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2019年5月13日 (月)

基調判断が「悪化」に引き下げられた3月統計の景気動向指数をどう見るか?

本日、内閣府から3月の景気動向指数が公表されています。今年に入って1月統計でCI一致指数が大きく下降して、基調判断が「事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高い」とされる「下方への局面変化」に下方修正されて注目が集まっていたところ、CI先行指数は前月差▲0.9ポイント下降して96.3を、CI一致指数も▲0.9ポイント下降して99.6を、それぞれ記録し、基調判断は「下方への局面変化」から「悪化」に下方修正されています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。

3月の景気動向指数、判断「悪化」に 6年2カ月ぶり
内閣府は13日、3月の景気動向指数(CI、2015年=100)速報値を発表した。景気の現状を示す一致指数は99.6と前月より0.9ポイント下がった。指数の推移から機械的に決まる基調判断は下方修正され、2013年1月以来6年2カ月ぶりに「悪化」となった。この表現は景気が後退局面にある可能性が高いことを示す。
政府は5月中にまとめる月例経済報告で公式の景気認識を示す。これまで「回復」としてきた表現を修正するかどうかが焦点になる
一致指数が低下したのは、中国経済の減速で中国向けの輸出が落ち込んだ影響が大きい。特にアジア向けの半導体製造装置の出荷などが低迷した。
内閣府が指数に基づく機械的な景気判断を示すようになったのは08年4月以降。指数の動きに照らして「改善」などの基調判断を示す。近年は16年10月から18年8月まで23カ月連続で「改善」だった。18年9~12月は「足踏み」、19年1~2月は「下方への局面変化」となっていた。
過去に判断が「悪化」となった局面は08年6月~09年4月、12年10~13年1月の2回ある。いずれも専門家が事後的に判定した景気後退期と重なる期間が多い。
ただ一致指数以外にも景気の状況を示す指標はある。例えば雇用情勢は依然として堅調との見方が多い。内閣府の担当者は「政府としての正式な景気判断は月例経済報告で行う」と説明した。政府は参院選や消費増税を控える今後の政治日程も念頭に、慎重に経済情勢を見極める。

いつもながら、包括的によく取りまとめられた記事だという気がします。でも、景気局面がビミョーな時期に入りましたので、かなり熱心に取材したのかインタビュー結果も多く、通常の月に比べてとても長い記事になっています。続いて、下のグラフは景気動向指数です。上のパネルはCI一致指数と先行指数を、下のパネルはDI一致指数をそれぞれプロットしています。影をつけた期間は景気後退期を示しています。

photo

ということで、引用した記事にもある通り、3月のCI一致指数に基づく景気の基調判断は「悪化」に下方修正されています。内閣府の「CI の『基調判断』について」に従えば、先月までの「局面変化」は、「事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す。」と定義され、基準は「7ヶ月後方移動平均の符号が変化し、1ヶ月、2ヶ月、または3ヶ月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。」とされています。他方で、「悪化」については、「景気後退の可能性が高いことを示す。」と定義され、基準としては「原則として3ヶ月以上連続して、3ヶ月後方移動平均が下降した場合。」に適用されることとされています。そもそも、景気判断は景気動向指数のCI一致指数だけで決まるのではなく、総合的に判断されるものですし、中でも、統計的には景気動向指数よりもヒストリカルDIの方が重視されます。
本日公表の3月統計では、投資財出荷指数(除輸送機械)、耐久消費財出荷指数、生産指数(鉱工業)、有効求人倍率(除学卒)、商業販売額(卸売業)(前年同月比)などのマイナス寄与が目立っています。引用した記事には雇用はまだ「堅調」との評価が見られますが、有効求人倍率がマイナス寄与しているのも事実です。また、単月統計ではあるものの、やっぱり、消費者向けの需要が弱い気もします。いずれにせよ、先週木曜日5月9日付けで消費者態度指数を取り上げた際にも言及しましたが、実体経済の景気動向指数とマインドが相乗効果をもって低下する可能性は否定できません。他方で、10月からの消費税率引き上げ前には何らかの規模での駆け込み需要が発生することも予想され、決してサステイナブルではないながらも、一時的な需要の高まりは発生します。やや景気動向は複雑になってきたようです。

最後に、私の方で簡単に取りまとめた「CIによる景気の基調判断」の基準のテーブルを以下に記しておきます。あくまで私自身のメモですので、正確には内閣府の資料をご参照ください。

基調判断定義基準
① 改善景気拡張の可能性が高いことを示す。原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が上昇した場合。
② 足踏み景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す。3か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。
③ 局面変化事後的に判定される景気の山・谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す。7か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。
④ 悪化景気後退の可能性が高いことを示す。原則として3か月以上連続して、3か月後方移動平均が下降した場合。
⑤ 下げ止まり景気後退の動きが下げ止まっている可能性が高いことを示す。3か月後方移動平均の符号が変化し、1か月、2か月、または3か月の累積で1標準偏差分以上逆方向に振れた場合。

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