来週月曜日6月10日公表予定の1-3月期GDP統計2次QE予想やいかに?
今週月曜日に公表された法人企業統計など、ほぼ必要な統計が出そろい、来週月曜日の6月10日に1~3月期GDP速報2次QEが内閣府より公表される予定となっており、すでに、シンクタンクなどによる2次QE予想が出そろっています。いつもの通り、顧客向けのニューズレターなどのクローズな形で届くものは別にして、web 上でオープンに公開されているリポートに限って取りまとめると下の表の通りです。ヘッドラインの欄は私の趣味でリポートから特徴的な文言を選択しています。いつもの通り、足元から先行きの景気動向について重視して拾おうとしています。ただし、2次QEですので、法人企業統計に関するリポートにオマケで解説されているだけで、明示的に先行き経済を取り上げているシンクタンクは決して多くありませんでした。その中で、みずほ総研だけは長めに、第一生命経済研の4-6月期マイナス成長の可能性を示唆している部分もやや長めに、ほかのシンクタンクもそれなりに、それぞれ引用してあります。いずれにせよ、詳細な情報にご興味ある向きは一番左の列の機関名にリンクを張ってありますから、リンクが切れていなければ、pdf 形式のリポートが別タブで開いたり、ダウンロード出来たりすると思います。"pdf" が何のことか分からない人は諦めるしかないんですが、もしも、このブログの管理人を信頼しているんであれば、あくまで でクリックしてみましょう。本人が知らないうちにAcrobat Reader がインストールしてあって、別タブが開いてリポートが読めるかもしれません。
機関名 | 実質GDP成長率 (前期比年率) | ヘッドライン |
内閣府1次QE | +0.5% (+2.1%) | n.a. |
日本総研 | +0.4% (+1.6%) | 1~3期の実質GDP(2次QE)は、設備投資が上方修正となる一方、公共投資、民間在庫は下方修正となる見込み。その結果、成長率は前期比年率+1.6%(前期比+0.4%)と1次QE(前期比年率+2.1%、前期比+0.5%)から小幅下方修正される見込み。 |
大和総研 | +0.6% (+2.3%) | 1-3月期GDP二次速報(6月10日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率+2.3%と、一次速報(同+2.1%)から僅かに上方修正されると予想する。需要側統計の法人企業統計の結果を受けて、設備投資が前期比+0.7%とプラス転換へ上方修正されることが主因である。 |
みずほ総研 | +0.5% (+1.9%) | 今後の日本経済は力強さに欠く展開が続く見通しだ。個人消費は、良好な雇用環境がプラスに働く一方、働き方改革関連法施行を受けた労働時間抑制などによる賃金の伸び鈍化により、力強さを欠く展開になりそうだ。設備投資は、人手不足を背景にした省力化投資が引き続き下支えになるものの、製造業を中心にストック調整圧力が徐々に高まることから、弱い伸びに留まる見通しだ。輸出は、中国経済を中心に海外経済の減速が続くほか、IT関連の調整局面が当面続くことから、伸び悩むとみている。 リスクとして、米国による対中関税引き上げ第4弾やその報復措置など、米中貿易摩擦が更に激化した場合、輸出・設備投資の更なる減退とともに、日本経済はマイナス成長に陥る恐れがある。引き続き注視が必要だろう。 |
ニッセイ基礎研 | +0.6% (+2.3%) | 6/10公表予定の19年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.6%(前期比年率2.3%)となり、1次速報の前期比0.5%(前期比年率2.1%)から若干上方修正されると予測する。 |
第一生命経済研 | +0.6% (+2.3%) | 設備投資の底堅さが改めて確認されるとみられることはポジティブだ。2次速報では下方修正されるとの見方も多かっただけに、この点は評価できる。もっとも「1-3月期のGDPは表面上は高成長だが、輸入の急減が成長率を大きく押し上げており、内容は悪い」という1次速報時点での評価を覆すほどではない。今回下方修正が予想されるとはいえ、在庫水準が高い点も変わっておらず、先行きの在庫調整リスクは残る。4-6月期には輸入の反動増や在庫の下押しに伴ってマイナス成長に転じる可能性があるだろう。 |
伊藤忠経済研 | +0.5% (+1.8%) | 1~3月期の実質GDP成長率は、2次速報で前期比+0.5%(年率+1.8%)へ小幅ながら下方修正されると予想。法人企業統計季報を受けて設備投資は上方修正される一方で民間在庫投資は大幅下方修正、公共投資も下方修正される見込み。設備投資は横ばい圏、GDPは緩やかな拡大基調という評価は変わらず。 |
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | +0.5% (+2.1%) | 6月10日に内閣府から公表される2019年1~3月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比+0.5%(年率換算+2.1%)と1次速報値と同じ伸び率となる見込みである。 |
三菱総研 | +0.5% (+1.9%) | 2019年1-3月期の実質GDP成長率は、季調済前期比+0.5%(年率+1.9%)と、1次速報値(同+0.5%(年率+2.1%))から小幅下方修正を予測する。 |
ということで、上に取り上げた8機関のうち、1次QEから上方改定を見込んでいるのが3機関、修正なしが1機関、下方修正が4機関となっており、いずれにせよ、小幅改定とはいえ、見方が分かれています。私は法人企業統計が利用可能になった月曜日の時点で、もっともウェイトの大きい設備投資が1次QEから上方改定されることから、全体の成長率も上方改定、と考えたんですが、在庫が下方修正されることから、むしろ、全体としても下方修正を見込む機関が多くなっています。ただ、上方改定にせよ、下方改定にせよ、全体的な景気認識が大きく変更されるべき内容ではないと私は受け止めています。すなわち、第1に、景気動向指数からは3月指数で「悪化」の基調判断となったものの、2019年1~3月期の成長率はプラスでであり、GDP統計から見る限り緩やかな回復が続いていること、第2に、しかしながら、米中貿易摩擦に起因する世界経済の減速により、4~6月期には成長率がマイナスに転ずる可能性が否定できないこと、第3に、別要因ながら、10月からの消費税率引き上げを前に7~9月期には一定の駆け込み需要が見込まれること、の3点です。
下のグラフはみずほ総研のリポートから引用しています。
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