第一生命経済研リポート「改元がもたらす日本経済への影響」やいかに?
新元号「令和」が官房長官から公表された一昨日4月1日に、第一生命経済研から「改元がもたらす日本経済への影響」と題するリポートが明らかにされています。ダイヤモンド・オンラインの4月1日付けの記事「祝賀ムードでも株価がなぜ下がる?『改元』と日本経済の意外な法則」も同じエコノミストによる寄稿です。なお、4~5月のゴールデンウィーク10連休は供給面からGDPにマイナスの影響があるとするニッセイ基礎研のリポート「GW10連休は景気にプラスか? マイナスか?」はすでに1月14日付けのエントリーで取り上げていますが、第一生命経済研のリポートは、何と、「お祝いムードが一気に景気後退モードへ様変わりする可能性」との副題がついており、図表とともに簡単に取り上げておきたいと思います。
まず、おさらいですが、新天皇のご即位や新元号への改元などの経済効果としては、需要面からはプラスになることが想像されるものの、QW10連休などのお休みが増えることについては供給面からマイナスのインパクトも想像されます。上のグラフは 日本人の旅行消費額 を第一生命経済研のリポートから引用していますが、旅行需要については、GW10連休や即位礼正殿の儀が行われる10月22日が休日となり、こういった今年限りの祝日があるほか、大型スポーツイベントの「ラグビーワールドカップ2019日本大会」も控えており、JTB総研から旅行総消費額が前年比+2.8%増の15.3兆円と予想されていて、前年からの増加額が+4,156億円程度であることからすれば、約0.1%のGDP押し上げ効果に相当し、総旅行延べ人数が3.1億人であることからすれば、一回当たり約4.9万円程度の平均消費額となる、とリポートでは指摘しています。
次に、上のグラフは 消費者態度指数 を第一生命経済研のリポートから引用していますが、昭和天皇の崩御による平成の代替わりでは国民の間に自粛ムードが漂ったのに対して、今回のご即位に際しては、退位日を含めて10連休となればお祝いムードが盛り上がるといったプラスの側面もある一方で、製造業では工場の稼働日数が減ることで生産量が抑制される、とリポートでは指摘しています。
これらの他に、私のような平凡な元エコノミストには思いつきもしない点を2点だけ取り上げると、第1に、GW10連休前にネット通販の駆け込み需要が発生する可能性があり、配送面でのトラブルが警戒され、第2に、10連休でお金を使いすぎた消費者が一気に節約モードにシフトする可能性も指摘されています。そうかもしれません。
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