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2019年6月 8日 (土)

雇用増に急ブレーキのかかった米国雇用統計から米国金融政策を占う!

日本時間の昨日、米国労働省から5月の米国雇用統計が公表されています。非農業雇用者数は前月統計から+75千人増と雇用の増加に急ブレーキがかかった一方で、失業率は低い水準で先月と同じ3.6%を記録しています。いずれも季節調整済みの系列です。まず、USA Today のサイトから記事を最初の7パラだけ引用すると以下の通りです。

Economy added just 75,000 jobs in May, strengthening case for Fed interest rate cut
Hiring was weak in May as employers added 75,000 jobs, bolstering the Federal Reserve's case for cutting interest rates as soon as this month, a possibility that has juiced markets in recent days.
The unemployment rate was unchanged at a 50-year low of 3.6%, the Labor Department said Friday.
Economists surveyed by Bloomberg expected 178,000 job gains.
Adding to the concerns: Payroll gains for March and April combined were revised down by a total 75,000. March's additions were revised from 189,000 153,000, and April's, from 263,200 24,000.
The May employment report was highly anticipated because of recent speculation that the Fed could cut its benchmark rate for the first time in a decade as soon as this month, especially if the economy softens. The jobs report typically provides the best real-time gauge of the labor market and economy.
Fed policymakers have indicated they're prepared to trim rates if necessary, noting concerns that the recent escalation of U.S. trade battles with both China and Mexico could further impede already slowing growth. A stock market that was tumbling amid the trade jitters has rallied since Fed officials have raised the possibility of rate cuts, which tend to increase consumer and business borrowing and prod investors to move money from bonds to higher-yielding stocks.
After the jobs report was released, markets predicted the chance of a Fed rate cut at its June 18-19 meeting rose to 31%, according to CME Group. The odds of a cut at the Fed's late July meeting rose to 58%. The Dow Jones industrial average rose more than 200 points on growing anticipation of a rate cut. On Friday morning, the yield on the 10-year Treasury bond dipped 0.06 basis points, or 2.8%, to 2.06%, nearing the lowest level since 2017.

やや長く引用してしまいましたが、いつもながら、包括的によく取りまとめられている印象です。続いて、いつもの米国雇用統計のグラフは上の通りです。上のパネルから順に、非農業部門雇用者数の前月差増減の推移とそのうちの民間部門と失業率をプロットしています。いずれも季節調整済みの系列であり、影をつけた部分は景気後退期です。全体の雇用者増減とそのうちの民間部門は、2010年のセンサスの際にかなり乖離したものの、その後は大きな差は生じていません。

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ということで、引用した記事の3パラめにあるように、ブルームバーグの集計による市場の事前コンセンサスでは+178千人増とのことでしたので、何と半分にも届かず、雇用の増加には急ブレーキがかかった格好です。寒波の影響で、わずかに+56千人増にとどまった今年2019年2月以来の低い伸びでした。中国との貿易摩擦との関係で、米国経済の先行きに不安が広がりかねない統計です。しかし、他方で、失業率は50年来の低水準の3.6%で推移しており、歴史的な低水準にあることも確かです。失業率が低いわけですから、当然に、失業者も少ないわけで、遊休労働スラックも底をつきかけており、その意味で、雇用増が伸びないのも決して不思議ではないとの受け止めもあります。特に、ADPの民間部門雇用増に至っては、わずかに+27千人増でしたから、決して、米国労働省の統計だけが突飛なわけではありません。まあ、この米国雇用統計の評価は難しいところなんですが、このような雇用情勢を受けて、米国債券市場では長期金利が急低下を示しています。すなわち、米2年物国債の利回りは一時1.77%と前日より▲0.1%ほど下げて、約1年半振りの水準まで低下していますし、これも、引用した記事の最後のパラにあるように、10年もの国債金利も下げています。雇用者数の伸びが事前予想を大きく下回り、景気の先行き懸念から安全資産とされる米国債に資金が向かったためと考えられます。米国連邦公開市場委員会(FOMC)の Meeting calendars に従えば、米国連邦準備制度理事会(FED)は今月6月18~19日に FOMC を開催する予定となっています。FED のパウエル議長は、今月6月4日に開催された Conference on Monetary Policy Strategy, Tools, and Communications Practices の Opening Remarks において、"as always, we will act as appropriate to sustain the expansion" と、通常通りに景気拡大を持続させるために適切な行動を取ると言明しており、金融緩和に転じる可能性を強く示唆しています。

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ただ、景気動向とともに物価の番人としてデュアル・マンデートを背負ったFEDでは物価上昇圧力の背景となっている時間当たり賃金の動向も注視せねばならず、その前年同月比上昇率は上のグラフの通りです。米国雇用は底堅くて、労働市場はまだ逼迫を示しており、賃金もジワジワと上昇率を高める段階にあります。すなわち、5月は前年同月比で+3.1%の上昇と、昨年2018年8月に+3%の上昇率に達して、半年以上に渡って3%台の上昇率が続いています。日本や欧州と違って米国では物価も賃金上昇も+2%の物価目標を上回る経済状態が続いているわけですので、利上げを停止したり、あるいは、前のパラで論じたように金融緩和に転じたりして、それで物価の方は大丈夫なんでしょうか?

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