閣府から2月の消費者態度指数が公表されています。消費者態度指数は前月から▲0.4ポイント低下して41.5を記録し、まだ反転の兆しも見えず5か月連続で悪化しています。いつもの消費者態度指数のグラフは上の通りです。ピンクで示したやや薄い折れ線は訪問調査で実施され、最近時点のより濃い赤の折れ線は郵送調査で実施されています。また、影をつけた部分は景気後退期を示しています。消費者態度指数が41.5の水準まで下がったのは2016年11月の41.0以来であり、統計作成官庁の内閣府では基調判断を「弱い動き」から「弱まっている」へと、6か月ぶりに下方修正しています。消費者態度指数のコンポーネントを前月差で見ると、「雇用環境」が+0.5ポイント上昇して44.8となったほかは軒並み低下し、「暮らし向き」が▲1.1ポイント低下して39.0、「耐久消費財の買い時判断」が▲0.8ポイント低下して40.9、「収入の増え方」が▲0.1ポイント低下して41.3、をそれぞれ示しています。一時の生鮮食品の値上がりはすでに落ち着いていますし、国際商品市況の石油価格に連動して電気・ガス料金も4月から値下げされる予定であり、消費者マインドもそろそろ上向くんではないかと、私は基本的に楽観視しています。逆から見て、今が底なのかもしれません。

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