CI一致指数が4か月振りの上昇を示した景気動向指数の先行きやいかに?
本日、内閣府から2月の景気動向指数が公表されています。先月公表の1月統計でCI一致指数が大きく下降して、基調判断が「事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高い」とされる「下方への局面変化」に下方修正されて注目が集まっていたところ、CI先行指数は前月差+0.9ポイント上昇して97.4を、CI一致指数も+0.7ポイント上昇して98.8を、それぞれ記録し、基調判断は「下方への局面変化」で据え置かれています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。
2月の景気一致指数、4カ月ぶり上昇 判断「下方への局面変化」据え置き
内閣府が5日発表した2月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値は、景気の現状を示す一致指数が前月比0.7ポイント上昇の98.8だった。上昇は4カ月ぶり。1月に低調だった自動車生産の反動増などが寄与した。内閣府は一致指数の動きから機械的に求める景気の基調判断について「下方への局面変化を示している」と、1月から据え置いた。
一致指数を構成する9系列中、速報段階で算出対象となる7系列のうち3系列が指数のプラスに影響した。自動車や二輪車など耐久消費財出荷指数や、国外向けの半導体など投資財出荷指数(除輸送機械)が持ち直した。
数カ月後の景気を示す先行指数は前月比0.9ポイント上昇の97.4と、6カ月ぶりに上昇した。景気の現状に数カ月遅れて動く遅行指数は同0.5ポイント低下の104.3だった。
基調判断の基準では「原則として3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が下降」し、「当月の前月差の符号がマイナス」となった場合、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」となる。2月時点で、3カ月後方移動平均は4カ月連続のマイナスだった。今後、3カ月後方移動平均のマイナスが続き、さらに一致指数も前月差でマイナスとなれば、基調判断が2013年1月以来の「悪化」に引き下げられる可能性がある。
CIは指数を構成する経済指標の動きを統合して算出する。月ごとの景気動向の大きさやテンポを表し、景気の現状を暫定的に示す。
いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面がビミョーな時期に入りましたので、かなり熱心に取材したのかインタビュー結果も多く、通常の月に比べてとても長い記事になっています。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。
ということで、引用した記事にもある通り、2月のCI一致指数に基づく景気の基調判断は先月1月に続いて「下方への局面変化」で据え置かれています。ただ、鉱工業生産指数などの3月統計に基づく3月のCI一致指数の前月差の符号がマイナスで、かつ、3か月以上連続して3か月後方移動平均が下降を示せば、基調判断は「悪化」に下方修正されます。これも引用した記事の通りです、そうなれば、本格的に景気局面に関する議論が盛り上がる、というか、何と申しましょうかで、いろんなコメントが飛び出しそうな気がします。景気とのシンクロの度合いが極めて強い鉱工業生産指数(IIP)については、製造工業生産予測調査で3~4月がともに前月比プラスと予想されており、さすがに、このまま景気後退に一直線に突入するとは私も考えていませんし、景気判断では景気が下降する期間も加味されますので、余りに短期間の景気下降では景気後退と認定されない可能性もあります。さらに、景気動向指数の基調判断が「悪化」に転じれば、政府として景気が回復や拡大の認識を示したことはない、との報道もありました。ところが、さらにさらに、で、今年2019年は10月から消費税率が10%に引き上げられ、何とも予測しがたいところながら、直前の駆け込み需要とその後の反動減は均等化出来ない可能性が強いと私は予想しています。極めて短期的に駆け込み需要で景気悪化のプロセスが停止する可能性もあるわけです。元々が現在の景気低迷は国内需要ではなくて米中間の貿易摩擦に起因する世界経済の減速から生じていますし、消費税率の引き上げという政策要因もあって、景気は複雑なパスを描くと思いますが、2019年年央くらいまでに一直線に景気後退局面に入る可能性は低い一方で、2018年10月の消費税率引き上げ以降に景気が後退する可能性は決して無視できない、と考えるべきです。
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